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桃園空港の無料ラウンジで朝まで時間があるので、今年を省みるなどした

向かいのソファで知らない人が寝ている。

先客はその人だけなので、今ならイミグレも空いているのかもしれないな、でもいま入国してしまっても、深夜なので行くところがない。

桃園空港の無料ラウンジはウワサ通り、到着後の入境審査前のエリアにあった。
(深夜は閉まっているような過去情報もあったが今はシャワーも開放されていた。)

場所はチャイナエアラインのカウンター裏。ラウンジというよりトランジットエリア?

数カ月ぶりに台湾に戻ってきた。平日なので、明日は移動の前に空港で場所を見つけて仕事をしないとならない。ジェットスターはなかなかシビアで、パソコンの入った手荷物がどうしても規定の7.9kg を下回れず、搭乗前に追加で6500円を支払わざるを得なかった。(香港エクスプレスなんて測定もされなかったのに。)

今年はよく動いた。一年の半分は日本に居なかった(その殆どは台湾で過ごした)。日本にいる間も東西をわりと行き来した。色々やってみる年のつもりではあったけど、金銭的には人生赤字の一年になった。


明けて早朝のイミグレ。あまりにガラガラ。10月。

どうしてこんなに動くのだろう。

もともとの動機は積極的なものではなかった気がする。隣人の生活音が怖くて賃貸を変えた。給湯器だか水道管だかの重低音に潰されるような感覚を覚えて、次の住居は一週間で去った。新しい環境に慣れるのに、ものすごく時間がかかる。ちゃんと住めるか分からないのに、2年契約や敷金礼金はハードルが高すぎた。

シェアハウスは初期費用の安いところが多かった。それに他の人の存在はその土地がきちんと住める環境であることを保証してくれるので、安心できる。短期でも違約金がないのを良いことに、いつしかその時々の用事に合わせて移り住むようになった、それが最近。

賃貸の問題と、あとはもう一つ、昔から何となくある「ここは居場所ではない」の感覚。こんなところには根付かないぞという反抗的な精神はだけど最近は、サッと動いて新しい土地での出逢いに期待する前向きな心持ちに昇華してきている。


12月にはイベント(コミティア)のために日本に戻る。絵もある意味で身体の一部を何処かに飛ばす感覚かもしれない。ネットに上げて誰かしらない人の目に留めてもらった作品、あるときは展示して引き取ってもらった作品。見た人が何かを感じてアクションを起こしてくれたことが面白い。自分はその人に会えなくても、まぁそれで良い。

1ヶ月いっしょに住んだ人に教えてもらった、アサギマダラはものすごい体力で日本から台湾へ海を越えて翔ぶらしい。翔ぶ前に体内に養分をしこたま蓄える。すごいな、でも海がどれほど広くて、これからこれだけ長い距離を翔ぶぞ、て分かるんだろうか。たまたま蓄えの良いときに出発したものだけが生き残るんだろうか。海のまん中には蓄えの足りなくなった、たくさんのアサギマダラが浮かんでいたりするのかな。

前回、台湾から戻るとき、友人のひとりに渡り鳥みたいだと言われた。帰る理由を台湾が暑すぎるからと説明していたからだろうな。本当はずっと前に買っていた帰りの旅券が動かせなかっただけで、とくに戻る理由もなかったのだけど。

渡り鳥もアサギマダラも、移動するのはきっと生きるためなんだろうけど。自分は止まったらどうなるんだろう、定住する家に慣れるのに失敗して精神を病むことぐらいはあるかもしれないけど、それが生死に関わるなら自分もやっぱり生きるために動くということになる。

しょっちゅう動いていたら、むしろうっかり途中で蓄えを無くす可能性もあるか。しかし人生はたいがい予想できないので、こう予測した時点でその通りのことは起こり得なくなっている気もする。いつか動けなくなったときは、そこが定住の地になるのかもしれない。


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