見出し画像

#11 【独り言エッセイ】頭の中でトウキョウツアー

気がついたら東京で過ごすのも1年のうちで3分の1程になっていた。すごく、不思議な場所だと思う。あれだけ小さな面積の中でも、電車に10分も乗っていれば全く景色が違う街が矢継ぎ早に現れる。地元というか、育った場所は、都心から離れてる、いわゆる東京だけど「東京じゃない」東京。海外の人に東京出身と言った時、おそらく皆が想像してるであろう東京「じゃない」方だ。引っ越しも何回かしてるし、正確には生まれた場所というわけではないけれど、そんな「じゃない」東京を「地元」としておこう。私はそんな地元がとても好きだ。

適度になんでも揃っている駅前。駅を数百メートル離れると、生活感が増し、人を感じる。途端に現れる商店街や、何十年も前からあったであろう個人店の定食屋や美容室。小さなバーや焼き鳥屋。大きな駐車場を構えたスーパーや薬局。

自転車に乗って風と共に流れる景色に、目で捉えられる範囲で、忙しすぎない感覚で、チェーン店やコンビニやスーパーが現れる。小学校からは休み時間になって一斉に外に飛び出してきた子供の声が何一つ認識できないほど何重にも重なって聞こえる。

こう書きながら、2つの地元を思い浮かべている。中学校卒業までいた地元と、高校から引っ越した地元。バスに乗ったり、自転車に乗ったり、歩いたり。中学や高校の帰りがたまにお昼前になる時は、駅前のファストフード店でテイクアウトして帰るのがたまにの贅沢だった。

そんな地元からも、ひとたび電車に乗ると、瞬く間に違う東京へ到達できる。引き寄せられるように毎度改札横のコンビニでちょっとしたおにぎりやパンやプロテインバーやミンツを買うのは電車移動の醍醐味、だと勝手に思っている。

生まれも育ちも東京。だけど、毎回電車に乗って目的地へ行くときはワクワクする。大体知っている場所に行くことが多いけれど、知らない駅に行くこともまだある。私は途轍もない方向音痴なので地図があったとしても真逆の方向に歩いていることも多いが、それでも新しい場所を開発するのは好きだ。時間より早めについたら駅前のスタバに入るか良さそうなカフェを探すのが楽しみだし、ギリギリについたり遅れてしまった時は、小学校時代から培った遅刻回避超高速ウォークを発揮する。

次帰るのはきっと、来年の春なので。それまでは頭の中で巡るこのまち。

池袋———「近寄りやすい都会」自分の中でのこの街の位置付けはきっとこんな感じ。割とどこからもアクセスが良くてなんでもあって、ふらっと出たり友達と会ったりするのに丁度いい。日本にいる時は、外に作業しに行くだけのために池袋に行ってカフェを梯子することもある。デパートあり、カラオケあり、ご飯屋さんあり、カフェあり、だけど思いっきり都心ではなく、ちょっと親しみがある東京。通っていた中学と高校の数駅先だったから、特に高校の時は、オフの日に放課後友達と寄り道したりもした。学校帰りにスタバの新作フラペチーノを飲むときは必ず池袋で降りたし、定期テストの後はサンシャイン通りでご飯を食べてから買い物したりもした。文化祭の打ち上げやクラスの集まりは大体池袋だったし、今でも中学高校の友達と会うときは池袋率が高い。池袋の明治通り沿いにあるペットショップで犬を見たり、ジュンク堂で本を探したり、スタバでお悩み相談したり。そんな日々が懐かしくて、日本にいる時の休みの日は今でも当時をなぞる様に池袋に足を向けることがよくある。

神保町———大きい通りには古本屋がたくさんあって、働く大人の味方な蕎麦屋やうどん屋がたくさんあって、カレーの街でもある。アメリカの大学を受験するのにサポートしてくれる塾があった神保町。高校3年生の秋からは、高校の帰りに神保町に寄って、終電に間に合うまでの時間、仲間と共に必死にエッセイに齧り付いていた。早く着いたらサンマルクカフェでチョコクロを食べながら作業。夜ご飯は商店街にあるうどん屋。帰りに隣のセブンイレブンで、作業のお供を買う。駅に着いた頃には人通りがあった通りも、塾をでる頃には街灯の灯りと黒いコンクリートしか見えない。出願締め切りの日(元旦)には駅前のホテルに泊まった。今もたまに気が向いたように足を向けるその場所は、今はもう少し、安心して足を運べる場所。美味しいカレー屋さんやペンがたくさん並んでいる文房具屋さんや、色が変わった本が置いてある古本屋を眺めながらゆっくり歩く余裕もある。でも結局あのサンマルクカフェに入ってしまうけども

