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ふたりで空を見上げて

最近、やたらとヒガミっぽくなった夫。
還暦を過ぎたあたりから。
老人性の〇〇だろうか…
いやいや、生まれつきの性格がそうさせているのか…

夫の言動に意見を言おうものならえらいことになる。
口数では敵わない!って言ってた夫が必死に反撃してくる。


以前はこんなじゃなかった…
私の方が一方的に捲し立てて終わりだったのに。

これと言って重大な問題を抱えているわけでもない。些細なことで、すぐもつれる。挙げ句の果てに昔のことまで持ち出して収拾がつがなくなる。
次の日までモヤモヤが残ることが増えてきた。

子どもたちがいる頃は、まだマシな方だった。お互い自制心が働いていたのか、こんな感じではなかった。


子どもたちが巣立って夫婦二人だけの生活になった頃、優しく寄り添っていこう…と、ひそかに誓いをたてたはずなのに。
おかしい…

どうも噛み合わない。
時々耳鳴りもする。


『もういい加減あきらめなさいよ。
お互い様でしょ。
夫婦は鏡なんだから。』

と、もう一人の自分。

たまに殺意にも似た感情が湧くことだって…サスペンスの見過ぎ?かもしれないけど、とても危なげな自分が存在するのだ。


実家の母が、夫婦喧嘩の最中、父に向かって言い放っている姿が、そっくりそのまま我が身に置き換えられる。

『アンタがいつどうなっても知らない』
『ひとりの方が気楽やわ〜』

ひと昔前は、そんな両親を見ながら笑っていたのに今は笑えない。

けど、両親のリアルを見せつけられたお陰で、夫婦ってそんなもん…と、深刻にならずに済むのだ。

冷静になってみると、
何回おんなじことを繰り返してるのか…とバカバカしくなったりもする。


従姉妹のCちゃんが、50代で離婚に踏み切った。
成人前の娘たちを抱えて、よく決断したと思う。
仕事を転々と変え、充分な稼ぎもない上に不倫までしていたのだから。
そんな夫だったら、きっと私も同じ選択をする。
離婚が成立するまでに結構な期間を要したというから、夫婦というカタチを断ち切るにはそれ相当のエネルギーが必要なのだ。

ウチの場合、そこまでの決定打はなく、今更そっちの選択をするつもりはない…だからなんとかしたい。
この有りようを変換する便利な装置があれば…
売り言葉に買い言葉をいう時間が、ホントもったいない…


そんな折、
「ねぇ、行ってみない?」

バルーンフェスタに行かないかと夫からの誘い。
昨夜のイライラをこっちは、まだ引きずっているのに。
でも夫の方はそうでもなさそう。


「行くんなら弁当作るよ!」


そう言いながら、炊き立てご飯をおにぎりにしている。
出かける方向へ強引に持って行こうという魂胆だ。

結局、夫の思惑どおりに。

今回のお出かけは、マイカーではなく、電車を乗り継いで。
渋滞は喧嘩の元だ。

予想通り、河川敷はたくさんの人で溢れていた。色とりどりの熱気球を前に
二人分のシートを広げた。


「何だかお腹空かない?」

「えっ!まだ10時半だけど。」

朝が早かったからか、シートに腰を下ろした途端、急にお腹が空いてきた。

夫が握ってくれたおにぎりを頬張りながら、ここに座っていることが何だか不思議に思えた。
あのままウチにいたら…こんな気持ちにはなれなかった。

「来てよかったね」

「うん…」

「いつか、〇〇ちゃんと来たいな〜」

夫はすでにじいじの顔になっている。
たくさんの家族連れを眺めながら、最近イヤイヤ期に突入した孫との未来を想像している。


たまにはこんな感じも悪くないね。
言わないけど、わかる。

ふたりで空を見上げるのも
マスクを外して大勢の中でおにぎりを頬張るのもホントに久しぶりだったね。




夫との生活は、相変わらず。
バカバカしいと思いながらも、また同じことの繰り返し。こうしてnoteに書いている瞬間だけでも穏やかになれる。
noteって不思議。


最後まで読んでいただきありがとうございます😊















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