あこ

~一生分の恋をしました~ W不倫の結末

あこ

~一生分の恋をしました~ W不倫の結末

最近の記事

50. 尾行してたのは夫

慌てて入ったその細い脇道には街灯がない。 大きな公園沿いなので、夜はほとんど車は通らない。 その道の途中が、蓮との待ち合わせ場所だった。 約束の時間より少し遅れたが、蓮もまだ来ていないようだ。 よかった。 私はエンジンを止め、サイドミラーを閉じた。 そして、いそいで、車を降りた。 周りには誰もいない。 足早に来た道を戻る。 自分の車から100メートルほど離れたかな? ごみ置き場か何かだろうか…道沿いで、身を隠すのにちょうどいい場所を見つけたので、そこにしゃ

    • 49. 尾行された夜

      金曜日、夫は出張へ行った。 22時半になった。 蓮との約束の時間。 壁にかかった時計で確認してから、外に出た。 そして、車を出すために門扉を開けようとしたその時、何かを感じて、咄嗟に左方向を見た。 うちの家の前の道は右方向に向かって一方通行。 左方向の先には、小さな川がある。 その川沿いには、大抵いつも、数台車が路上駐車されてる。 それはいつもの光景。 でも、確かにさっき、人影が動いた。 ん? よーく目を凝らして見ると、車のそばに立っていた人が慌てて車に乗り

      • 48. ブログがばれた

        それから、1ヵ月程がすぎた。 【日曜日】 午前中、少し仕事してくると、夫は早朝から事務所へ。 お昼頃に帰ってきた。 みんなで、昼食。 ちょうど、たまたまテレビで映画『電車男』が始まった。 なんだかんだで面白くて、昼食後もそのまま、最後まで、みんなで見てしまった。 まさに、当時はまってたブログでのやりとりがこの映画と似たようなところが多々あり、私ひとり、みんなとは違う場面で笑ってしまったり、うんうん!あるある!みたいになっていた。 しかも、ホントにすごい偶然なの

        • 47. 仮面夫婦

          もちろん、当時の私は、夫が私を疑ってるとは夢にも思っていなかった。 自分のことしか見えてないし、自分のことしか考えていなかった。 『おはよう』 翌朝、やっぱりいつもと変わらない夫だった。 子供達も義両親の家から帰ってきて、みんなで食事。 傍目には、ごく普通の家族。 私も夫も笑顔だ。 心なしか、二人とも、いつもより機嫌がいい。 いつもより仲良くできる。 なにしろ、昨夜、久しぶりに一緒に寝たからね。 いろんな意味で、お互い、覚悟したからね。 自分の笑顔が、夫

        50. 尾行してたのは夫

          46. やっぱり離婚する

          いくら目をつむってどれだけ頭で蓮を浮かべようとしても、やっぱり彼とは違うわけで… どれだけ行為に集中しようとしても、なかなか私が受け入れ体制になれなくて… というより、 どうしても、夫を触ることができない自分に驚いた。 つまり両手を宙に浮かせた状態。 何度も、夫の肩に背中に手を回そうとするんだけど、どうしても夫に触れることができなかった。 万歳しとくのもおかしいし… とにかく、手のやり場に困って、そっちにばかり気がいってしまった。 手に唾液をつけて、私を触り、

          46. やっぱり離婚する

          45. 饒舌

          その夜、夫が一睡もできなかったなんて、私は知るよしもなかった。 私は私で、危なかったドキドキと、初めてのバイクの余韻でなかなか寝付けなかった。 『おはよう』 翌朝、いつもと変わらない夫だった。 …よかった。 ホッとした私は、いつもと同じように、バタバタ朝の準備に追われた。 が、なにげに饒舌になってる自分にハッとする場面が何度かあった。 その度に、昨夜のことが浮かび、ドキドキした。 どうして人は、やましいことがあると、饒舌になるのだろう。 ましてや、夫はそうい

          45. 饒舌

          44. 動揺

          なんとか夫に出くわすことなく、無事玄関にたどり着いた。 呼吸を整える為に、深呼吸。 思いっきり息は切れていたけど、とにかく冷静を装う。 そして、ゆっくり玄関を開けた。 ……あれ? 夫はいなかった。 すぐに携帯を確認。 あれ以降、着信はないようだ。 とにかく急いで家にあがり、あがってすぐ左手にある洗面所に入った。 と、その瞬間、玄関が開いて夫が帰ってきた。 なんだ……先に着いただけか。 「ごめん。心配させたみたいで。」 口火を切ったのは私。 顔は見せずに

          44. 動揺

          43. 戦慄

          いつもこっそり抜け出す時は、素っぴん。 部屋着のままで上からジャンパーはおるだけ。しかも、時間は10分程度。 万が一、夫に見つかった時に言い訳できるからだ。 ただ逢いたい。 それだけだったから、蓮の顔を見て、ぎゅうっとしてもらったら安心してすぐに家に戻っていた。 その夜も、いつもどおりちゃんと夫のイビキを確認してから、こっそり家を抜け出した。 でもその日は、第4週の金曜日だった。 毎月、最終金曜日は、彼の奥さんは娘を連れて実家に帰る。 そして土曜日に遅れて彼も奥さん

