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テンションが上がると押してしまったり、怒ると叩いてしまったり、その際ニコニコしていたりするお子さんを架空のA君として支援を考える話② 前庭覚編

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前回の記事からの続きです


お子さんを取り巻く環境づくり


まずはA君のストレス原因を少しでも軽減できるような環境づくりが必要です

例えば保育園、幼稚園、学校、習い事のような「集団の場」は

「感覚」が一気に押し寄せてくる場といえます

感覚統合不全のお子さんにとっては何もかも「楽しくない」「学べない」場になりえるのです

・余計な感覚を減らしたり

・必要な感覚を狙って入れられる

・困ったときにヘルプを出しやすい、ヘルプを受け取られやすい

そういった環境づくりです

「感覚由来の失敗感を減らしていくということ」

それが個別支援や小集団での支援、つまるところの「発達支援」と呼ばれるものの側面の一つなのです

そういった場で自分の感覚を制御できるように、大人が遊びをピックアップ、提供の仕方も工夫し「感覚を統合すること」につなげるのです

私が「療育」や「発達支援」の早期の必要性を唱える理由の一部でもあります

それではA君の成長に向けてのどんな遊びを提供すればいいのでしょうか 以下に記述していきます

前庭覚系の遊びで感覚の成長を手助けする

まずは前庭覚成長に重点を置いた遊びを設定したいと思います

なぜなら、前庭覚は感覚の中でも「枠組み」としての働き、全ての感覚をまとめる感覚と言われています

物理的、重力的な入力を司る前庭覚が整っていないと、お子さんが認識するすべての感覚は適切に入力されないという考え方です

自分がどの程度のスピード感があって、傾いてるのか傾いてないのかなど、そもそもここが整っていないと成長どころではありません

前庭覚の成長を中心に様々な別の感覚を育てる遊びを並行して行っていくイメージでしょうか

また、前庭覚は自律神経系にも大きく影響を及ぼす感覚です

前庭覚が育つ過程でお子さんの情緒面が落ち着くことも期待できますし、情緒が落ち着くことでいままで拒否的だった態度が柔和になり、学習の機会が増えることにもつながるのです


前庭覚の成長を促す遊びとして「回転」「揺れ」「加速」「傾き」といった属性がある遊びが考えられます

公園でいう

・ブランコ

・滑り台

・回転遊具(もうないところも…)

・ターザンロープ

・三輪車

等でしょうか

そういう視点で見ると、そういった遊びを重点的に入れるお子さんは「その感覚を楽しんで入力し、感覚を統合している真っ最中」と とらえることができます

きっとA君も楽しく行うものと考えられます。もしかしたらずっとその遊びばかりするかもしれません

ここで、ただ遊ばせるだけでなく、感覚統合的に遊びの中で大人ができる工夫があります

・一緒に遊びながら、関係性をつくっていく

前庭覚の遊びの多くは「やりとりが発生しやすい」ということも利点の一つです

ブランコなら強く、弱く押す等の気持ちを聞いたり、笑顔を向けたり、「楽しい?」と声をかけたり…

こういった部分も意識していくと、遊びの中で徐々にお子さんとの信頼関係も構築されていきます

これはもう少し先のA君が「子ども同士が関わる上で起こるやりとり」の基礎、予行練習になりえます

・強く、弱く、止まる、ゆっくり、傾きなどの加速の加減を伝える

遊びの引き出しの中で、強く、弱くはもちろん、止まる、ゆっくり、傾くなどの状態を大人が意図的に、楽しく作りだすことも大切です

これは大人の感覚と子どもの感覚をすり合わせる意味合いもあります。例えば

ブランコがゆれている状態で「ストップ」と声をかけて止まる遊び

これは大人の「ストップ」のという言葉の意味とA君の「止まっている状態」を楽しくつなげていくことができます

「ゆっくり」「速く」なども同様です

聴覚と前庭覚、固有覚、脳の音の意味処理などを統合する遊びの引き出しと言えます

同じような遊び方に追いかけっこ中にこれをする「ストップ&ゴー」というやり方もありますね

もしかすると、A君が前庭覚系の遊びをやらない場合もあります

前庭覚の過敏さがあるお子さんは重力不安も強く、ブランコなども怖がってやらないケースも多いのです

前庭覚を入れる遊びを刺激の少ないものからちょっとずつ入れることも視野に入れます

次に屋内でできる前庭覚系の遊び、遊具も紹介したいと思います

スクーターボード

スクーターボードはうつ伏せ滑るだけで前庭覚における加速や揺れ、上体をそらして傾けたり、固有覚系の姿勢も保持する動きもあるため、支援の中でもトップクラスに行っていた遊びでした

遊び方もさまざまで

・ぐるぐるコースを回ったり

・乗りながら、目標物を用意し、タッチしてもらったり

・ボーリングピンをたて、ボードをボールに見立てて乗りながら倒したり…

かなり応用の利く遊具になります

抱っこでぐるぐる

抱っこ、おんぶををしながらぐるぐる回ります。最後はどしーんと、床に寝転がります。前庭覚を大人、子どもと一緒に楽しむことができます

あまりやりすぎると大人が持たないので、1~3回を繰り返します

大人も疲れた時は、「ちょっとまって」「10数えたらもう一回やろう」と
待つ動作を楽しく学ぶきっかけになったりします

この遊びの系統で、「3.2.1ロケット!」と高い高いの要領で飛びあげる遊びもお勧めです


ツイストボード

これは金魚運動のお尻に充てるやつみたいなものですが、これに乗ってお子さんと手をつないで、ひねりを加えるだけで回転する遊びになります

また、段ボールなどを上に載せ、お子さんに乗ってもらうことで、強めの刺激を入れることができます。まるでアトラクションのように…


まだまだあるのですが、今回はこの辺で…

ただ、皆さんが今までやってきた遊びを「これはもしかして前庭覚を育てるのでは?」と改めて気づくことも「感覚統合の視点」にはとても重要なのです

もしかしたら、自分の引き出しに多くの感覚遊びが眠っているかもしれません

A君を通しての記事は次は「固有覚」の話でまとめていきたいと思います

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