ナッツアドバンテージが無くてもオーバーベットを打てるシチュエーション
初めまして、ベンゼンと申します。この度、アウトプットする練習として自分のポーカーの研究成果を記してみます。
軽く自己紹介をします。当時(2020/7)、大学院1年で研究に行き詰っていました。何か息抜きがしたいなぁと漠然と感じていました。もともとピョコタンチャンネルを見ていた私は、彼のポーカーチャンネルを見て、ポーカーを始めました。見事にハマり当初は、ピョコタンのポーカー動画を5周は見ていました(特に見ていた動画w:(181) 【実践オンラインポーカー攻略03】ザコプレイヤーを瞬時に見極められれば勝率UP【ピョコタン(プロポーカープレイヤー)】 - YouTube)。
そのおかげか、アミューズではドンク、ドンク、ドンク!!!ヒットしたらベット、ベット、ベット!!!ドローあったらトリプルバレルオールイン!!!はいっ!チェックレンジくそ雑魚アミューズおじさんの完成ですwww
もちろん、オーバーペアやトップペアは降りれませんでした。当時の私は自分のハンドだけを見ており、相手のレンジを全く考えていませんでした。プリフロレンジも、スート・ポケットペア・Aハイはすべて参加していました。勝てるはずがありませんねwww
そこから負けず嫌いな私は、ポーカーという単語を検索しまくりました。しまぽチャンネルとカジノチャンネルにたどり着きました。そこで、レンジ・フォールドエクイティ・コンボ計算・SPRという概念を知って衝撃を受けたのを覚えています。なんて奥が深いのか、と!!
この時の衝撃は今でも続いていて、ポーカーの原理を理解するために、ソルバーを弄るようにまでなってしまいましたw。さて、そんな私の最近の興味はベットサイズです。特に、オーバーベットについて色々検証してみました。拙い日本語ですが、ベットサイズの理解に繋げていただければ幸いです。
1.導入
簡単なトイゲームを利用して、ベットサイズについて理解を深めていきます。(トイゲームとは:AKQゲームから考えるExploit|ルッチ|note, 元ゲーム理論専攻の自分がGTOを説明してみる(Part2)|しのの|note)
トイゲームは次のように構築しました。
①ナッツアドバンテージがお互いに無いレンジを考えるために、お互いに等しいレンジを用意した。
②レンジは、コンボ数が異なるように4種類用意した。
2.計算条件
使用ソルバー:GTO+
ベットサイズ:33, 66, 150, 900(All in)%
ポットサイズ:10bb
有効スタック:90bb
ドンクなし、1ストリートゲーム(リバーのみ)
ボード:22223r
レンジ:
①[AA,KK,QQ]vs[AA,KK,QQ]
②[AA,KK,QQ,JJ]vs[AA,KK,QQ,JJ]
③[AA,KK,QQ,JJ,TT,99,88,77]vs[AA,KK,QQ,JJ,TT,99,88,77]
④[AA,KK,QQ,JJ,TT,99,88,77,66,55,44,33]vs[AA,KK,QQ,JJ,TT,99,88,77,66,55,44,33]
3.ソルバー出力結果
①-1:レンジ構成
①-2:IPのベットサイズ/頻度
お互いのレンジが等しい場合、最もEQが低いQQでもチェックバックでポットを取れる可能性(1/13の確率でチョップ)がある。したがって、レンジ全体としてベットする動機が弱く(ブラフコンボを作り辛く)、ベットサイズは33%が最頻となる。
①-3:33%ベットを受けた時のOOP戦略
頻度フォールド/コールがEV=0となるコンボはKKの6コンボ
→IPはベットによって、このコンボからEVを奪う。
②-1:レンジ構成
②-2:IPのベットサイズ/頻度
①のレンジと比較して、最もEQが低いハンド(JJ)がチェックバックしてポットを得ることが出来る確率が低下した(1/19の確率でチョップ)。そのため、JJをブラフに回すEVが上昇する。これによりブラフコンボが増えたため、①のレンジよりもベットサイズが増加した(66%が最頻)。
②-3:66%ベットを受けた時のOOP戦略
頻度フォールド/コールがEV=0となるコンボはKK,QQの12コンボ。ベットサイズが66%を使うのは、33%サイズよりも頻度フォールド/コールEVを0に出来るコンボが増えるためであると考えられる。
→IPはベットによって、これらのコンボからEVを奪う。
③-1:レンジ構成
③-2:IPのベットサイズ/頻度
①のレンジと比較して、最もEQが低いハンド(77)がチョップになる確率は、1/43。しかし、まだチェック頻度がある。ソルバーが、77には微妙にショウダウンバリューがあると判断しているためと考えられる。
またベットサイズに着目すると、150%ベット頻度が生じた。ナッツアドバンテージが無いにもかかわらず、である。
更に、これまでKKはピュアチェックであったが、ベット頻度が生じた。77のベット頻度が上がり、AAだけではバリューコンボが足りなくなったためであると考えられる。
③-3:オーバーベットを受けた時のOOPの戦略
頻度フォールド/コールがEV=0となるコンボはQQ-88の30コンボ。ベットサイズが150%を使うのは、他のサイズよりも頻度フォールド/コールEVを0に出来るコンボが増えるためであると考えられる。
→IPはベットによって、これらのコンボからEVを奪う。
④-1:レンジ構成
④-2:IPのベットサイズ/頻度
最もEQが低いハンド(33)がチョップになる確率は、1/64。チェック頻度は無くなった。また、オーバーベット頻度はレンジ③と比較して、大幅に上昇した(13%→23%)。オーバーベットレンジのバリューコンボがAAだけでは足りず、オーバーベットレンジにKKが入った(バリューの下限が延びた。)。これに伴い、2番目にEQが低いハンド(44)がブラフコンボになった。
④-3:オーバーベットを受けた時のOOPの戦略
頻度フォールド/コールがEV=0となるコンボはQQ-55の48コンボ
→IPはベットによって、これらのコンボからEVを奪う。
4.まとめ
ナッツアドバンテージが無くても、OOPレンジ内のマージナルコンボ(頻度フォールド/コールのEVが0となるコンボ)が増えるほど、ベットサイズが大きくなる。
5.実践に活かすには
お互いにナッツ級コンボが存在する場合、かつ相手のレンジにマージナルコンボが多数含まれる場合はオーバーベットが使える。
例1:モノトーンボード:Solutions - GTO Wizard
BB vs BTN, SRP
Frop:Tc4c3c
x
33%
c
Turn:Qc
x
125%
→相手のレンジには、ナッツフラッシュが存在するが、マージナルコンボが非常に多い(2ペア・Tヒット・セット・弱フラッシュ)。そのため、ナッツアドバンテージが無くても、ソルバーはマージナルコンボに向けてオーバーベットを打ち込む。
例2:フロップAペアボード:Solutions - GTO Wizard
BB vs BTN, SRP
Frop:AsAh2d
x
33%
c
Turn:8c
x
x
River:9c
132%
→IPのレンジには、ナッツ級のAトリップスがまだ多く残っているが、マージナルコンボ(KK~)が非常に多い。それらに向けて、オーバーベットを打ち込める。
以上
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