ガンマ補正 #4

株式会社リュディアです。今回も引き続きガンマ補正についてまとめてみます。

前回までの ガンマ補正についてのまとめへのリンクは以下を参考にしてください。

今回はウェーバー・フェヒナーの法則の続きです。前回のまとめで定式化まで行いました。この法則が言ってることは基準となる刺激に対する変化量の比に人間の感覚は比例するというものです。また対数が入っているので刺激が大きくなると人間の感覚は鈍感になるということも言っています。ウェーバー・フェヒナーの法則は明るさについてだけではなく人間の感覚全般について述べているのですが今回はこれを明るさに特化してみます。

ウェーバー・フェヒナーの法則に従うと人間は明るさをどのように感じるのでしょうか?以下の図を使って説明します。横軸が実際の明るさで縦軸が人間が脳内で明るさをどのように感じているかを示しています。個人差もあるのですがグレーの曲線が人間が脳内で感じる明るさを示しています。この曲線に従うと 20% 程度の明るさで脳内では 50%程度の明るさと感じ、50%程度の明るさで70%以上の明るさと感じてしまいます。

画像1

ここでこの法則がガンマ補正を混乱させる理由はこの曲線がいわゆる陰極線管の特性とほぼ合致するためです。上の図で説明するとオレンジ色の直線がディスプライや紙面に表示すべきγ = 1 の直線で、人間がそれを見た場合にグレーの曲線のように感じてしまうということを言っています。

人間の明るさに対する感じ方の性質を利用して画像処理を行うことはありますが本質的ないわゆる表示システムや印刷システムで組み込まれるガンマ補正とは何の関係もないことだけ理解いただければと思います。

人間の視覚特性を利用してTVの世界では白伸長、黒伸長と呼ばれる白や黒に近い領域の帯域幅を広げたり、最近であればコンテンツにあわせて表示帯域を調整する HDR という技術も出てきていますが、こちらはまた追ってまとめたいと思います。

では、ごきげんよう。


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