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2024年4月に読んだ小説についてつらつらと

新年度が始まったと思ったらもう一ヶ月経っている…はやい…。
そして2024年の三分の一も過ぎ去っていってしまったらしい…遠い目になってしまう…。
衣替えをしたり、冬物コートをクリーニングに出したり、ベッドカバーを春夏仕様に替えたりと…気温も既に夏ですか…?というような日もちらほら垣間見えて季節は確実にすすんでいるなあということを実感している今日この頃です。
春の季節は秋に続いて好きな季節で、なんとなく本を読むのがより一層楽しく感じられる感覚があって好きだなあと思ったりします。そういう気持ちを感じながら、せっせと好きな本を読み返したり、追いかけているシリーズ新刊を楽しく読んだり、気になった本を手に入れるか否か悩んだり…と、相変わらず隙あらば本の事を考えて日々をのりきる燃料にしています。

さてさてそんな4月に読んだ小説について今回もゆっくり振り返っていきましょう。


恩田陸「spring」(筑摩書房)
そうでした…4月はこの本から始まったんでした…この本をこの季節に読めて素直に嬉しい気持ちでいっぱいになっていた本でしたね。
刊行される日を心待ちにしていた本で、あらすじからして確実に私の心を強く揺さぶってくる本がきたなあと読む前からドキドキしていました。
萬春という一人の天才を巡るお話は、どうしようもなく込みあげてくるものが止まらないお話で、彼の人となりを語る同じバレエの道を歩む仲間、叔父、彼を教え導く立場の人たち…やがて彼自身が語るここまで歩んできた道のりやカタチの数々にとても感動するものがありましたね…。
萬春が最後に表現したカタチが心の深いところにあるものに届いた時はもうほんとに泣きそうになりながら読んでいたなあ…。彼と関わりを持ったことでそれぞれの道を成していく人達の姿もよかったです、好きでした。
あとはあれですね…滝澤七瀬という登場人物が…好きすぎて…滝澤七瀬をスポットを当てたお話をもっと読みたくてたまらない気持ちになりましたね、それに加えて私は『先生と教え子』や『師匠と弟子』の関係に弱いんですってば…!


カミツキレイニー「魔女と猟犬 2」(ガガガ文庫)
シリーズ第二弾、読書記録を見たら1巻読んでから3年の月日が経っていましたね…しかしそれだけの月日が経っていてもやはりカミツキレイニーさんの本でとても面白かったです。北の国へ向かうことになったロロを始めとした一向が向かうのは氷の城に住む雪の魔女で……なお話。読み所がたくさんですごいすごいと胸の中で呟きながら読んでいましたね、満足感もたっぷり。魔女と魔女の魔法戦、緊迫感ある白兵戦の迫力……動きのある場面の攻防がお気に入りの読み所の一つで鮮明に頭の中で映像が浮かんでたまらなかったなあ、楽しかった。ファンネルが好きすぎる……ファンネルの戦い方、近接タイプでかっこいいのです…。


カチャ・ベーレン「ブラックバードの歌」(あすなろ書房)
SNSでふぉろわさんの感想見て気になっていた本、タイトルに『歌』が入っている本はとりあえず気になってしまうのもありますね…実際に読んだらとても静かな温かい感動に胸が満たされる素敵なおでしたね。
音楽を愛しフルートを自分のからだの一部のように大切に思っているアニーは、とある事故で下を向くような日々を過ごしていたが、引っ越し先で出会った少年とブラックバードを通じて少しずつまた音楽と向き合い、音を奏でていく…。音楽の音色はきっと彼女が再びその魔法のような音色を奏でるまでずっとずっとその時を待っていたのだと思う。アニーの音楽へと向ける気持ちがとても好きな物語でした。


カミツキレイニー「魔女と猟犬3」(ガガガ文庫)
おもしろい…!シリーズ第三弾、2巻読んで完全に読み進めていくことに火が付いた。あっちはどうなる、こっちはどうなる、乱戦模様のストーリーの行方はハラハラドキドキで夢中で読んだ。今回は海の魔女が中心となるお話を堪能。相変わらずファンネルがお気に入り、まっすぐな行動力と言葉がとても好き。このシリーズはそれぞれの魔女が、なぜ魔女になったのかがそれぞれ語られるけれど、その経緯というかお話にとても心動かされますね。次の4巻はどんな魔女が待っているのか……。


白石定規「魔女の旅々22」(GAノベル)
今巻もおもしろかったです、いきなり冒頭の『伝説の略奪者』から大笑いして力が抜けた…(笑) 楽しい。相変わらず色々な場所で怪しい(?)商売をしたり巻き込まれたりするイレイナさんの色々な姿を楽しみました。


