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2024年2月に読んだ小説についてつらつらと

なんだか最近、以前に比べて体力が落ちている…というのを感じることが多くなって(確実に年齢を重ねているという部分もあるとは思いますが…)継続的な運動の必要性を実感する今日この頃です。もっと外のイベントに足を運んでも疲れない体力がほしい…。
からだを動かすのはわりと好きなほうなので、何か始めないとなあ…とぼんやり思っているうちにいつの間にやら3月に突入してしまって…時の流れのはやさにおそろしくなる…。
ただそんな中でも徐々に暖かさを感じる日や朝方に夜が明ける時間がはやくなってきて確実に春に向かって季節が進んでいるのは嬉しさがありますね、春の穏やかな風や日射しが待ち遠しい。

そんなことを思いつつ2月に読んだ小説をのんびり振り返っていきましょう。


水守糸子「お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた」(角川文庫)
Web版を既読済み、いやもうこれは純粋に書籍になると知った時にとても嬉しかったなあ…つぐみさんと久瀬くんのお話が本で読める…!本棚に並べられる…!と言った嬉しさと言ったら…一冊の本というかたちでこのお話が読めるのがほんとに嬉しくて堪らなかった。
不器用な画家であるつぐみが明るく屈託がない青年…葉を大金で『買った』ことから始まる契約結婚・恋愛もの。
最初の頃のつぐみさんと久瀬くんのお互い探り探りの不器用なやり取りが、読んでいてくすぐったくもありもどかしさもあり切なさもあって…ただただこの二人が幸せで笑い合える未来へと辿り着けますようにと祈りながら読んでいたことを思いだすなあ…。
書籍化によってajimitaさんの素敵カバーイラストがじっくり堪能出来たのも好きポイント、淡い色合いとか久瀬くんの柔らかい雰囲気とかつぐみさんの目に力がある感じとか全部入っていて素敵でとてもいいな…と嬉しい気持ちでいっぱいになったな。
ひばりと律のほうも好きすぎるー、この二人もずっと幸せでいてほしいという気持ち。


安里アサト「86-エイティシックス-Ep.12 ホーリィ・ブルー・ブレット」(電撃文庫)
人ってなんでこういう方向に行ってしまうのか…サブタイトルの意味がもしかしてと思った時のやるせなさと愚かしさがもうね…。
あの避難作戦から幾日か経ち、中途半端な知識を持つ者の行動がどういう事態を招くのかおそろしい気持ちになる巻でした…ここにきてこういう展開が待っているとは……。今巻もハラハラドキドキが止まらないレギオンとの交戦にシンたち機動打撃群の明日はどうなるのかと心乱されっぱなし…でも面白いから先が知りたくて読んでしまうんですよね…。
おろおろレルヒェのイラストもとても良きでした、レルヒェ好き。
1年近くこつこつと読み進めてきてついに次は番外短編集な死神ときどき青春な巻です、この巻を読むために長い長い旅路を歩いてきたといってもいいぐらいです、楽しみ。


岩井圭也「横浜ネイバーズ」(ハルキ文庫)
ついに読み始めました…岩井圭也さんのこのシリーズ気になっていたのです、おもしろかった…!好きな雰囲気のお話でしたね。
〈山下町の名探偵〉と呼ばれていた小柳龍一ことロンが周りに手助けしてもらいながら、薬物乱用や特殊詐欺など…現代に蔓延る様々な事件や厄介事に困っている人達の力になろうと手を伸ばす姿をおもしろく読みました。
色々と渋りながらも最後には困った人を見過ごせない主人公であるロンや、彼の周りにいるマツやヒナなど…登場人物たちの軽快なやり取りも魅力的。以前にロンに救われた人達が、後にロンを手助けしてくれるところも好きでグッとくる熱いものがあったなあ…そういう展開とても好きなんですよね…。


