【無料】パイオニア オラクルコンボ解説
今回は、筆者自身がプレイヤーコンベンション愛知のパイオニアオープンにて、9-4の37位という成績を残したオラクルコンボについて解説する。
CSファイナル出場者が抜けた大会においての9勝4敗という成績は、なんとも微妙ではあるが、このデッキ自体が比較的新しいアーキタイプということもあり、解説にそれなりの需要があると感じたため筆を執ることにした。
0.オラクルコンボとは
このデッキは、切削やドロー、《悪魔の取り引き》などによって自分のライブラリーを空にしてから、《タッサの神託者》の能力によって勝利するデッキである。
平均キルターンは5から7ターンであり、その過程で《悪魔の取り引き》による確定サーチを活用しながら比較的柔軟に立ち回れることがデッキの強みとなっている。
1.オラクルコンボの現状
オラクルコンボの主な有利不利を大まかに書き出すと、次のようになる。
有利
青白コントロール
ファイヤーズ系
イゼットフェニックス
アブザンパルヘリオン
緑単信心
グルール機体
五分
ラクドスミッドレンジ
ロータスコンボ
天使
不利
人間
スピリット
赤単
アグロデッキにかなりの不利がつくため、一概に立ち位置がいいとはいえないが、メタゲーム上の多くのデッキに五分以上で戦えることから、単なるローグデッキにとどまらない価値があると考えている。
また、執筆時点(11月30日)でも新たにMOでの5-0リストが続々と上がっており、まだまだ伸びしろのあるアーキタイプでもある。
2.デッキリスト
オラクルコンボというアーキタイプ自体は、プレイヤーコンベンション一週間前のパイオニアチャレンジで優勝したことで一気に世間に存在が知れ渡った。
今回使用したデッキもそのリストをもとにしているが、一部異なる点もあるため、その点も含めて採用カードについて解説する。
マナベース
元リストでは寓話の小道を2枚採用した上で土地22枚だが、使用リストではすべてアンタップインのみで組んだ上で、土地21枚。ある程度土地枚数が必要なデッキではあるものの、縦引きのドロースペルを連打する関係上マナフラッドを起こしやすいため、この枚数が適正と感じた。
寓話の小道は紛争達成・探査コスト・デッキ圧縮とマルチに活躍してくれるが、序盤のマナ効率が非常に重要なデッキの性質上、どうしても序盤のタップインが許容できず泣く泣く不採用に。
ダメランについては他に入れられるアンタップイン2色土地がないため仕方なく3枚。友好色のファストランドが喉から手が出るほどほしい。
竹沼は土地枠で切削を進められる上に落ちたオラクルを回収できるのが非常に優秀。伝説ではあるものの2枚目以降はスペルとしてカウントできるため3枚。レジェンドルールを利用して紛争を達成する小技はそこそこ使うため覚えておくといい。
ちなみに、兄弟戦争版の《地底の大河》と《難破船の湿地》はとてもイラストが似ているので、旧版を使うなりどちらかを光らせるなりして間違えないように対策したほうがいい。
クリーチャー
タッサの神託者 4枚
説明不要。腐っても《前兆語り》なので、暇なときは結構適当にプレイする。マッチによってはサイド後減らすこともある。
縫い師への供給者 4枚
1マナで6枚切削のバケモン。5キル製造機。実は《悪魔の取り引き》よりもデッキを減らすマナ効率がいい。
《供給者》+《命取りの論争》or《村の儀式》+《宝船の巡航》があると2ターン目に《巡航》が打てる。宇宙。
サイドアウトすることはあまりない。最強なので。
ファラジの考古学者 4枚
このデッキをトーナメントレベルまで押し上げた影の立役者。実は結構スカる。ただスカるとタフ4になるのがかなり沁みる。
スペルがめくれても回収せずサイズを上げることも選べる。アグロ対面だとそこそこやるテクなので覚えておくといいかもしれない。
《ジャイルーダ》等と同じく、回収するカードは「切削したカード」の中から選ぶため、《虚空の力線》等が出ていても回収することができる。
切削のマナ効率自体は良くないため、ブロッカーとしての機能が期待できないマッチではよくサイドアウトする。
スペル
考慮 4枚
土地を切り詰めたい、墓地を肥やしたい、デッキも掘りたいというわがままなニーズにバッチリ応えてくれるカード。文句なしの4枚採用。
致命的な一押し 4枚
《ラノエル》から《シェオル》まで、これ1枚。文句なしの4枚採用。
立身//出世 1枚
