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エンタメ系UIデザイナーが組織にデザインを浸透して行く為に向き合ったこと

こんにちは、LINE Fukuokaのデザインチームです。

今回は、LIVE配信サービス「LINE LIVE」のUIデザイナーたちが、
サービスの課題であった体験設計を改善するために、いかにしてデザインドリブンなカルチャーを組織に浸透させたか施策内容を中心にお伝えします。

・プロジェクト内でのデザイナーの立ち位置、関わり方に悩んでいる
・所属組織をデザインドリブンな組織に変化させていきたい
・エンタメ系サービスのデザイナーが大事にしていることが知りたい

このようなことに興味をお持ちの方に読んでいただき、プロジェクトチームでのデザイナーの動き方について考えるきっかけになれば嬉しいです。


課題

当初、サービスにはデザイナー視点で3つの課題がありました。

・プロジェクトの進行フロー
・閉じたコミュニケーション
・リリースまでのスピード感

その課題に対してどう向き合ったか、デザイン時の考えをお伝えできればと思います。

"LIVE FOR FUN"ユーザーがワクワクする内容になっているか?

まず、この課題に向き合うにあたり、LINE LIVEのデザイナーとして意識していたのは、LINE LIVEはエンタメサービスなので、楽しい見た目になっているか、またユーザーが「ワクワクする」体験になっているか?という点です。


例えば、配信特有の表現で、ハートを押したらハートが拡散され、相手に気持ちが届くような印象を与える表現。ライブ配信は他のエンタメサービスではあまり見られない表現が多く、事例も少ないため、自分たちでビジョンを示していく必要があります。

既存のアプリによくあるUIパターンをあえて外して考えることも必要な為、デザインのセオリーから外れたような表現をひたすらデザイナーたちでアイデアを出し検討する機会が多いです。これらの事を意識しユーザーを中心にした設計思想に立ち返りながらデザインしています。

3つの解決策

Episode 1. プロジェクト進行フローの改善 / 企画初期からデザイナーが関わる

まず前提として、デザイナーは事業付ではなく、事業企画以外の部門は横断組織としてプロジェクトに参加している背景がありました。

そのためウォーターフォール型の進行フローになっており、企画の内容が決まるまでの工程が可視化されておらず、企画の要件がほぼ詰められた状態で共有されていた為、デザインしていく中で企画自体の問題が露呈した場合に多くの手戻りが発生し、企画を1から考え直すというような事が繰り返し発生していました。

そこでデザイナーも一緒に議論し、やりたいこと・KPIの再整理を行い サービスのKPIをより明確化することからはじめていきました。
具体的にはゴールに対して重要度とコストを加味した上で優先順位を決めていき、ジャーニーマップ やフローチャートなど目的に合わせた体験設計を行なった上で、課題だと思う点を一緒に考えるようになりました。

結果、今注力すべきポイントが明確になり方向性がブレずに施策の進行がスムーズになりました。


Episode 2. オープンな議論で視点を増やす

ウォーターフォール型の進行フローでは生み出せないのが各職域の越境と対話です。事業として最大限のシナジーを生み出すためには各々の得意分野を活かし、同じ立ち位置で対話することが重要だと感じています。

例えば”Welcome機能”というユーザー同士がチャットエリアでのコミュニケーションを活性化させる施策では、企画とデザイナーのアイデアラフをもとにプロジェクト内の多国籍なメンバーが対話したことにより、「英語圏だったらこういう表現は理解されないかも」「どの国籍でも理解できる表現ならこういうアイデアもあるのでは?」など新しい発見を得ることができ、シナジーを生み出し成果へと繋げることができました。

そのため、企画の理解・整理だけでなく、Figmaでのコミュニケーション量を増やし、即時的にプロトタイプを作って要件を詰めてくことで解像度を上げた状態でプロジェクト全体とコミュニケーションしました。

その場で共有することで新たなアイデアや視点が集まり、意見がスピーディに反映しやすいサッカー型の動きができる組織になりました。
ただし、最終的なデザインの方向性を示すのはデザイナーの役割なので、
自分たちが、より能動的にコミュニケーションを加速させることも今思うと重要なポイントだと感じます。



Episode 3. ユーザーにいち早く届けることを優先する 

施策の進行が円滑に行われないと、単純にリリースするまでの時間がどんどん延びていきます。
新機能のリリースや改善のサイクルが滞ると、ユーザーへより良い体験をスピーディに届けることができません。
そこで、やりたい企画をすべて盛り込んだ状態でリリースするよりも、プロジェクト内で今回の最終的なゴールとそこに辿り着くまでのロードマップを設定し、段階的に施策をリリースしていく進行フローに変更しました。
これにより、ユーザーにより早くより良い体験を届ける事ができるようになった他、ユーザーの学習コストを軽減しつつ、最適化し、ユーザー体験の成熟につながっていくというメリットも得られました。

例えば”ランダムアイテム”というゲーム感覚で応援するくじ引きアイテムの施策では、アイデアが複数あるため企画が複雑化し、工数も大きくなってしまいました。また、ユーザーが戸惑うことなく遊べるのかという懸念もありました。
そこで「まずはひとつのランダムアイテムをリリースして、ユーザーの反応を見よう」という方針のもと、スピーディなリリースを行うことにしました。結果、ユーザーの反応もよく、最小限のコストで成果を出すことにつながりました。

懸念があるときは根本に立ち返る

とある施策でビジネス的に収益を増やすことをKPIとしていましたが、収益を押し出した施策だと視聴者・配信者・事業のそれぞれが楽しいものかどうかというのは疑念がありました。
そこで、デザイナー内でコンセプトを整理。「視聴者と配信者の頑張りが実るサービスにしたいよね」という根本の考え方を伝えるようにしています。

まとめ

デザイナーの役割は、事業企画側がビジネス的に達成したいことの根幹を汲み取り、サービスとユーザーを繋げるコミュニケーターになることだと思っています。
配信者や視聴者、そしてサービス側も一緒に作り上げていく文化にしていきたい。

これまでお話したことは、いきなりデザインドリブンな考え方の組織に変わってきたわけではありません。デザイナーだけが頑張っても難しいところも多く、泥臭く本音でプロジェクトのみんなでの認識合わせや振り返り会なども行いました。それにより、カルチャーが少しづつ変わったことがきっかけです。

進行フローを変えたことでプロジェクトの手戻りがなくなり、認識のズレが生じる企画がなくなってきています。また、デザイナーも企画フェーズから壁打ちできることでアイデアを拡張しスピード感を持ってデザインを行い、事業に貢献できるように成長していっています。

終わりに

LINE LIVEのデザインの醍醐味は表層のデザインだけではなく、骨格や要件からきちんと入ってサービスに関わりみんなで作っていける事です。

デザイナーが能動的に動いてサービスに変化を促し、そういう文化を自分たちで作っていけること。今後、配信がより楽しく、ユーザー同士がコミュニケーションを加速できるサービスにしていきたいと思っています。

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