藤壺の宮は〝物の怪のせい〟にしたくない 【第1話】
序
──死んだと思ったら、産まれていた。
ちょっと何を言っているのか分からないかもしれないが、あいにくと脩子にだって分かってはいなかった。
何せ、大学に向かう途上でトラックにはねられたと思ったら、羊水やら血にまみれて、産婆に抱き上げられていたのである。全くもって、意味が分からない。
「いや、何故に……?」
そう声に出したはずの言葉は、残念ながら言葉の形をしていなかった。
ただ「おぎゃあ」と泣いただけである。どうやら脩子は、記憶をリセットされぬままに、輪廻