鈴森琴「忘却城 鬼帝女の涙」(創元推理文庫)
前作で濃密な世界観に惚れ惚れした死者を蘇らせる術で発展した王国を舞台にしたファンタジイ、シリーズ第二弾。舞蒐を始めとした登場人物たちがその後にどうなったのか気になりつつ読み始めたけれど、先が読めない話の行方にのめり込むように読み進めてしまった…。曇龍への印象がガラリと変わってとても好きになりましたね…。次が完結巻なのかしらん…。


安里アサト「86-エイティシックス-Alter.1 死神ときどき青春」(電撃文庫)
ついにここまで辿り着きました…(笑) 辿り着いただけでちょっとした感動を覚えてます。念願の『オールスター香水バトル』をようやくです、楽しかった…! シンを始めとしたエイティシックスたちとレーナの穏やかな日常やある日の光景がたくさん詰め込まれた豪華な掌篇集だったなあ。シリーズがこれからも続いて私のお気に入りのヴィーカとレルヒェの姿がもっと読みたいです…映像化でもいつか見たいです…。


東直子「ゆずゆずり 仮の家の四人」(中公文庫)
先月に読んだ「さようなら窓」がよかったので、次も何か読みたいなと探していた時にオススメいただいた本、こちらも読み終わったあとの余韻が好きだったなあ…。仮住まいの家でシワス、サツキ、ナナ、イチの四人が淡々と日常を過ごしていく姿に懐かしさと安心感のある心地良さが感じられてとても好きでしたね。人間関係研究所というところが、一体どんな衣料を取り扱っているのか気になる気持ちが止まりません…(笑)


日本SF作家クラブ・嵯峨景子編集「少女小説とSF」(星海社FICTIONS)
このタイトルで読まないわけにはいかなかったなあ…色とりどりのお話が次から次へおもしろかったです、書名の通り少女小説とSFを主題にした様々な作家さんのお話が楽しめるアンソロジー。冒頭の新井素子さんの『この日、あたしは』や、榎木洋子さんの『あなたのお家はどこ?』に登場する少女(あるいは少年)の傍らに存在するAIの相棒…?のような、ムウやサガスのような存在がとても好き…。紅玉いづきさんの男女逆転な『とりかえばやのかぐや姫』や若木未生さんの『ロストグリーン』も音楽要素あるお話で、どうしたって好きでしたね…。これ第二弾とか出ないものかなあ…。


二月公「声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい? 」(電撃文庫)
声優青春ストーリー、シリーズ第10弾。ついに巻数も二桁…今巻もおもしろかったですね、ミントちゃんの力強い言葉に感動したなあ…。
口喧嘩する事も多い由美子と千佳だけど、互いに相手へのきちんとした尊敬する気持ちがあり、それに加えて悔しい…負けたくない…という熱い気持ちをも抱いているのがものすごく好きだったり……。もしもルームシェアしたらなんだかんだ上手くやっていきそうな気がするんだけどな…(笑)


小西マサテル「名探偵のままでいて」(宝島社文庫)
カバーイラストの雰囲気に以前から気になっていた連作ミステリ。楓と祖父のお互いへの愛情深さ…温かな気持ちに包まれる読後感がとてもよかったなあ、教師としての日々をおくっている楓は身の回りで起きた様々な謎について祖父に話して聞かせており、祖父はある日その謎を解き明かす『物語』を語り始めて…。楓、岩田、四季の和やかなやり取りも好きでしたね。続編も気になるところです。


野村美月「ものがたり洋菓子店 月と私 ひとさじの魔法」(ポプラ文庫)
良すぎました…ときめき…ときめきが止まらない…よかった…。とある住宅街にひっそりと佇む洋菓子店『月と私』そこではもの静かな腕利きシェフと、物語を語るストーリーテラーが今日も優しい雰囲気で訪れる人たちを待っている…。糖花さんが作り出す美味しそうなお菓子(ウイークエンドたべたい…!)、甘い恋愛模様、そして語部さんが語るうっとりと聴き入ってしまうような月から聞いたお話。最初から最後までニコニコしてしまう気持ちが止まらない本でした、堪能しました。野村美月さんの本に触れたのひさびさでしたねー、やはり良いです。


野村美月さんの本をひさびさに手に取ってこんなに文学少女シリーズ読み返したくなるとは思わなかったなあ…7月あたりに読みたいなあと思ってスケジュールに入れておきました。それぐらいしないといつかいつかと思っている予定はいつまで経ってもこないと思うので…。
しかし野村美月さんの文学少女シリーズ、あらためてどんなタイトルがあったかなあ…と振り返ると、恋する挿話集や見習いまで含めると結構な冊数がありますね。当時、夢中でおいかけていた時はそういう風に感じなかったけれど。あれから何年か経って当時追いかけていた時よりもいくらかは冷静に受け止められる部分も多いと思うので、『今』の私が読んだらどういう風に感じるのか夏が楽しみになってきました。

少し先の夏の読書に思いをとばしつつ、今月も素敵な本に出会えますように…。