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本当に大事なものは目に見えない。 「鈴木敏夫とジブリ展」

2022.07.14
こんにちは。三鷹のジブリ美術館から帰ってから気持ちはジブリで。寺田倉庫で開催されている「鈴木敏夫とジブリ展」に行ってきました。
(記事「ゆたかであたたかい美術館〜三鷹の森ジブリ美術館」)

PIGMENT(ピグモン)


その前に、寺田倉庫が運営する「PIGMENT(ピグモン)」に寄る。(記事「圧巻!4500色の顔料 / 伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」)

圧巻の色!何度見ても飽きないわー

ここのディスプレイの美しさは秀逸。来る度に新たな発見があり、創作意欲が刺激される。美しいって嬉しい。

鈴木敏夫とジブリ展

スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫さん。あの名作の題字を書いている方、”「となりのトトロ」を作ろう”と発案された方。

1948年、名古屋市生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、徳間書店入社。
『アニメージュ』の創刊に参加し、副編集長、編集長を務めるかたわら、高畑勲・宮﨑駿作品の製作に関わる。
1985年にスタジオジブリの設立に参加、1989年からスタジオジブリ専従。以後ほぼすべての劇場作品をプロデュースする。
現在、株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。

鈴木敏夫とジブリ展

泣き出しそうな空には鶴丸。滑走路を4本持つ羽田では、最短45秒間隔で離着陸が行われています。

入口を入ると、わー!あの題字。

「ここで働かせて下さい」「生きねば」「生きろ……そなたは美しい」
「夢だけど 夢じゃなかった」

伝統芸能 ”石見神楽" の公演『魂(みたま)神楽』へ寄せた言葉。
石見といえば石見銀山を思い出す。スサノオにアマテラス、八岐大蛇…。
(記事「4千年前の地底の森へ。 三瓶小豆原埋没林 / 島根②」)

ここから、鈴木プロデューサーが少年時代を過ごした四畳半の部屋が再現されていたり、スタジオジブリでの足跡を辿る展示が始まります。ですが、撮影禁止。
ジブリ美術館と同じように、撮ることに捉われず、自分の目で見て感じることの大切さを思い出させてくれます。

ここから撮影OK。モーリス・センダック!大好き大好きかいじゅうたち。

私の本棚にもWild Thingsたちいるわー

8,800冊の本棚


鈴木さんのこれまでを形作った8,800冊の本棚。鈴木プロデューサーの隠れ家・れんが屋をモチーフにしたそうです。

この展覧会のスポンサーである au/KDDIのブランドスローガン「おもしろいほうの未来へ」と書かれた本を読んでるカオナシ。
うんうん、どんな時も自分が惹かれる「おもしろい」を選択したいね。

ちょこんと座ってるーカワイイ!

あっ、竹宮惠子さんの『地球(テラ)へ…』!夢中になって読んだなー

コンピューターにより徹底的に管理された社会。何の疑問もなく「従う」ことに慣れきった人々。自分とは、私とは、進化とは。
今、この状況下でもう一度読みたくなる作品。

チェブ!(記事「チェブラーシカを連れて首脳会談が行われたレスナーヤ・ザイムカへ / ウラジオストク④」)

The Wild Things たちがここにも。

「我々はどこから来たのか ー歴史学・民俗学・人類学に学ぶー」


ジブリの作品をみて感じること。それは神話や伝承が至る所に散りばめられていること。
神話や昔話、伝承には真実が散りばめられていると思ってて。真実は物語や子ども向けの童話などにもひっそりと隠されているって感じてる。

特に好きな2作品、『千と千尋の神隠し』と『もののけ姫』にそれを感じる。

真の名前を口にすることはその人の霊的人格を支配することになる、という習俗や、

荻という字を間違えて書いたから大丈夫だった??