はやみねかおる「少年名探偵 虹北恭助の冒険 新装版」(星海社FICTIONS)
はやみねかおるさんの本を以前から読みたいと思っていてタイミングよく新装版が出ると知ってこれは嬉しいと思いようやく読むことが出来ました。
いい青春ミステリでした。もうすぐ小学六年生になる野村響子が、身近にある虹北商店街で出会う様々な日常の謎…しかし彼女の傍らにはそれを立ち所に解決してくれる『魔術師』と呼ばれる幼なじみの虹北恭助が居て…。
私の幼なじみな関係が好きな気持ちがまさに騒ぎ出すような二人の姿がたまらなく好きだったなあ、カバーイラストから手を繋いでいるんだもんな…各話に扉絵あるのも好きすぎましたね…(しかもカラーイラスト…!)微笑ましい、和む、良きでした。野村さんのカラッとした語り口や恭助くんとの距離感が近いやり取りが好きでしたね。
お話としては『心霊写真』のお話が特に好きだったかなあ…続きの?新冒険も読むのが楽しみです。


岩下悠子「漣の王国」(創元推理文庫)
とてもおもしろかった、2月に読んだ小説で一番おすすめしたい一冊だと思う、まさに帯文の通りで忘れがたき余韻…。恩田陸さんが帯文を書かれているのにも納得。
青春小説のようなミステリのような…一言では形容しきれない様々な淡い境界をたゆたっているような感覚が何とも言えない余韻に繋がっていく読み心地が堪らなく切なくて、心に響いてくる本だったな…。
綾部蓮という才能と美貌に恵まれた…人を惹きつける佇まいをした青年に関わりを持った人々の姿が綴られた連作集。信仰や宗教…自らの信じたものに真っ直ぐ向き合う人々の想いの強さにもとても心揺さぶられる本。
瑛子と猫堂のやり取りも好きでしたね…。


小林湖底「ひきこまり吸血姫の悶々11」(GA文庫)
シリーズ第11弾、今回は日常回…?ゆるゆるとした雰囲気のお話が色々と楽しめる掌編集みたいな感じの巻でしたね。
リンズとサクナのエピソードは笑いが止まらなかった、楽しすぎた…。


桃野雑派「老虎残夢」(講談社文庫)
湖上の楼閣という閉ざされた場所で巻き起こるミステリ。武術の達人同士の緊張感あるやり取りと雰囲気にはらはらしながら面白く読みました。
話の主軸となっているのはミステリでありながら冒頭の紫苑と師父の手合わせの場面に代表されるように、武術方面の描写がとても好きな雰囲気でしたね、迫力があって好きでした。この作家さんの動きがあるお話をもっと読みたいなあ…。


岩井圭也「横浜ネイバーズ2 飛べない雛」(ハルキ文庫)
シリーズ第二弾、サブタイトルから推測されるようにヒナを中心としたお話が収録された巻。現代の世の中にあふれる様々な問題に直面するロンは今巻も様々な事件や幼なじみのため解決に駆け回る…。
その中でもやっぱり『飛べない雛』の、幼なじみであるヒナを開放するために動きまわるロンやマツ…はたまた凪の姿を夢中になって読んだなあ、これから彼女が過ごすロンたちとの日々が少しでも心穏やかであればいいなと願ってやまない…。
ロンの家族のお話も読み所だったなあ…どうなっていくのか…。
次はサブタイトルからすると凪に焦点を当てた巻のようで…引き続き追いかけていくのが楽しみなシリーズです。


辻村深月「この夏の星を見る」(角川書店)
ああ…すごくいい青春ものでした…それでも空は繋がっている…。
コロナ禍で学校活動が制限され、ままならない思いを抱えた中高生たちがそれぞれに天文活動に出会い、茨城県、渋谷区、長崎県…などなど全国様々なところから気持ちが繋がっていく姿にとても感動する青春ものでした。
星をつかまえる…『スターキャッチコンテスト』がとても素敵だったなあ、閉塞感のあったあの時にきっと私の想像よりも多くの人が様々な事柄を見送るしかなかった事を改めて考えると胸がぎゅっとなってたまらない気持ちになる…。だからこそ終盤の展開には熱くなる気持ちを抑えられなかった…。
子どもたちだけではなく、線引先生を中心とした見守る側の大人たちの姿も好きでしたね…。
各話にスカイエマさんの扉絵あるのも好きポイント、いい青春ものでした…夏にすぐ読めばよかったなあとしみじみ思いました。



小説読む冊数がやや減っている傾向にあるけれど、エッセイや漫画…はたまた歌集などを楽しむのも私にとっては心を保つために必要な時間だと思うので、あせらず自分なりのペースで様々な本とこれからも向きあっていけたらいいなと思います。3月も素敵な本との出会いがありますように…。