「推し活」という呪い

前提:「推し活」ってきもくね?という主観に基づくnoteです。

20歳の大学3年生、しかも男性が書いた文章だということを考えると、私が書く文章よりも理路整然としており、最後まで飽きることなく読ませる力がある。シンプルにすごい。

この例のnoteについて読んで真っ先に思ったことは「この人はSNSで発信することに向いてないな」ということでした。
今の猫も杓子もSNSをやって推しを広めるべき!という文化に飲まれていると思いました。
しかし愚痴垢デビューを薦めたのは良くないかな。シンプルにSNSから離れるべきだと思う。

他者と比較される消費生活のしんどさ

そもそも「推し活」っていつ頃から頻出されるワードになったのだろう?ということが気になりグーグル先生に聞いてみると、国民生活センターの2023年7月【特集「推し活」を知る】という記事がヒットしました。
リンク先はPDFなので内容を搔い摘むと、AKB48の選抜総選挙で推しメンというワードがフィーチャーされるようになり、彼女らの人気と共に世間に浸透し、今のようにカジュアルに使用されるようなったということ。

「推しメン」が流行語大賞にノミネートされたのが2011年ということなので投稿主である彼は当時は8~9歳。つまり彼の人生の物心がついたときにはすでに推しという文化が根付いていたと推察される。
私と世代差があるので彼の世代がどうなのかは正しく認知できていないが、推しって必要不可欠な存在じゃないと言いたい。

ちなみに「推し活」というワードが流行語大賞にノミネートされたのは2021年なので2010年代後半から使われることが多くなったと推察されます。
前述した国民生活センターの特集のおわりに、とても大切なことが書いてあるので一部を引用させていただく。

推し活は、他人の人生に自身の生きがいを見いだす行為でもあります。現実社会がつらいから推しを消費するというマインドが強くなるほど、依存性が増し、その対象を「消費」をすること そのものが自身への救済につながるという感覚も強くなってしまうのです。(中略)筆者はまわりのオタクの消費のペースに引っ張られず、「推しは推せる範囲で推せ」という言葉も併せて念頭に置いてほしいと思っています。また、「推しはみんなのモノ」という意識を持つことが過剰な消費の原動力となる独占欲や嫉妬心を軽減し、 ストレスフリーな推し活につながると考えます。

https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202307_01.pdf


私自身はとても我儘なオタクでして、ライブ現場には這ってでも行く一方で個人SNSやYoutube、ライブ以外の仕事(ドラマ、バラエティ、ラジオ、雑誌、その他ありとあらゆる仕事)はほとんど目にすることが無い。今の時代は有難いことに全編を見なくても誰かファンが大切なところを切り抜いてくれる。それで十分なのである。ただ見てないことを口を大にして言う必要はないので触れない。思ったことを正直に全て書くことは正解ではない。

上記に書いたような自分の応援スタイルはとてもじゃないがファンとして受け入れられるべきものではないと認識しているから、好きではあるがファンではないと思っているし、同じジャンルを好きな知り合いは積極的に作らないようにしている。熱量が違いすぎて疲れるからだ。だけどそのおかげで他者と比較する「推し活」に蝕まれずに済んでいる。

推し活という呪い

私は「推し活」って呪いの言葉だと思っています。

推しって必ず人生に必要ですか?

好きが転じてファンになることが本来の姿で、推しを探そうとしている2020年代のメディアには違和感を覚えずにはいられない。
他人と比較したら、幸せという感情が鈍る。
好きという感情は大切にすべきだが、好き=推しではないはず。
他人を気にしすぎずに自分のペースで応援すればいいのにって思う。

もちろん世間に対して「私の好きなものはこんなに素晴らしいですよ!」って、売上や再生数で示す必要もあるけど、ずっと数字を軸に生活することが健全な推し活だとは思えない。他人と比較すること以外で、数字にできない好きも大切にしてほしい。綺麗事だけど。

ファンとタレントの適切な距離感とは

ここで例のお方のnoteに触れます。タイトルがすごい。「推しとの会話の失敗事例集」と銘打ってるけど、演者側からしたら好きになって初めての推しとの接触でハイになってちょっと距離感バグってるけどそういうお客さんもいるよね、程度かもしれない。

これもそうで、書いた本人の主観によるので事実がどうかは分からないが、芸人さんの方から「この前もありがとうな!」と言ってもらえているので熱心なファンという印象だったはず。しばらくはまあよくあるファンとタレントの認知、接近イベントという感じ。

書いてあることはきっと界隈を知っている人からしたら分かることもあるんだろうなあと推察できる。
このあたりでストップしておけば、まあこういう意見もあるよねって本人たちに思われて終わりだったと思う。
尤も彼はこのnoteに限らず、DMやリプ、日頃からこういうツイートをしていたことは容易に想像がつく。普段の発信がなく思っていることをnoteにすべてぶちまけます!という内容ならまだしも、日々ジャブを打った上で投稿したnoteだと仮定すると結構しんどい。

