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「好きな人に幸せになってほしい」という原点に軸足を置くこと

「人を好きになって、街を好きになって、その人たちのために何かしたいという気持ちこそが、営業担当者としての矜持だなと思いました」

これは自分が10年前転勤するときにSNSへ投稿してた言葉のコピペで、すごく達観して偉そうな物言いにも見えるのだけど、今の自分にも強く根付いて大事にしている考え方だなあと改めて思う。

金融営業をやり始めたばかりの僕は、とにかく数字に追われてばかりで、目の前のお客さんのこともロクによく見ようともせず「借りてくれ借りてくれ」と言って客先をまわる日々だったように思う。で、本当に仕事が辛くて、つまらなくて、毎日職場に隕石でも落ちて全て吹き飛んでしまわないかと願う日々だった。多分当時の自分は、自分のことしか考えてなかった。毎月容赦なくやってくるノルマとか、他の同期との比較とか、そういう目先の目標とか自分の見栄とかに軸足を置いて仕事をしていたのが、色んな人に透けて見えてただろうし、だから結果も出なかった。実際自分でもそれはよくわかってて、一体誰のために仕事してるんだろうなという想いと日々の仕事のプレッシャーの間で葛藤に苛まれていた。 政策金融って普通の金融とちょっと違うんですよね。儲かってるお客さんにガンガン貸し付けるみたいなことではなくって、セーフティネット的な要素も強いし、スモールビジネスのマイクロファイナンスみたいなこととか創業融資もするし。地域を支えるなんて言うとおごがましいけど、地域経済の末端まで血を通わせるっていう明確な役割があったと思うんですよね。最初はそのあたりの実感が持てずに苦しんでいたけど、営業でぶつかり稽古をして数年も経つとだんだんとそういう自分の仕事の価値みたいなものの解像度が上がっていって、仕事への向き合い方は大きく変わった。「お金を貸す」というやってること自体は全く変わらないのだけどね。どうすればお客さんの事業が維持成長するのか、お客さん自身やその先にいる従業員、その家族の人たちの日々の暮らしが良くなるのか、未来が明るくなるのか、という事に立脚した仕事観はとても誇り高くて楽しかったし、結果もついてくるようになった。本当に正しいことをし続けていれば結果は後からついてくるはず、という学びはこういう政策金融の現場での原体験から得たと思う。

今ぼくは小さな会社の経営者になったわけなのだけど、この考え方は今も大事にしてるつもりで。”経営者”っていう事業全体に対する責任を背負って正解がないビジネスの答えを求められ続ける立場になると、どうしてもなんらか組織開発とかマーケティングとかビジネスっぽい背伸びした言葉を振り回してそれっぽい答えを出したくなる気持ちが湧いてきたりもする。けど、やっぱりまずは原点回帰で、自分と一緒に働く人たちのことを好きになって、お客さんのことを好きになって、どうすればその人たちが幸せになるかみたいなことを考え抜くのがスタート地点なんじゃないかなあと最近改めて思っている。世の中にはすごい人たちがたくさんいて、横目で見てるとついつい追いかけたくなることもあるけど、それも結局軸足の置き場がズレるんだろうなあ。事業の発展は自分たちの想いの結果であってほしいし、そういう想いを貫いて働ける環境をつくることには時間もお金も全力で投資していきたいと思っている。答えは、自分の中にしかない。

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