見出し画像

デザフェスで大ゴケして赤字出店となった石川の反省

自分の記事は、何か一つやり切ったときに書くことが多いので、壁にぶつかりそれをどう乗り越えていったかというストーリーラインになりがちですが、今回は反省文です。

内容については、デザフェスでの失敗談です。結果にコミットできなかったことがとにかく悔しく、穴があったら入りたいほどの辛さで感情が抑えきれず、デザフェスが終わった日の夜中に筆をとっているものです。

おそらく普段から出展されている方、デザフェスによく来られる方からすると、今回の自分の出店のやり方というのは目も当てられないお粗末なものだったと思います。本当に準備不足・勉強不足で顔から火が出るほど恥ずかしいのですが、とはいえ素人が出て何に失敗したのかということを包み隠さずに書くことも後続のためにも大切なことだと考えており、どうか温かい目でご覧頂けましたら幸いです。

自分なりの見解を書いていきますが、結論的には全ては自分の力不足によるものであり、デザフェス運営の皆様、共同出展していた方々には感謝の念以外抱いておりませんので、先に申し添えておきます。


今回の出展の概要

今回のデザフェスでは、町工場プロダクツというコミュニティでの共同出展でした。動物をテーマに、町工場で事業を営む各社が独自の技術を生かした自社製品を出品していました。出店場所は画像赤丸のD-56.57でショーステージの裏の角地です。

弊社は新商品のSottoを持ち込みました。

サイズが大きい商品なのでもっていく数にも限界があったのですが、事前にTwitterでそこそこ反響があったことや、前回の新宿マルイさんでの出店の時の反省を生かし、数量は3種×20缶の60缶持ち込みました。ショッパーやパンフレット等付随品も併せて特大段ボール7箱分です。

メインフロアだし角地だし他のフロアとの境界線で通路も広いし、とても良い場所だなあと呑気に考えていましたが、このあたりの認識の甘さが地獄の始まりでした。

デザフェス出店の売上は芳しくないものに

一日目の開場と同時にものすごい人が流れていくものの、ほとんどの方が弊社のブースには目もくれず、たまに指名買いで弊社のブースへ「Twitter見ました」と言って買いに来てくださる方がいらっしゃったくらいで(ありがとうございます…!)、足を止めてみることもあまりなく、気付けばほとんど商品がはけないまま一日目が終了してしまいました。

二日目は一日目の反省を踏まえ、奥行きを活かしたレイアウトに変更してみたりしたのですが、一日目の流れと大きくは変わらず、結果としては残念なものになってしまいました。

結果的には、売上は想定以上に少なく、目標の20%程度でした。もちろん、売上だけが出店の意義の全てではないのですが、

売上≒想いに共感して価値を感じて頂けた方の数

と定義している自分としては、価値を感じるどころかそもそものタッチポイントの数も少なければ、共感を生むところにすら至ってないということになります。持ってきた7箱はすべて返送、パンフレットも200部弱しかはけていませんでした。当然その売上では今回の出張費が賄えるところまで至っておらず、今回の出店単体で見てみると完全に赤字出店となってしまいました。出店自体が広告宣伝みたいなものなので単体で収益性を求めなくても良いのではないかという考え方もあるかもしれませんが、デザフェスが即売会であることからもやはりそのチャンスを逸している感は否めません。

失敗だらけの即売会初参加


失敗の原因は多岐にわたって書ききれないくらいで反省点もたくさんあるのですが、初めての即売会参加で気づきとなった点を改めて振り返って考えてみたいと思います。

【失敗その1】BtoBの展示会方式での販売

失敗の大きな原因の一つ目はBtoBの展示会のような販売方法をしてしまったことでした。自分のブースでやっていたのは見本の商品を並べて、ストーリーを描いた本を展示して、重厚長大なストーリーに共感して気に入っていただけたら奥から商品を出してくる、という展示会的なやり方でしたが、これはtoBの相手方のバイヤーの方に対しては効果的な提案方法の一つだったかもしれませんが、一般消費者の方向けとしてはそうではありませんでした。