墓地対策の薄いメインにおいては、《考古学者》《供給者》を釣って削る役割もこなせ、《神託者》を釣ってフィニッシュもできる便利枠。《取り引き》でこれをサーチすることでキルターンが早まる場合もあるので、1枚は採用したい。
墓地対策が入ってくるサイド後は何もしないことも多いため、多くのマッチでサイドアウトの候補となる1枚。
異世界の凝視 1枚
縦引きのドローカードばかり入っていて、後半マナフラッドに陥ることも多いデッキなので、1枚採用しておくと沁みることが多い。
アップキープに打つことも多いので手なりでドローしないように。切削する過程で落ちてくれると100円玉拾ったみたいな気分になって嬉しい。
呪文貫き 2枚
主にコンボのバックアップ用だが、当たるなら結構適当に打っていい。マナを払わせるためだけに打つこともある。
この枠はサーチ用に《思考囲い》等のハンデスと1枚ずつ散らしたほうがいいかもしれない。
命取りの論争 4枚 村の儀式 1枚
合わせて5枚採用。デッキリスト的に結構腐りそうな見た目をしているが、《命取りの論争》は1枚打てれば後続は宝物をサクれるため意外と腐らない。とはいえ合わせて5枚が限界枚数か。
サイド後に生物を減らす場合は合わせてサイドアウトすることが多い。
悪魔の取り引き 4枚
デッキの核。このカードのお陰で採用枚数の少ないカードやサイドカードへのアクセスも容易。
素早くゲームを畳みたい場合は2枚目の《取り引き》、リソースが細い場合は《巡航》、予想以上に《神託者》が飛んでしまった場合などは《神託者》をサーチするのが基本パターン。
言うまでもないが、打つ際にはリスクとリターンをよく考えること。欲しいカードを飛ばしてしまう確率についてはデッキの残り枚数から容易に計算できるが、そのリスクをリターンと天秤にかけて考えるのが本当に難しく、その難しさがこのデッキをいくら回しても飽きない理由でもある。
後半になるほどリスクが増すカードのため、打つべきか結論が出ない場合は後回しにせず、リスクに目をつぶって早めに打ってしまったほうがいいことが多い。
宝船の巡航 4枚
バグカード。このデッキだとだいたいアンリコ。上述のように最速2tに打てるため、サイド後の墓地対策が間に合わないことすらある。
《虚空の力線》や《安らかなる眠り》をサイドインしてくる相手には1~2枚サイドアウトすることもある。
喉首狙い 2枚
元リストでは《取り除き》が採用されているが、ラクドスの《リリアナ》や青白コンの《ナーセット》等の当てたいPWが減少傾向であることからこちらに変更。
《シェオル》に当たる除去を増やすことで、ラクドスにハンデスで除去を落とされて《シェオル》で蓋をされる展開を減らすことができる。
《スカイソブリン》や《エシカの戦車》には当たらないが、ゲームレンジ的に苦にならないことが多いため、天使や《変わり谷》に当たる点を重視して《パワー・ワード・キル》よりもこちらを優先。
メタゲーム次第では、この枠を1枚削ってハンデスや全体除去をサーチ用に1枚採用することも考えられる。
サイドボード
真髄の針 2枚
《カーン》を刺す。早くあのカード禁止にしてくれ。
PWに対して《取り引き》からサーチして後から対処できる点がデッキに噛み合っている。
レイ・オヴ・エンフィーブルメント 3枚
白単人間が死ぬほどキツいため3枚。人間を見つつ《脂牙》にも当たるのが優秀。元リストは4枚だが、全体除去に1枚枠を譲った。
タフ1が多いデッキであれば白くなくてもサイドインしていい。実際に今回の大会でも黒緑エルフ対面でサイドインした。
闇の裏切り 1枚
《シェオル》の返しに《取り引き》からサーチするためのカード。1枚は採用しておきたい。
パルヘリオン対面でも、《脂牙》を1マナで見ることができ、たまに入っている《タシグル》にも当たるので優秀。
思考囲い 2枚
元リストでは入っていないが、青黒という色の性質上対処できないカードがどうしても存在するため、それらに対応するために採用。
基本的に、《陰謀団式療法》だと思って使うこと。明確に抜きたいカードがないときにサイドインするのは悪手である場合が多い。ミッドレンジの《囲い》とは違うカードだと考えるべし。
霊気の疾風 1枚
オープンという大会の性質上、メタ外のデッキにも比較的広くサイドインできるカードを求めて採用した1枚。
赤系や緑系のアグロデッキの他、ファイヤーズや緑単信心、独創力などにもサイドインできる広いカードではあるが、正直ふんわり感は否めない。要検討枠。
神秘の論争 4枚
