【簿記3級】お金の貸し借り
お金を貸したとき、借りたときの仕訳について説明します。
ポイントは2つ
①ツール
「証書」と「手形」どちらを使ってお金の貸し借りをするのか?です。
一般的にお金の貸し借りを行う際、金額や返済日等の取り決めを記載した「借用証書」を2部作成して、押印したものを返済日までお互いに保管して…というイメージがありませんか?
このように借用証書を使ってお金の貸し借りを行うと、事務手続きが煩雑で業務負担が大きくなるのが難点…。
そこで、6ヵ月~1年以内など短期間かつ少額の金銭貸借であれば、借用証書の代わりに「約束手形」を使うことがあります。
手形は証書よりも事務手続きが少なく、印紙税も安いからです。
<手形を使って借り入れた時のフロー>
当社が金融機関から借入期間4ヵ月で500,000円を借りる場合…
1.当社が額面500,000円の約束手形を振り出して金融機関に渡す
2.500,000円から4ヵ月分の利息が差し引かれた金額を受け取る
※手形を用いた場合、利息は先払いが一般的
3.手形に記載された満期日(返済日)に返済すると手形が返却される
「証書」と「手形」どちらのツールを使うかで勘定科目が変わります。
問題文に「手形」を用いた旨の記載がなければ、「証書」を用いた取引と考えてOKです。
②利息の計算
金銭貸借取引に必ず登場する「利息」。
利率は1年単位が一般的で「年利%」「利率年%」のように表記されます。
しかし、お金を貸し借りする期間は1年間とは限りませんので、借入(貸付)期間に応じた利息を計算する必要があります。
期間をしっかり確認した上で、計算ミスをしないように注意しましょう。
ちなみに利息計算に限らず、計算はかけ算を優先的に行うと端数が出にくいです。
理解しやすい順序:
700,000円×利率年4%=年28,000円
年28,000円÷12ヵ月=月2,333.333…円
月2,333.333…円×9ヵ月分=9ヵ月分20,999.999…円≒21,000円
端数が出にくい順序(かけ算を優先、最後にわり算):
700,000円×利率年4%=年28,000円
年28,000円×9ヵ月÷12ヵ月=9ヵ月分21,000円
■借入の処理
お金を借りる=債務が増加しますので、貸方に借入金(手形借入金)を記入するのは確定です。
そして返済したら債務がなくなりますので、逆の借方に借入金(手形借入金)を記入して消します。
証書借入
<借入時に利息を全額支払うパターン>
返済時は元本だけ返済することで完結します。
<元利一括返済パターン>
お金を借りるときに元本のみ受け取り、返済日に元金と利息をまとめて返済するパターンです。
いずれの方法であっても、一時的に2,000,000円を借り入れたことで結果として80,000円の資産を失っていることになります。
お金をコツコツ貯めて設備・研究開発費に投資するとなると時間が必要になり成長機会を逃してしまうかもしれません。
借入金を上手く活用して投資に充てることで効率的に収益を上げることができます。
中学生の時に簿記を勉強するまでは、借入を行う会社=危ない会社という先入観があって、「借金するってことは何か支払に困ってるんだろうなぁ、かわいそうに」なんて思ってました…
銀行員の父から「お金は困っている会社に貸すんじゃないんだよ、お金がある会社に貸すんだよ」と言われてから、見える世界が変わったことを今でも鮮明に覚えています。
はっ…!!語りすぎてしまいそうなので、手形借入に話を移しますね。
手形借入
ツールが違えど、基本的には勘定科目が「借入金」から「手形借入金」に変わるだけと考えて大丈夫です。
ただ、少し独特な表現になるため事例を紹介しますね。
「手形を振り出した」と書いてあると思わず『支払手形』と答えたくなりますが、支払手形は商品代金を支払うために振り出した手形の金額を指しますので使えません。
「借入を行った取引」が主題であって、「手形」はあくまでもツールに過ぎませんので要注意です。
以上、借入の処理でした。
■貸付の処理
お金を貸す=債権が増加しますので、借方に貸付金(手形貸付金)を記入するのは確定です。
そして返済されたら債権がなくなりますので、逆の貸方に貸付金(手形貸付金)を記入して消します。
証書貸付
<貸付時に利息を全額受け取るパターン>
返済時は元本だけ返してもらうことで完結します。
<元利一括返済パターン>
お金を貸すときに元本のみを渡し、返済日に元金と利息をまとめて返してもらうパターンです。
銀行に2,000,000円を眠らせておくよりも、取引先などに貸し付けることで利息で儲けることができます。
何せ、日本の銀行は2,000,000円預けて置いても、普通預金なら年0.0010%(=20円)、定期預金なら年0.0020%(=40円)なので…
まぁ、貸し倒れたら元も子もありませんがね!
※ちなみに、元も子もないという言葉は「元金も利息もない」という意味から生まれました。
手形貸付
借入同様に、基本的には勘定科目が「貸付金」から「手形貸付金」に変わるだけと考えて大丈夫です。
「手形を受け取った」と書いてあると反射的に『受取手形』と書きたくなりますが、受取手形は商品代金をあとで受け取るために保有している手形の金額を指しますので使えません。
借入同様「貸付を行った取引」が主題であって、「手形」はあくまでもツールに過ぎませんので要注意です。
以上、貸し付けの処理でした。
意外とバリエーションがある勘定科目
ここまで社外との金銭貸借取引を説明しましたが、社内での金銭貸借取引もありえます。
試験では最適な勘定科目を選ぶようにしましょう。
以上、お金の貸し借りをした時の仕訳でした。
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