自分なりに理由を考えてみると、まずデザフェスに来ていた方々が求めているものと提案方法が完全にズレていたことが原因だと感じています。今回デザフェスの現地で初めて実感したのは、来場者の方々は逸品物が所狭しと並んでいるところを歩きながらお気に入りのものを探したり推しのクリエイターの方を見つけるのを楽しんだりしていて、手を伸ばしたらすぐ商品が見れて気に入ったらそのまま作者の手で受け渡してもらってすぐに買うことができるという”手軽さ”と”特別感”の体験を求めているということでした。そのような気持ちでいらっしゃってる方々に展示物だけを机の上にドンっと置いて「どう?良いものだよ?ストーリー読んでよ」という提案方法は傲慢だったと反省しています。インターネット通販とは違ってランディングページもない即売会ではAttention→Interestを相当に丁寧にやらなければそもそも土台にすら乗らない、ということは本当に深い学びになりました。

【失敗その2】大きい缶を持ちかえるという苦痛の軽視

「思ったより大きいね」
という声が見に来てくださった方の何人かが仰ってました。商品企画の中でサイズ決定のプロセスはかなり丁寧にやってきたのでこの感想はかなりの想定外のお言葉でした。自分の認識が間違っていなければですが、まじまじと改めて振り返ってみると、これは文字通りの”用途に対してモノが大きすぎる”という意味ではなく、”即売会で持ち歩くには大きすぎる”という意図での感想だったと認識しています。

今回はデザフェスで売られている商品の中では相当に巨大なもの(縦31.3cm×横23.2cm×高さ10.0cm)であり、持ち帰る商品の大きさというのが購買決定の大きなファクターになることを認識できていませんでした。持ち帰り用の袋は用意していましたが、それ以上に持ち帰りの負担を減らしたり、持ち歩きを楽しんでいただけるようにするための工夫が何もありませんでした。色んなショップを回って好きなものを買って帰るのが楽しみである即売会では、重いもの・大きいものは最も避けられる商材の一つだったと思います。そのあたりの苦痛を払拭するための方法を何も考えていなかったのは大きな反省点でした。

【失敗その3】出店位置の調査&準備不足

冒頭の通り、メインフロアの角地ということもあり、なんとなくいい場所なのかなと油断して何も準備していませんでしたが、いざ現地に行ってみると立地条件はお世辞にも良い場所とは言えませんでした。
まず、ショーステージの裏側で天井照明の陰になる部分で、とにかく商品に光が入らなかった。缶製品は発色の良さが大きな魅力の一つであるはずなのに、薄暗い中での展示となってしまってその良さを伝えきれていませんでした。
また、この場所は他のフロアと違って通路が広く、ステージの控え場所・終わった後の記念撮影場所としても使われる場所で、狭い通路を通りながら物見遊山するお客さんの導線が確保しづらいところでした。
決して環境のせいにするわけではなく、言いたいのはこのような場所で出店するにも関わらず何の準備も対策もしなかった自分の愚鈍さが問題だということです。照明も持ち込まず、遠くからでも見えるように面で魅せる努力もできておらず、この辺りも大きな反省点です。

【失敗その4】せっかくの共同出店も点で集客が分散

今回は町工場プロダクツという団体で参加していましたが、せっかくのコミュニティ参加であったにも関わらず横串が十分に通せていなかったと認識しています。「町工場プロダクツ」というのはBtoBの世界ではエモーショナルなストーリーに共感していただけることも多く、認知度も徐々に高まってきたところですが、toCのところではまだAttentionすらできていない状態でした。各社が長年のものづくりの技術を生かして本当に素晴らしい商品を作っているという自負はあるのですが、「町工場プロダクツ」と掲げてそれぞれが商品を並べているだけでは一般消費者の方の興味を引くには全くもって不十分でした。思い出してみると、前回新宿マルイ店で出店した際は、近所で同じく出店していたさがおうじさんとお互い展示品を置き合ったところ、お互いのファンの方が行き来するという導線ができていました。顔の見えるクリエイター同志が繋がって面でお客様の興味をひくことができなかったという点は次回に向けて大きな改善が必要だと感じています。

