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頑張ります…!の頼りなさ

11月30日のこと。
出演しているラジオ番組のトークテーマが「2021年の新語・流行語」だった。
そこで、パーソナリティーのNちゃんから「毬花さんの今年聞いたなあ、使ったなあっていう個人的な流行語はありますか?」と聞かれた。
ラジオで話したいから、考えていてほしいということだった。

今年使った流行語かあ。

ラジオ番組が始まるまでの間、高校生がちらほら見えるマックで、サムライマックを大口開けて食べながら、2021年毬花流行語大賞を考える。

眉間に皺が寄るほど考える間もなく、案外一つの言葉がすんなりと出た。

「頑張ります…!」

2021年毬花流行語大賞は、「頑張ります…!」だ。
すんなりと出て、すんなりと納得した。

大学を卒業して、第二の故郷となった高知に別れを告げ、地元鹿児島へ戻って4月からフレッシュな新社会人生活をスタートさせた今年。

社会人一年目。大学では心理学を専攻していたくせに、入った会社は面白い水産加工業。右も左も分からないながらに、イワシと毎日見つめ合い、その後、広報担当として毎日液晶画面とにらめっこ。
やってみたい!に首を縦に振ってくれて、やってみない?と手を差し伸べてくれる社長。気にかけてくれる上司。可愛がってくれる先輩。

「頑張ります…!」が口癖になる一歩手前まで使い倒す日々。
上司には「頑張ろうと思わなくても頑張ってるからいいんだよ」と優しい言葉を掛けられた。

会社での仕事のおかげもあり、会社関係なく個人でもオリジナルで物語をつくる仕事や手書き文字のデザインを依頼されるようになった。

その時も、絶対何度も「頑張ります…!」を使った。

実家のある地域での活動も「やってみない?」「できそう?」に対して「頑張ります…!」とよく言っている。

一日に一回とは言わないが、週に何度も使っていたことはちゃんと覚えている。
自覚していることを思い出して、振り返ってみて思ったことがある。

「随分と頼りなさが滲んだ言葉だな」と。そう思った。

私は、自分が使っていた言葉だからもちろん、「頑張ります…!」に含んだ言葉を知っている。
使い倒した言葉に隠されているのは、「まだまだ稚拙だし未熟だけど、できるかぎり頑張ります…!」だった。

大学時代とは明らかに違うレベルの差に委縮して、頼まれたことに不安を抱えながら、自信を手許から零しかけながら、答えていた「頑張ります…!」という言葉。

仕方ないよなと思う自分半分、悔しくて情けないと思う自分半分。
相手は、自分を選んでくれて少なからず期待してくれているのに、肝心の自分が相手と同じ土俵に立てていなかった。

そう思うと私って、自信なかったんだなあと改めて気づかされる。

会社での仕事も、個人での仕事も、地域での活動も。
色々挑戦はしてきたし、手を付けてきたけれど、全部自信があるからやっていたものじゃなくて、自信ないからこそやっていたことに気づく。
とにかくやって認めもらわなきゃと。相手にも自分にも。成功体験が欲しかったんだと思う。

きっと、無意識に周りに気づかれないように自信ありそうに見せていたと思うし、なんなら、自信があっていいよねって言われていた。ないのに。自信あるフリは上手い。

でももう、自信ないままの頑張りますは嫌だなと、サムライマック最後の一口を口に放り込む。

もう12月だ。
今年もあと1か月。

2021年毬花流行語大賞は、頼りない「頑張ります…!」になってしまったけど、自信を持って、来年からは「任せてください!」が私の中の流行語になったらいいな。そうできるように頑張りたい。

上を見れば見るほど、壁は分厚くなるけれど、今の状況にいる自分もしっかり認めて、今の自分にできることを全力でやる。
残された一か月、来年の自分のために今自分にできること。

全て平らげて外に出る。
久しぶりの雷雨に身震いしてから、負けじと背筋を伸ばしてやった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 自分の記録やこんなことがあったかもしれない物語をこれからもどんどん紡いでいきます。 サポートも嬉しいですが、アナタの「スキ」が励みになります:)