【医学教育について】(忘備録)


総合診療医を増やしたい方向に国も動いているのに、難しさを感じるのはなんでか、いつも考えてます。

亀田家庭医では年に数回、全員が集まる場を作って家庭医療の勉強と交流を行っています。内容は個人情報も含まれ口外不可ですが、これまでにも

•システム理論
•ゲーム障害
•思春期の対応
•運動処方
•未分化な問題
・PCCM、、、、などなど

様々なことを議論してきました。
特に昨日鮮烈に感じたのが、家庭医療・総合診療の、現在の医学教育との相入れなさです。

医学教育で行われているのは
•体内で起きていることを理解する基礎医学
•各専門分野ごとの病気を学ぶ臨床医学
•追加で臨床推論や症候学などやることも。
他にも学ぶことはたくさんありますが、ほぼメインはこれら。

対して総合診療領域では、医学生・研修医の間に必死で身につけた上記の能力から、一旦離れて考えなければいけないことがあります。

患者さんの訴えに対して
•そもそも「診断」するべきなのか
•病名がつくものなのか
•西洋医学で説明がつくのか
様々なことを疑いながら考えて、患者さんが困っている状況をなんとかしようと努力します。

この一旦離れる(unlearning)という行為は、総合診療に全く触れてこなかった医学生や研修医には想像しにくいなぁと。(僕も含めて)

現在の卒前卒後の医学教育では、病気が病気として完成している姿で現れた患者さんが対象になっています。
そこから診断する力、治療する力を育てます。

ただ病院の外に出れば、病気が完成する前段階の人達がたくさんいて、今まで勉強した医学で定義できる病気なのか非常に曖昧な状態です。

そんな時、「病気」しか学んでこなかった僕らには対処する手の内がものすごく少ないです。

総合診療領域は将来のキャリアプランもよくわからん〜と不確実で不安と言っている学生も多いですが
総合診療が対処している問題についても
確定された問題に対する確定された対応の勉強だけの6年間では、扱っている問題の不確実性や対処方法の幅広さ(地域や多職種連携も含めた)は認識しにくいのかと思いました。

これについては、この前シェアした藤沼先生のモデルコアカリキュラムについてのお話にも、医学教育の改善案が提案されてます。

医者を目指した医学生なりたてのころって、心筋梗塞をこの世から無くしたい!とか具体的な目標を持っている人以外は、困ってる人を助けられたらハッピーと考えている人も一定数いるんじゃないかなと思います。

そういう人たちの心の火を消さないようにする方法や、不確実性に嫌悪感を抱かない方法とかないのかなと考えてます。

しかし、大切な事ですが
基礎医学、臨床医学、臨床推論や症候学など、全て重要で、まずやるべき事でもあります。

それらを修めた上でunlearningしなければ、ただのヤブ医者だよと昨日も言われました。

初期研修医はそれを忘れないでねと

昨日の最後のメッセージにグサッときました。

まずlearning頑張らなきゃな〜

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