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ホテル業界

■自己紹介

はじめまして!
フリーランスの簿記講師、おしばです。

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■10月の業界勉強会

今月も大手町ランダムウォーカーさんの「ファイナンスラボ」の業界勉強会に参加させていただきました!!

楽しく財務分析勉強ができるコミュニティ「ファイナンスラボ」おすすめです↓


今回も特別ゲストには…
東洋経済新報社のなかやまさん!!!
今回は中山さんへの質問タイムがたっぷりあったので、業界地図製作の裏話なども聞けて嬉しかったです^^



■プレゼンター

大手町のランダムウォーカーさん(自転車業界)
自転車のあさひの財務情報をもとに、自転車ビジネスが実現できるのか?を検証するプレゼンとても勉強になりました!
財務分析は起業するためのヒントにもなりますね( ..)φメモメモ
仮説を立てて検証するという大切さ、比較対象の選び方など大事だなと改めて思いました!

にしけいさん(業界)
今ホットな話題の「NTT」とソフトバンクのBS比較でしたが、投資会社としての特徴が表れているソフトバンクに対して、単一セグメントのNTTは基地局の割合がどう反映されるかというのも面白かったです!

いごはちさん(乳製品業界)
フィールドワークの結果も踏まえたプレゼンがおもしろかったです!
宅配便の商品はサイズが小さく作られている理由も驚きですね…


おしば(ホテル業界)
過去1番反響をいただいたホテル業界の第2弾をプレゼンしました!
↓  ↓  ↓

■ホテル業界

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今年5月の業界勉強会でホテル業界第1弾を発表しましたが、その時はホテル業界の経営業態(所有・経営・運営)に注目した内容でした。

今回はその時と異なる分析をしてみましたので、ぜひお読みいただけると嬉しいです!


まずはホテル業界の概要をざっくりと…

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日本は低価格の宿泊特化型のビジネスホテルが成長する一方で、結婚式などの宴会としての利用が多かった御三家やシティホテルなどが結婚式の簡略化などで需要が下降気味。

世界を見るとマリオットやヒルトンなどブランド力が高い大手ホテルチェーンがM&Aによって規模を拡大しています。

しかし、コロナで状況は一変…。

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オリンピックに向けてホテル開業を予定していた企業が多く存在する中で、インバウンド需要は蒸発しました。

瀕死状態だったホテル・旅行・航空・鉄道業界でしたが、政府のGo toキャンペーンによって回復を狙います。

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そんな状況下ではありますが、、、

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ホテル大好きな私は3つのホテルを利用してきました。

<ザ セレスティン>
三井不動産が手掛ける「ザ セレスティンホテルズ」は2017年にリブランドオープンしたホテル。
ラウンジや客室には大島紬を用いたデザインやアイテムがあり落ち着く雰囲気となっており、レストランでは美味しいお料理とシャンパンが堪能できる素晴らしいホテルでした。

<ヒルトン東京>
時間の流れがゆっくり進む空間で、コロナ禍でも海外の方が多くいらっしゃいますね。
シックなデザインのお部屋に、お酒を飲みながら仕事ができるエグゼクティブラウンジ…。住みたいですわ…。

<ベイコート倶楽部>
会員制ホテルなので…行くのが夢だったのですが…もう最高すぎて記憶がございません…。別荘買うよりベイコート倶楽部の会員権が欲しい…。また新たな夢ができました。夢しかない…。


ということで!!!!!!

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B/S(貸借対照表)のクイズです!

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リゾートトラストを解説していきます^^

■会員権ビジネスとは?

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国内リゾート会員権でシェア80%のリゾートトラスト。
アメリカのタイムシェアビジネスを日本で早期に確立をして、現在18.2万人もの会員を抱えています。

リゾート会員権は高いブランド力や信頼ありきのビジネスのため参入障壁は低く、2位との差を引き離すほどの地位を確立。


まずリゾート会員権とはどんなものでしょうか?

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別荘を買うのと同じ要領で、「ホテル一室」と「使用できる権利」を購入できるのがリゾート会員権です。

一室を複数人で購入するため、
「365日÷購入したオーナーの数=占有日」
となり、利用保証日が割り振られます。

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会員権のプランによって異なりますので上スライドは一例ですが、だいたい年12~26日が占有日となっています。

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別荘と比較して修繕管理など面倒なメンテナンス作業がなく、都市部からのアクセスが良い場所にもあり魅力的なので富裕層から人気を集めています。


■リゾートトラストの事業内容

では、リゾートトラストの事業内容を見てみましょう。

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・会員権事業
・ホテルレストラン事業
・メディカル事業
・その他
の4つの事業を行っていますが、
その中でも圧倒的に利益率が非常に高く、稼ぎ頭になっている会員権事業。

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会員権の販売によって得られる収入がメインになっていますが、その価格はいかに…

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リゾートトラストが運営している会員制ホテルの中でも高級なベイコート倶楽部ですが、だいたい1,000万~4,000万程度で販売しています。

現在販売中の横浜ベイコート倶楽部を見てみると、高額なプランは完売していますね。。。

エクシブだとお得な600万円~の会員権もあります(金銭感覚


1室を上記の価格で複数オーナーに販売し、原価は1つの建物の建設費、用地費など開発にかかったコストになるので利益率が非常に高くなります。


次にホテルレストラン事業です。

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「あれ?会員権を販売したらタダで泊まれるのでは!?」

「一体この事業は何!?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、タダでは泊まれません!!

