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祖母と私の「ボランティア」をめぐる大紛争 〜そこからの学び〜

物心ついた頃から、祖母はボランティア団体の代表を務めたり様々な活動に精を出していた。それについて私は特段の思いも無かったのだが、ある事がきっかけで、大論争を起こしてしまった。

ある日、TVから「日本はボランティア後進国。ボランティアを応援する制度がないから、やりたくても出来る人が少ない。」とのコメンテーターの声が流れてきた。

祖母はそれに賛同し「ホントにそれ。経済的にも時間的にも、支援が無いとなかなか広がらないわよ。」と言った。

まだ中学生だった私は、その言葉に違和感を感じた。「ボランティアって、無償でやるからボランティアなんじゃ無いの?。見返りを求めるなんてボランティアじゃないでしょ?。」と返した。

祖母「そんなこと言ってもそれぞれに生活がある。学生には学業がある。その中でボランティアしたいと思ってもできない人も沢山いる。

「だから、支援もらって、じゃボランティアじゃ無い。余力のある人がやればいいんじゃ無い?。」

祖母「子供が何言ってるの。何も分かってないからそんな事言えるのよ。」

「子供とか大人とか関係ないでしょ。生きた年数が多い方が偉いのか?歳とってるからって偉そうに言うな。」

と喧嘩を売ってしまった。
(恥を晒して申し訳ない)  


そのやり取りに一番困ったのは私の母だった。
怒って2階に上がった私を追いかけて来た。

「何なの、あれは。お婆ちゃんに対して。」

「別に。思った事言っただけ。間違った事言ってないし。」

「あなたの意見が "あってる""間違ってる"は一旦置いておくわ。ただ、あなたは絶対に正しいの? 常に正しいの? そうじゃないでしょ。相手を敬いなさい。そして、いつも正しいなんて驕ってはダメ。」

完全にノックアウトされた。
意気がっていた自分が恥ずかしくなった。

血気盛んな反抗期(?)の私は、意見を否定されたら、真っ向から勝負を挑むつもりだった。
子供の頃から口だけは達者で、相当自信過剰だったかも知れない。

そんな私に、今の意見の"正・否"では無く、
「常に正しい人なんていない。そう思うのは愚かである。」
という恐ろしく冷静なツッコミをされてしまった。この時ばかりは痛烈に反省し、自分を振り返ることになった。

多少なりとも「口の立つ」人間は、相手を打ち負かそうと戦いがちかも知れない。
だが、自分が正しいと思う事は必ずしも「正解」ではない。また、相手が思う意見も、相手は正しいと思って発言している。
相手を敬い、尊重する事は、いつ、どの場面においても大切な事である。
それを中学生の頃に気づかせてもらい、家族には感謝している。

学んだ事と、考え方の変化

せっかくそんな経験があるのに、残念ながらそれを悟ったような人間に、簡単にはなれなかった。高校、大学と進学する中でも、調子乗りな性格が災いし、相手を打ちまかそうと議論を楽しんでいた記憶がある。

そんな中、就職の直前に「阪神・淡路大震災」が起こった。経験した事の無い大惨事だった。
その時、私は京都に居り直接的な被害は殆ど受け無かった。
ただ、災害の大きさを報道で知り、気付いたらボランティア活動の為、西宮に向かっていた。
学業の合間を縫ってのため、そんな大層な活動ができたわけでは無いが、活動本部から毛布や食材を運んだり、空いてる店や物のありかを示すエリアマップを作成し配ったりした。

子供の頃からボーイスカウトでもあったことから、ボランティア活動をした事はあったが、"何となく"良い事をするのに「恥じらい」のようなものがあった。
「良い人と思われたいんじゃ無いか?」
と、勝手に自分に懐疑的になっていたような気がする。
ただ、学生生活の中で「企業活動とフィランソロピー」について学ぶ事があり、利益と社会貢献は両立できるもの(すべきもの)、という認識が強くなっていた。
芸能人が社会貢献活動をしているのに関して、「売名行為」と批判される事もしばしばある。
売名行為、大いに結構
と思うようになった。誤解がないように付け加えておくが、売名を褒め称えてるのではなく、その「行為」が誰かの助けになり、誰かの役に立つので有れば、動機が仮に「偽善」であっても、受取手にとっては「善」と受け取れる、という事である。
心がどうなのか、それこそ神のみぞ知ることで、極端に言えば、自分の本心も分からなくなったりする。(これは自分自身の問題かな?)

そして、冒頭の祖母との喧嘩の種であった「支援を受けてのボランティア活動」も大いに結構、という気持ちになった。
やはり私が間違ってました。ごめんなさい。

とにかく
自分が常に正しいわけでは無い、謙虚になれ。そして相手を敬うべし。
良い事をするのに恥じらいは不要。遠慮なくすべし。
を学んだ。
社会人生活25年経った今も、またまだそんな出来た大人にはなれていないが、迷ったとき、子供の頃に学んだ事を思い出し、自分を正していきたいと思う。




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