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令和の歳時記 ナガメ

多くの人はカメムシと聞くとクサイ虫と言って嫌う。この季節、押し入れやタンスの中で冬眠しているカメムシを目覚めさせ誤って潰した経験のある方もいるだろう。

強烈な悪臭は、#鼻孔#びこう#の粘膜から喉にもこびりつくから一日の気分を台無しにする程の威力がある。

私は別に#臭い#におい#フェチではないがカメムシは好きな昆虫のひとつだ。

多彩な模様美と滑稽な動き、そしてごくまれに音を発する種に出会えた時が最も嬉しい。

名の由来はアブラナ科の植物の葉っぱに付く亀に似た虫から“菜亀”となったらしい。

今の時節は菜の花畑へ行くと出会える。黒を基調にした#甲#こう#はオレンジ色の目、鼻、口の人面模様が描かれているからすぐに見つけられる。

ユーモラスな姿を一番のセールスポイントにしているのかは不明だが、子孫繁栄にはとても熱心だ。

葉上で2ペア、3ペアは当たり前で、繋がったお尻で“フリフリダンス”している姿が実に可愛いらしい。

しかも朝から晩まで一日中交尾していることも珍しくない。基本的には太陽の方に背中を向けているが人間などの影が霞めるとクルリと葉裏に回る。

隠れたつもりでもシルエットで見えるからついついイタズラ心が騒ぐ。小枝を拾ってナガメに近づけ上手い具合に橋渡しする。

ここからが本番で小枝を縦にしてみる。テッペンまで歩かせてからひっくり返す、この繰り返しを行うといつまでお歩き続ける。

何ペアも付けるとゾロゾロ行ったり来たりして交通渋滞だ。ナガメには悪いが何とも愉快な気分になるから許して欲しい。

ナガメ13-1



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