多くの神話に登場する黄泉戸喫(よもつへぐい)などなど。
黄泉戸喫は、黄泉の国(あの世)の食べ物を口にするとこの世に戻れなくなるというもの。イザナミですなー

ハクが「ニギハヤミコハクヌシ」という本当の名前を思い出した瞬間、白龍であったハクは元の姿に戻ります。

ニギハヤヒ(邇芸速日命 にぎはやひのみこと)を彷彿とさせますねー。
ニギハヤヒはアマテラスから十種神宝(とくさのかんだから)を授り、天磐船(あまのいわふね)で高天原から河内国(今の大阪府交野市)に降臨した神。交野市にある磐船神社には舟形の巨岩が御神体として祀られています。

そしてこのニギハヤヒに従ったのが長髄彦(ながすねひこ)。どうしてもアシタカヒコ、という名と重なってしまいます。
ヤマトとの戦いで長髄彦は、朝廷側に寝返ったニギハヤヒに殺されてしまいます。蝦夷の祖とされる長髄彦、北の大地からきたアシタカ、そしてニギハヤヒ。
とても深いメッセージが込められているようです。

BRUTUS 2010年8月1日号より

油屋別館

本棚を抜けると

ゆるーいカオナシ、カワイイ。

湯婆婆の部屋の前にある、あのシノワズリな陶器!

木製でしたー

表情がイイ。

そして湯屋「油屋」(あぶらや)をモチーフにした大型空間、<油屋別館>が広がっていました。

湯婆婆と銭婆が対になってるおみくじ屋さん。

口の中にある紐を引っ張って、出てきた数字の引き出しを開けておみくじを取り出します。

神様たちに逢えるかと思ってボタンを押したけど…

あのシーンも再現できるの。

この世に戻って来られなくなるといやなので、つつくだけね。
大きなタペストリー欲しかった。小さいのはあったんだけど…雑貨になってしまうのよね、欲しいのはインテリアになる大きさ。

オオトリ様と一緒に!冷やし足湯 “せんとうちひろ”。

手ぬぐいを受け取って

ひえ〜冷たい!そうだ、冷やし足湯だった…冷房が効いた館内だとちょっと寒い。となりの人、足つってるし〜ひやっひゃっ。

写真撮って早々に退散。
手ぬぐいのデザインは素敵だったわ。

イモリの黒焼きは完売。残念。

店番してたカオナシが愛らしすぎた。一緒に帰る?

で、水辺でご飯食べながら

購入した「カオナシ醤油差し」を出して嬉しがる。

記事を書くのに、2010年のBRUTUSを引っ張り出してきた。

経験のない人にはちょっとわからないと思うんですけどね。人間の内面の奥の方には、何か混沌としたエネルギーやら個人の記憶を超えた記憶のようなものがあるんだと思うんです。それに従うわけです。社会生活を営んでいく上での道徳とかルールに従うのとは別に。だから、日常の生活をやっていくには極めて困難な事態が発生するんです。
蓋が開いてしまうと、やっていいことといけないことの境目がなくなってくるんです。作品というのは全部理詰めで作るとつまらないんです。理屈ではこうだけど、どうしてもこれではおかしい、これじゃつまらない、じゃあどうするか。理詰めじゃないものが出てくるには、本当に困らないとダメなんです。

宮崎駿さんのインタビュー。BRUTUS 2010年8月1日号
10年前にはピンと来なかったけど、今なら分かる気がする。

本当に大事なものは目に見えない
今回の展示で残った言葉。ジブリの作品には何やら根源的なものが宿っている。深いところに刻まれた遠い記憶のスイッチが押されるような。言葉にする前の何かとてつもなく大切なもの。

品川駅でウルトラマンが飛んでた。
ヒュッと横の改札を抜け、新幹線に乗って遠くへ行きたい衝動にかられた。「蓋が開いたまま」でいいのかもね。

鈴木敏夫とジブリ展
会期:2022年7月1日(金)〜9月7日(水)
開館時間:10:00~20:00   ※最終入場は19:30まで
会場:東京・天王洲 寺田倉庫B&C HALL/E HALL
〒140-0002 東京都品川区東品川2-1-3



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