有楽町・銀座———大好きな街。しょっちゅう行くわけじゃないけれど、駅に降り立つだけで特別感があって、私が待ち合わせ場所を決めて良いときはよく有楽町に指定してしまう。食後はお決まりの銀座通りを散歩。ここまでしないと帰れない。これが一番楽しみだったりするのだ。夜の銀座通りが一番好きかもしれない。別に何かを買うでもなく、ただただ歩く。灯りのついたビルが華やかで、地上から見てこんなに夜景が映える場所は他にないのではないかと思ってしまう。通りを歩いていくと、次々と空港で嗅ぐような香水の匂いが訪れる。聞こえる言語も必ずしも日本語だけではない。どこか異国の香りがする東京。何をするでもなくただ歩きたくなる通り。そして、銀座という響きもいいよね。

新宿———避けるにも避けられない。なんてったって、線を網羅しすぎだ。どこに行くにも新宿を通過するのではないかと思ってしまう。人が多くて、線がとてつもなくややこしい新宿は、決して自ら好んでいく場所ではないけれど、それでも、どこか面白さがある。その人混みの影に隠れて、知らない店がたくさんある。なんでも揃っている。夕食を食べて、「デザート行こう」となっていくつか候補が浮かぶのは新宿ならでは。東京周辺のいろんな方面に散らばったメンバーが集まるのにも便利。今年の春に親友とタイ料理を食べた後、夜パフェ専門店に行った。夜パフェ専門店、、、そんなのある、恐るべし新宿。そして何度行っても、地図なしには自分がどこにいるのか、どうやって駅まで戻るのかは分からない。

自由が丘———ちょっと高級なレアキャラスポット。高校生まではあまり自ら足を向けたことがなかったが、大学生になってカフェやおしゃれという概念に目覚め始めた私たちは、自由が丘という決して交通の便がいいわけでもなく、人によっては辿り着くだけでひと労働な土地に度々集まるようになった。カフェのチョイスが多い。食べたいものをもとにカフェを検索してもいくつか候補が上がる。余裕がある時にその時と空間と普段かけられない手間のために集まるのにも最適な土地。そんなザ・おしゃれな自由が丘だが、どうしても私が自由が丘に行く時はタコパのイメージになってしまう。そう、たこ焼きパーティー。昔からの幼馴染グループと集まる時は謎に自由が丘で集合してタコパという習慣が出来上がっていた時期が何年か続いた。たこ焼き機を持ってくるのはいつも、遠くの千葉からやはるばるやってくる彼であった、、、。

森と湖の国フィンランドの中でも小さな街クオピオのカフェで頭を巡らせているこの瞬間だけでは到底回りきれない。降りたい駅がまだたくさんある。

何故か映画を見るのによく行っていた錦糸町や、歩くと背筋が伸びる六本木や、ちょっと奥の小さい道に入ったトンカツ屋さんがすごく印象に残っている表参道。高校に入ってから友達の影響で開発した吉祥寺。中学校が違う友達3人で中間地点として放課後集まっていた後楽園。インターンで通っていたお茶の水。

いろんな顔がある東京が好きだ。

夕食を終えて電車で地元まで帰ってくると大体、駅前の駐輪場はがらんとしていて、自分の自転車もすぐ見つけられる。まだ人は起きているであろうけど外はシンとした黒と白の道を、自転車に乗って、歌いながら帰る。夜は歌って帰っても恥ずかしくない瞬間の方が多い。それに万が一絡まれることがあったとしてもその前に「変な人」認定されたら不審者すらも回避できるという一石二鳥。空の月が一番はっきり見えるほどの街灯具合に「帰ってきた」と安心して、中からの明かりが煌々としているコンビニの前を通ってまた安心する。

本日のトウキョウツアー完。


あとがき

今日も読んでくださり、ありがとうございました!皆さんにとって素敵な1日でありますように♡

月咲



いただいたサポートは海外での活動費や、日本でのスポーツ支援活動に使用させていただきます!