僕は、好きな芸人やアーティストを見ていると
「彼はもっとできるはずだ!」「こんなはずじゃない!」「もっとこうすればいいのに!」という感情がすぐ出てきてしまいます。

出だしがこれ。もうすごいよね。
結局好きになった推しは彼が求める理想のすべてではなかったんだけど、それが受け入れられずに自分の理想の推し像を無理やりにでも当てはめようとしている。そしてその認知の歪みに気づけない。だから怒りを覚える。
どんなに「僕はこういう貴方になってほしいんです」と言おうが、現実の人間が、ましてや家族でもない赤の他人が自分の理想そのもの!なんてことはありえないのに、だ。

単独ライブの途中で思っている感想は私にも経験があるがそれをわざわざ本人が見る可能性が1ミリでもある場所では書かない。もし書いたとしてももう少しマイルドにして、後半はヨイショして後味は悪くないようにすると思う。
まあつまんないときはイベント名は出さずに「う~ん……」とかは言うけど。もっとつまらないと思ったときは感想すらしない。逆に面白かったときは感想が止まらなくなる。そういうこと。ちなみにこのnoteについてるコメントが興味深いので、本人に届いていればいいなと思う。

しかし、推しも仕事をしているのだ。
お客様から意見を言われることも当然あり、受け止めなければならないのだ。
意見を述べたファンは何も悪いことをしていない。
だから、僕も「人が嫌がるようなことを言ってはダメだって、教わらなかったの?」などと言われる筋合いはないのだ。

商品に対するメーカーへのクレームと推しに対するクレームの性質が異なることは前半部分ではっきりと認識した文末がこれ。
その意見が推しにとっては受け止められない悪いことだったと気づけないのが苦しい。
もちろん私も全肯定ファンではないので文句を言うことはあるが、それは私個人の感想なので演者側に受け止めてほしいとは思っていない。とはいえ書いた以上はうっかり目に留まってうっかり改善されたらいいな〜とは夢に思うけど必ず受け入れるべきとは思わないし、何も変わらないなら自分が離れるべきなんだなと思う。

「この歌手、この曲ばっかりライブで歌うなぁ。声が出ないんだな。この曲は歌いやすくてラクなんだ。」
「ツアー初日だけ、ライブの最後に写真撮影OK?チケット売れてないんだな。ステージの写メ撮らせるだけで、負荷を増やさずラクに客を増やそうとしてるんだな。バレてるよ。」
「え?”これもライブならでは”??なに?お前の準備不足だろ?台詞飛んでヘラヘラしてただけで”ライブならでは”??
データの入力間違えて”Excelならでは”とか言って許される会社員はいないぞ」
「抽選で数人にサインあげただけで満足すると思うなよ」

これは彼がまだ学生だから、ということを多少は加味してあげたい。
広告代理店の企画会議に出席したら泡吹いちゃうと思う。

大半の人は心のどこかでそう思っていたとしても、
「この人はやっぱりこの曲が好きなんだなあ♪」
「ツアー初日チケット売れ行き良くないんだ。。。行こうかな?」
「推しも人間だし練習しても台詞飛んじゃうことはあるよね!」
「ただ買うだけじゃなくてサイン当たる可能性まであるのね!」
とかそういう思考に至る方が多いと思う。知らんけど。思うことはあるけど、そう考えてる時点で自分の嫌味っぷりに嫌気が差すからわざわざ言葉にすることはしない。誰も幸せにならない。

でも一番最後はこんな人生は嫌だって言ってるんだよね。だからこそSNSはやらないほうがいいと思う。どうしてもやりたいなら匿名の増田とかが向いてそう(それでもコンビ名出してアイツだ!と特定されて掲示板で炎上しそうだけど)。

生まれ育った環境因子が与える影響が凄まじい。別記事の認知症の身内がいることも影響しているだろう。ストーカーの素質を感じる。でも20歳そこらの男子大学生で自分のことをここまで書ける人はそうそういないので、この彼の特性が活かせるものに出会えるといいなと思う。

少なくても他人に依存する「推し活」は対象が変わったとしても向いてないだろう。自分の理想を叶えられるのはほかでもない自分しかいないのだから。


私はそもそも推しに直接何かを伝えることが好きではないので接近戦もそんなに好きではなく、ただ本人を間近で見られたり認知有無の確認としては有効に機能するのであれば嬉しいけどそれ以上に落選したときのダメージがひどいので、接近戦はなくてもいいと思っている。

近頃はファンとタレントの距離感が全体的にバグっているような風潮があって苦手。運営側もファンの言うことばかり聞くんじゃなくてもっとクリエイティビティであってほしい。ファンファーストになったらあとは落ちていくだけだよ。
だってファンの理想を叶えられないタレントは必要ないもの。それなら最初から叶えない方がよっぽどファンのためだ。

ファンはタレントを映す鑑なのか?

帰りの新幹線で、僕は泣いた。
こんなはずじゃなかった。
「全然面白くなかった!楽しみにしてたのに…」などと、Twitterに書いた。

https://note.com/syunki0910/n/n0bbc0a2e4b96



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