          43. 戦慄

          42. 夫の努力

          夫は、なるべく早く仕事を片付けて、毎日19時頃には帰ってくるようになった。 そんなこと、今まではなかった。 毎晩、子供達と一緒に夕飯を食べる。 これも、めったになかった。 夫的には、なるべく家族一緒に。そして家の事も手伝って、、とでも思ってるのだろう。 しかし、今までずーっとほったらかしだったのに、今更構われると逆にそれは私にとって最大のストレスになった。 ホント、今更だよ…。 それにそもそも、誰もそんなこと望んでない! とはいっても、私の不貞行為はまだバレてない。

          42. 夫の努力

          41. 不倫相手のパートナー

          そして月曜日。 朝から蓮とホテルにこもった。 やってる時もやってない時も片時も蓮から離れなかった。 蓮とくっついていたいのではなく、ただただ不安だった。 浮気相手としては、最悪な感じになってきてる私。 離婚するとかしないとか、自分でも重いしめんどくさいと思う。 「私のこと好き?」 『もちろん』 「どこが好きなの?」 あーぁ、まさか、自分がこんなバカなこと聞く女になるとは…。 でもなぜか、何かが不安で仕方なかった。 ついでに、聞いてみた。 「私と夫がこう

          41. 不倫相手のパートナー

          40. 3ヵ月ぶりの夫の帰宅

          土曜日なので逢うことはできないけど、蓮は都合をつけて外出し電話をくれた。 また、夫と一緒に住むことになったこと。 やっぱり離婚できないかもしれないということ。 それを聞いた蓮は『よかった』と言った。 最近少し痩せてきたし、顔色も悪いから心配してたと。 『これでいいんだよ』って言われた。 子供達の為にも私の為にも離婚はしない方がいいと。 私は、黙ってそれを聞いていた。 私が返事をしないことに困ったのだろうか? 蓮は珍しく、変なことを言い出した。 『あこさん、とにかく

          40. 3ヵ月ぶりの夫の帰宅

          39. 降参

          TSUTAYA事件のあった週末のこと。 「ピンポーン」 11時頃インターホンが鳴った。 誰だろとモニターを見に立ち上がった。 え? 1度うつむいて、もう一度よくモニターを見た。 なんで? どんなに目を凝らして見ても、間違いなくそこに写っていたのは私の母親だった。 『あこちゃん、開けて。お母さん。』 まって、なんで急に? 私の母親は夫家族を嫌っていたので、この家には絶対に来なかった。 しかも、何の連絡もなしに、母親が私の家に来るなんて、あり得な

          39. 降参

          38. はじまり

          とりあえず、蓮には車から降りてもらってそのまま帰ってもらった。 運転席に移り電話を握りしめ、強く長く息を吐いた。そしてTSUTAYAを見ながら、夫に電話をかけた。 ……。 あれ、出ない。 再び、心臓がバクバクし始めた。 最悪の結果しか思い浮かばないんだけど。 自宅まで車で15分ほど。 このまま帰るか、どうしようか。 いずれにしろ、ある程度は覚悟なり心構えなりがあった方がいい。だから、もう一度夫に電話してみた。今度はすぐに電話に出た。 「もしもし?」 『おまえ

          38. はじまり

          37. W不倫のルール

          W不倫のいいところ。 男女差はあるものの、既婚者同士だからこそ分かりあえることがたくさんあって。 だから、お互いに都合が良くて、 日常のめんどくさい事は一切抜きで、男と女に戻れる。 擬似恋愛を楽める。 それが、私がまだ独身で、相手が既婚者の不倫の時には分からなかった感情。  だって自分が独身だと、決してそれは、疑似じゃなく本気で恋だったから。 不倫は非日常。 帰宅したら日常。 私も最初は、それが、できると思ってた。 しようと思ってた。 しないといけないと思ってた。

          37. W不倫のルール

          36. 私にはできない。

          さらに、1ヶ月ほどたった。 その日は、蓮は半休。 朝からふたりでホテルにいた。 その時だ。 珍しく私の電話が鳴った。 夫だ…。 しばらく携帯を眺めていたが、今は無視できない。 仕方なく、人差し指を口の前に立てて、蓮の顔を見ながら電話に出た。 内容は忘れたが、その時の私の受け答えで、蓮に私が離婚しようとしてることがバレた。 『あこさん、どういうこと?なんで? まさか、オレのせい?』 「オレのせいじゃないよ。オレは、全く関係ないから、安心して。」 『でも……。』

          36. 私にはできない。

          35. 離婚の条件。

          そんなこんなで、夫が出ていってからの1ヶ月。 すっかり蓮と遊び呆けていた私。 慣れというのは恐ろしい。 良心の呵責にさえ、慣れてくるようだ。 私は何食わぬ顔で、夫が出ていったことに安心して、どんどん罪を重ねていった。 『離婚してほしい』と夫に言えたことで満足してしまっていた。 『離婚したい』と、単に気持ちを伝えただけで、全く行動が伴っていなかった。 というか、実のところ、どうしたらいいのか分からないだけだっだ。 そもそも私は何の為に離婚しようとしてるのだろうか。

          35. 離婚の条件。