社員研修の読書術

わたしは読書する人の方が、読書しない人よりも好きだ。しかし訓練を積んでこなかった人は、闇雲に手を出してババをつかみがちである。ババをつかむだけならまだいい。つかんでも放り出せるので。ババをババと気づかずにありがたく拝読してしまったり、あまつさえババを人に勧めてしまったりすると、ちょっと問題がある。

世の中には、ババの課題図書を与えて感想文のようなものを書かせる会社がある。そういう会社に勤めている友人がいて、とても面倒くさがっていた。休日に一緒に食事していて愚痴をこぼすくらいだから、よほど面倒だったのだと思う。そのとき友人から課題図書を見せられたので、ほとんど読まなくても済むよ、と教えてあげた。

ちょっとした感想文を書くだけなら、次のステップを踏むだけでいい。

  1. 本全体の三分の一~三分の二あたりで、適当なページを開く。

  2. 開いたページが何章の何節でどんな小見出しにあたるのかを確かめる。

  3. 本の目次に全部目を通す。ここで本全体の内容を類推する。

  4. 最初に開いた適当なページだけ、じっくり読む。

  5. 読んだページから「ここが印象に残った」と具体的に引用する。

3のステップで本全体の内容を類推できなくても、それはそれでいい。類推できないような目次なら、通して読んでも内容を整理して覚えていない人がたくさんいるはずだ。そのかわり、4のステップでは内容を理解できる程度には読まないといけない。一ページだけで理解できなくても、小見出し一個分くらい読めば何とかなる。

社内研修の本にとどまらず、押し付けられた自費出版の本とか、送り付けられた同人誌とかも同様に対処すればいい。この読書術は、いい人と思われたいタイプの弱気な人におすすめだ。

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