苦手なスピリット系をしっかり見ながら、コントロールやイゼフェニ、ファイヤーズ系にもサイドインできるカードということで文句なしの4枚。
夢を引き裂くもの、アショク 1枚
《竹沼》で拾える墓地対策。ほぼイゼフェニとパルヘリオンにしかサイドインしないので、これらが減れば必然的に解雇される枠。
基本的に自分対象で起動して山を削りながら墓地を掃除するが、たまーーーに相手に連打して勝つ。サーチ禁止も地味にパルヘリオンの《異界の進化》に刺さる。
どちらの対面でも、一度盤面を捌いた後で《竹沼》から拾ってきて、《未練残り》や《時間への侵入》などの二の矢に対して蓋をする役割を担うことが多い。
絶滅の契機 1枚
サーチ用の全体除去。メインかサイドどちらかに1枚は取りたい。
緑単信心にもに打てることを重視して採用したが、《魔女の復讐》や《衰滅》、《煤の儀式》等も候補。
3.不採用カード
神秘を操る者、ジェイス
アドバンテージ源としてみた場合は決して強いカードではないため、あくまで《記憶殺し》系のカードが増えてきた場合には候補となるカードという印象。
緑単の《石の脳》対策になるようにも思えるが、カーンが生きている限り《石の脳》を使い回されてしまうため、大抵は両方抜かれてしまう。
ファイレクシアの破棄者
1マナ重いかわりに《竹沼》や《立身》で回収できる《真髄の針》。緑単信心にはクリーチャー除去が少ないため、除去られやすさはあまり気にならない。《針》を3枚以上取る場合は1枚をこちらに散らす事も考えられる。
《針》と違って土地は刺せないもののマナ能力も封じられるため、《グウェナ》や《イグナス》を刺せるという利点もある。
アグレッシブサイドボード
所謂アグレッシブサイドボードのカードたち。相手が除去を抜くことを見越してサイドインするが、そもそも抜ききれない除去がサイド後も残っていることが多く、現状ではあまり効果的ではないと判断し、今回は不採用に。環境の変化があれば再び採用される可能性はある。様々なカードを試したので、使用感については記載しておく。
スカラベの神
除去耐性は魅力的であり、また勝つまでも早いが、重い上に墓地対策が刺さってしまう点、《神秘の論争》に引っかかってしまう点が大きなマイナス。ちなみに《供給者》がゾンビなので地味なシナジーがある。
黙示録、シェオルドレット
立ってるだけで勝ちうるのは大きな魅力。大量にカードを引けるデッキのため回復も偉い。
試した中では一番可能性を感じたが、よく余った《致命的な一押し》が当たって死ぬのが痛い。採用する場合は勝つカードというよりは回復とボディが偉いカード程度に考えるのがいいだろう。
黄金牙、タシグル
早出しができるとかなりの間盤面を止めてくれる点が魅力。墓地対策が刺さる点、《巡航》と墓地を食い合う点が気がかり。デカくて暇なときにアドも稼げるブロッカー、くらいの認識。
永遠神ケフネト
デッキ内のスペル比率が高いため能力のヒット率が高く、飛行持ちのためクロックとしての信頼度も高い。さらに墓地対策も苦にしない、という夢のようなカード……のように見えるが実際は能力がスカってただのフレンチバニラになりがち。《神秘の論争》に引っかかるのもマイナス。
4.マッチアップ解説+サイドボードガイド
各マッチアップにおけるプレイングやサイドボードの方針、相性等を解説する。なお、基本的にはリスト非公開でお互いのデッキがわかっていないことを前提としている。
ラクドスミッドレンジ
メイン微有利、サイド後微不利。メインは相手のデッキに不要牌が多いため有利だが、サイド後のハンデス連打からの《真っ白》や《シェオル》がキツい。良くも悪くも相手の構築次第といった印象。
ラクドス側の一番の勝ち筋は、ハンデスで除去を抜いてからの《シェオル》ゲーなので、シェオルに当たる除去は極力温存すること。
サイドアウト
異世界の凝視
(立身//出世)
サイドイン
闇の裏切り
(真髄の針)※
※《リリアナ》や《霊柩車》が多く見えた場合、サイドインする。
緑単信心
メイン五分、サイド後微有利。デッキがバレていると《カーン》を探されてしまうため、途端にキツくなる。
メインは最低限の妨害しかないため、基本的に速度勝負になる。サイド後はカーンを針で刺せるとだいぶ楽だが、母聖樹で割られる他にも、《ボーラス》で《カーン》の-2能力をコピーから《石の脳》のルートもあるため注意。
サイドアウト
2 喉首狙い
1 タッサの神託者
1 異世界の凝視
サイドイン
2 真髄の針
1 霊気の疾風
1 絶滅の契機