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まずは、運営管理コストとして年20~30万程度払います。


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タダでは泊まれず、宿泊費も払います。

(ゲスト料金とは、「エクシブ」などリゾートトラストの他の会員制ホテルの会員が利用する場合の料金で、会員もしくは紹介者以外は利用できません)


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さらにはチャージ料金がかかります(お高い…


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さらにレストランで食事をする場合には食事代もかかります。。。


つまり、

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といういうことです。

ベイコート倶楽部の例なのでお高めかもしれませんが、すごい金額ですよね。。。

ただし!その分一度行くと圧倒されます。。。

夢しかないです(2回目


上記までのホテルメインの事業に加え成長事業となっているメディカル事業。

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会員権を持つ富裕層が比較的年齢が高いため、高度な検診サービスを受けられるメディカル会員権も販売しています。

会員権+入会金+月会費などを支払ことで、手厚いサービスを受けながら日々の健康管理をすることができ、需要が高まっています。

有料老人ホームの運営もしており、こちらも続々開業しています。


その他事業では、管理業務を主として会員権購入者に向けて、お金の貸付業務を行っています。

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このように非常に高いシナジーを期待できる事業を展開することで、財務基盤を固めながらも安定的に収益をあげる体質を作り上げています。

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■会員権の会計処理

ここからが本日の本題!

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ホテルを開発し、会員権を販売し、宿泊などのサービスを提供するというビジネスフローになっています。

まずは土地を購入し、、、

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開発段階で会員権を販売し始めることろに特徴があります。

リゾートトラストでは会員権のうち半分が開業前に売れるため、投資額が開業前に回収できるという強みがあります。

ん!?

開業前に売るとどんな会計処理になるのでしょう!?

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保証金100万+登録料400万+不動産代金500万=1,000万円の会員権を販売したとします。

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保証金と登録料は、契約時にすべて受け取り、不動産代金は開発の進捗度に応じて受け取ります。

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このように、登録料は契約時にすぐ売上計上されますが、不動産代金と保証金は開業日まではB/Sの負債に計上しておきます。


建設が進み、基本的な枠組みが完成した時点で、2回目のキャッシュイン。

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もう保証金と登録料は受け取っているため、残りは不動産代金のみです。

不動産代金は会員権の50%(500万円)をトータルで支払うのですが、契約時に10%(100万円)を受け取っていますから、のこりは40%(400万)ですね。

上棟時にはこの40%のうちの半分20%(200万円)を受け取ります。

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そして、また前受金に蓄えていきます。


最後は建物完成時です。

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不動産代金ののこり20%(200万円)を受け取り、会員権1,000万円のうけとりはすべて完了です。

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開業するまで前受金に蓄えておきます。

では、開業したらどうなるのでしょうか?

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B/Sの負債にしておいた保証金と不動産代金をすべて売上にしなければなりません。

まず、不動産代金。

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そのまま全額売上に振り替えます。

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しかし、保証金は注意です。

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すぐに全額売上計上せずに、保証金を30年で割って毎年少しずつ売上に振り替えていきます。

この売上は、会員権事業ではなくホテルレストラン事業の売上として計上します。

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開業前に会員権販売をすると複雑ですが、開業後はシンプルですね。

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前受金と売上が短期間で大きく変動するため、決算書を読み解くときにはホテルなどの開業スケジュールを把握した上で読み解く必要があります。


ちなみに…

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通常のホテルと比較してもコストを抑えつつ、安定したビジネスができるという点では会員権ビジネスは数値の予測がしやすい業界とも言えます。

ただし、キャッシュの動きと売上計上に時差があることや、30年に渡って保証金収入を立てていくことを踏まえるとキャッシュの動きには注目しなければなりません。

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■リゾートトラストの展望

リゾートトラストの今後の展望です。

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インバウンド客はターゲットにしておらず、会員の多くは国内の医者や経営者などの富裕層でありコロナのダメージはリーマンショック程長引かない予想。

リゾートトラストが運営するホテル間でも会員制ビジネスと、非会員制ビジネスとで明暗がくっきり。

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コロナ禍でも開業予定の会員権は順調に販売が進んでおり、成長事業のメディカル事業にも注力する予定とのこと。

ビジネスモデルやターゲット層などの強みを活かしながらも、拡大を続けるリゾートトラスト、ますます魅力が増しました!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

今回はリゾート会員権の会計処理をメインにプレゼンしましたが、キャッシュフローや資産回転率など様々な視点で財務分析が楽しめる企業だと思いました^^

ホテル業界、やはり面白い!!

■10月の業界地図オフ会

ファイナンスラボとは別で、毎月業界地図を使った勉強会を開催しています!

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10月は「ご当地企業」をテーマに勉強会をZOOMにて行います^^
会社四季報 業界地図2021の巻頭特集「ご当地企業」から、お好きな県を選び、なぜその企業がTOP3に入っているのか?を分析し発表し合います!

10/19(日)15-17時開催↓↓

9月業界地図オフ会_推し業界企業

プレゼンターとして参加したい!視聴だけしたい!
などお気軽にご連絡ください^^

■参考文献、サイト
・会社四季報 業界地図2021年度版

・リゾートトラストHP ★IR資料をベースに作成しました

・東急ハーヴェストクラブ

・日経新聞 2020.9.17付け記事




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