【失敗その5】世界観より目先の集客を優先するという悪手

一日目の売り上げが芳しくなかったので、二日目はレイアウトを大きく変えました。対面方式ではなく、奥行きのあるブースを活かして中に入って商品を見ることができるようにしたものです。

そのレイアウト変更に合わせて、壁面も何らか目を惹くものがないと!ということで、各社が壁にメッセージや絵を描くという案が出ました。ライブペインティング的なものも目を惹くことができるだろう、真っ白なままでは依然目をひかないし、何か挑戦しなければ何も変わらないだろうという”もがき”だったと思います。

結論的には、自分の商品に関してはこれはやるべきではなかったと感じました。レイアウト変更して壁面に手書き等で工夫を加えれば加えるほど、商品の輝きが薄れていくような感覚がありました。世界観を壊すことはデザイナーさんやイラストレーターさん、そしてその世界観やストーリーに共感してこれまで買ってくださった方々への冒涜だとすら感じてしまい、息が詰まるほど胸が苦しくなりました。
もちろん、これは同じブースの他社のところは全くその限りではなく、むしろうまく工夫して世界観を表現されている方もいて、これはすごいなと感動を覚えたくらいです。何かをしなければ何も変わりませんし、挑戦して気付けたこともたくさんありますので、正解不正解があるわけではありません。
しかし、繰り返しになりますが、誰に何と言われようと自分の商品については目先の集客のためにこのような判断をすべきでは絶対になかったと思っています。全責任は自分にありますが、改めて反省するとともに、大事に育てようと関係者が心血注いできたブランドを自分の手で棄損してしまったことに胸が痛むところです。そこまでして集客するくらいなら、何もせず集客できないほうがマシです。そもそもA・Iはデザフェスが始まる前に終わらせるべきことであり、目先の集客や売上のためにその場しのぎのやっつけ宣伝手法で商品の世界観を壊すような行為をしていた自分の仕事の価値は、あの瞬間に地の底に落ちたと思っています。

良かった点は町工場ガチャ

今回の出展で非常に目をひいて面白かったと評価が高かったと思われるのが町工場ガチャです。町工場各社で日々生まれる部品だったり、余りものだったり、ロゴのキーホルダーだったり、というものを詰め込んでガチャガチャにしたものでしたが、こちらは想定以上に皆様にお楽しみいただけていた印象です。一回200円、400円の2種類を用意していましたが、どちらもとても活況でした。自分の企画ではないので他人の褌的な話ではありますが、やはりこのような面白さ、特別感、わかりやすいコンセプト、というのはとてもデザフェスとの親和性が高いんだなという勉強になりました。


おわりに

今回何より悔しいのは、ブース確保の準備段取りや設営、準備運搬をやってくださった町工場プロダクツのメンバー、商品のパンフレットのデザインや写真撮影を急ごしらえでやってくださったPLUGの皆様、出川光さん、そして商品を頑張って期間までに間に合わせて作ってくれて弊社スタッフ、協力会社の方々に対して、結果で返せなかったことです。新宿マルイ本館でtoCの実店舗販売で良いスタートが切れたと思っていましたが、少し慢心していたところもあり、現実はそうは甘くなくまだまだ足りないところだらけであることを改めて認識できました。

とはいえ、まだtoCもやり始めたばかり、新商品も初めて出したばかり、こんなことで一喜一憂していては全く話にならず、この失敗をいつか笑える日が来ることを信じて、反省点を一つずつ潰して行動あるのみだと思っています。次デザフェス出るときは、もっと色んな方に自分たちの世界観を伝えられますよう。精進あるのみ!がんばります。

昨日の夜中の1時から書き始めて、今日の帰りの新幹線の中で書き終えたら5000超になってしまいました。長くなりましたが最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,085件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?