青白コントロール
メイン有利、サイド後微有利。ヨーリオン型だとより有利。メインは大量の除去が腐る上に、《神託者》をカウンターできるカードが3~5枚程度しかない上に全て3マナ以上なのでかなり有利。《神託者》や《呪文貫き》をかき集めながら7tくらいで決めるイメージでプレイする。
サイド後は《安らかなる眠り》が入ってくるため若干キツくなるが、それでも有利というのは変わらない。落ち着いて《神託者》とカウンターを集めること。
サイドアウト
4 致命的な一押し
2 喉首狙い※
1 異世界の凝視
サイドイン
2 思考囲い
4 神秘の論争
1 真髄の針
※《船砕きの怪物》を見た場合には《喉首狙い》を残してもいい。
人間
メインサイドともに不利。先手をもらってなんとか…という感じ。ただでさえ不利なうえ、サイド後《安らかなる眠り》まで貼ってくるのが終わっている。除去やブロッカーを駆使してなんとか自分のデッキを削る時間を稼ぎたい。
サイドアウト
2 呪文貫き
1 異世界の凝視
1 宝船の巡航
サイドイン
3 レイ・オヴ・エンフィーブルメント
1 絶滅の契機
アブザンパルヘリオン
メイン五分、サイド後有利。メインは除去の枚数の関係でパルヘリオンぶっぱが通ってしまうこともそこそこあり、五分くらいの印象。サイド後は1マナで脂牙を除去できるカードが多くなり、リミテビートのプランも間に合わないことが多い為有利。
《沈黙》に注意。一応、《大田原》を握っておくと《沈黙》後の《脂牙》を止められるほか、《呪文貫き》でマナを払わせるのも有効。また、安易にライブラリーを0枚にすると《沈黙》で頓死するパターンもあるため、最後の数枚の切削はなるべく《神託者》の誘発にスタックして行うこと。
サイドアウト
2 喉首狙い
1 異世界の凝視
1 立身//出世
1 呪文貫き
サイドイン
1 闇の裏切り
3 レイ・オヴ・エンフィーブルメント
1 夢を引き裂くもの、アショク
イゼットフェニックス
メイン有利、サイド後微有利。メインはフェニックス側に妨害が少なく、よほどのブン回りをしない限りクロックが間に合わないため有利。サイド後こそフェニックス側も妨害が増えるものの、特段クロックが早くなるわけではないためオラクルコンボが有利なのは変わらない。
サイドアウト
2 ファラジの考古学者
1 タッサの神託者
1 村の儀式
1 命取りの論争
1 異世界の凝視
サイドイン
4 神秘の論争
1 夢を引き裂くもの、アショク
1 絶滅の契機
※相手がコントロールプランを取っている場合は絶滅の契機を入れない、《サヒーリ》や《若き紅蓮術師》を多めに取っている場合は《考古学者》を残すなど、臨機応変に対応する。
バントスピリット・青単スピリット
メインサイドともに不利。不利ではあるが、相手が噛み合わないところを引いていた場合は意外とすんなり勝ったりする。頼む~事故ってくれ~。
青単
サイドアウト
1 異世界の凝視
1 立身//出世
1 村の儀式
1 命取りの論争
2 ファラジの考古学者
サイドイン
4 神秘の論争
2 思考囲い
バント
サイドアウト
1 異世界の凝視
1 立身//出世
1 村の儀式
1 命取りの論争
1 宝船の巡航
2 ファラジの考古学者
サイドイン
4 神秘の論争
2 思考囲い
1 レイ・オヴ・エンフィーブルメント
1 絶滅の契機
ファイヤーズ系
ヨーリオンエニグマ、ケルーガファイヤーズともにかなり有利。サイド後、エニグマには《安らかなる眠り》、ケルーガには《虚空の力線》があるため多少相性は悪化するものの、それでも有利。
どちらの場合も《ケンリス》からの突然死にだけ気をつければ基本的には問題ない。
サイドアウト
4 致命的な一押し
1 宝船の巡航
1 立身//出世
1 異世界の凝視
サイドイン
4 神秘の論争
2 思考囲い
1 霊気の疾風
以上で本記事は終了となります。ご質問・ご意見等ございましたら、遠慮なくコメントかTwitter(@PoohYutaro)までお寄せください。
この後に、投げ銭をしてくださった方向けに、おまけとしてオラクルコンボへの対策カードについてほんの少しだけ書かせていただきました。よろしければ投げ銭していただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
4.おまけ:オラクルコンボに負けたくない人へ
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