映画「燃えるドレスを紡いで」

English title : Dust to Dust

directed by 関根光才

starring : 中里唯馬 (YUIMA  NAKAZATO)


Documentary film


2008年にベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーを卒業し、2009年に「YUIMA NAKAZATO」を設立。翌年7月、日本では森英恵以来2人目のパリ・オートクチュール・コレクションの公式ゲストデザイナーに選ばれ、継続的にパリコレで作品を発表している。

デザイナーとして衣服に向き合ってきた中里は、「衣服」の最終到達点が見たい・・・とアフリカ・ケニアに渡った。そこで彼が目にしたのは、世界中から衣類をゴミとして押し付けられた現実を目にし、打ちのめされる。安く大量生産された衣類が集められ、さらに大きなビニル袋にぎゅうぎゅうに詰め込まれ、結束バンドで荒括りされて、部屋いっぱいに押し込められ、そのほとんどが売れ残って結局は焼却されている。これを知って自分たちファッション・デザイナーは一体何を作ればいいのか・・・帰国した中里は革新的なアイデアとチャレンジ精神で、未来へつながるデザインのあり方を模索し、パリコレへと挑む。


ファッションの最前線にいるトップ・デザイナーが、アフリカのケニアにまで足を運び、そこで目の当たりにした「捨てられる服」の量のものすごさ・・・袋詰めされて結束バンドで括られてカートンのような形で部屋に高く高く積まれてる光景・・・は強烈だった。

たぶん、この映画のタイトルを思い出せなくなっても、あの光景は記憶から消えることはないだろう、とにかくこれは、たとえ「映画から」という間接的な見え方でもいいから、みんなが目にするべきだと思う。


「もう服を作らないでくれ」という叫びのような怨念のような、アフリカの声・・・

また、アフリカの奥地の原住民の村では、衣服の原点ともいうべき、動物の皮をつなぎ合わせて身に纏わせた人々の姿・・・

パリコレのトップデザイナーがとにかく現場に足を運ぶ姿がすごく印象的だった。

もう捨てられて誰にも見向きもされない衣服たちをどうやって再生させるのか。

安く作られた服ほど、合繊で、綿も化学繊維も混じってる・・・

日本各地にある「ベンチャー企業」にデザイナー自身が足を運んでる姿がとても印象的だった。再生目的で混紡製品を、糸に戻し、繊維に戻し、まるで和紙をすくような感じで、一枚の生地に作り替えている企業や、さまざまな微生物を研究し、化学繊維、プラスチックを分解させて土に返したり水に返したりしていく企業など、その場へ唯馬さん自身が足を運んで実際にその過程をその目で見て、できた製品を実際に自分で手にとって確かめる・・・

結局はどんな頂点にいる人も、自らの足を使って目を使って、手を使って「現物を知る」ことが一番大事なんだなぁと。


ファッションショーの準備も、ここまで密着して撮ってるってなかなかないと思う。良いことばかりではなく、間に合わない、どうしよう、届かない、どうしよう・・・の連続。

モデルが身につけるアクセサリーも、レジンを使ってデザイナー自らが手作りしている。

ほんま「奮闘するデザイナー」なんだなぁと。

華やかな・・・だけじゃないんだと唸らせられた。

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