おさや

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翻訳者・母・鳥好き・本好き・歴史好きをブレンドしながら、文章力アップと日々の心の整理のために書いています。柴飼い。GLAY HAPPYSWINGER。

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  • 雑記

    身の回りのことを題材にした雑記です。別ブログから移行した過去記事もあります。

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    読んだ本や読書関連の記事をまとめています。

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    在宅フリーランスとして仕事と子育てのはざまで感じたことをまとめています。

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    翻訳の仕事や勉強関連の記事をまとめています。

最近の記事

嫌な女

PMS期の終盤、気分が荒れに荒れると、悪い女・嫌な女の出てくる話がほしくなる。犯罪に手を染めるとか暴力を振るうとか、そういう法に触れる「悪さ」をしている女がただ見たいわけではない。社会にいまだ漂う「女性の美徳」や「女らしさ」といった型につばを吐き、あるいはそれを巧みに利用して、己の道を貫いている姿が見たい。才気走っている人がいい。 今月は、酒井順子さんの『平安ガールフレンズ』。清少納言も紫式部も藤原道綱母もみな、知性と「嫌な感じ」を兼ね備えていた。酒井さんご自身の文体も、同

    • マドレーヌちゃん

      前回の記事で書いた図書館での企画展示には、私が幼いころに読んだ記憶のある絵本がいくつもありました。そのなかで特に「なつかしい!!」と小躍りしたくなったのが、『マドレーヌのクリスマス』です。ルドウィッヒ・ベーメルマンス作、旧訳は俵万智さん(佑学社、1989年)、新訳は江國香織さん(BL出版、2000年)。 マドレーヌちゃんは寄宿学校で暮らす12人の女の子のなかでいちばん小さいけれど、いちばん勇敢。「かっこいい女の子が活躍する物語」という印象が鮮明にありました。つたのからまるふ

      • 図書館で翻訳絵本の新旧訳と出会う

        先日、いつもの図書館に行ってみると、『翻訳絵本の新旧訳を読み比べてみよう!』という企画展示が開かれていました。「こどもの読書週間」に際しての展示とのことでした。地方都市の図書館で原書と訳書が並んで置かれているだけでも貴重なのに、旧訳と新訳までそろえてくれているなんて! 翻訳をなりわいにしている者として、こんなすてきな企画が地元の図書館で開かれていることにいたく感動しました。 展示されていた作品は46種類。原書、旧訳、新訳を合わせると、計130冊ほどありました。市内中の市立図

        • 満ち足りました。

          おいしいものを食べてきました。 「お気に入りのレストランに行って、好きなものを注文し、夫と子どもと一緒に楽しく食べる」が実現できました。 ふだんは、 ・ククも食べられるメニューが確実にあるところ ・騒ぐことがあっても少しは大丈夫なところ ・子ども用の椅子や食器があるところ といった条件を気にしがちですが、今日はその辺りを深く考えず、「あそこに行きたい」と思ったお店に行けました。 食事をしたあとは図書館に行き、各自気になった本をあちこちの棚から持ってきて、児童書コーナーの

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        記事

          FM802の『はなむけ』

          「見えなくなるまで見ていてね」 集団登校が終わり、ククがひとりで学校に行くようになって数日目。数歩進んでは振り返るククに、何度も大きく手を振った。無事に学校に着きますように。今日1日いやな思いをしませんように。 小学1年生の歩幅は小さい。それでもやがて、ここを曲がったらもうお互いが見えなくなるというところまでたどり着く。そこで最後にもう一度振り返り、私が両手を大きく振ったのを確認して、ククはぱっと駆け出した。危ないから走らなくていいのに。小さな背中に覆いかぶさった水色のラン

          FM802の『はなむけ』

          2024/4月振り返り

          久しぶりに振り返りシリーズ。4月が早くも終わろうとしています。 入学式 スーツを着て、親子3人で徒歩にて登校。自分の卒業以来、小学校の校舎に入ったことがなかったせいか、天井が少し低いように感じました。木製の靴箱、昇降口、小さな机、黒板、手洗い場のレモン石鹸など、なつかしいものたちと再会。 入学式は子どもたちと保護者が向かい合う形で執り行われました。どっしり構えている子もいれば、親と離れて座っていられない子や、途中で泣き出したり脚をパタパタさせていたり、ちょっとあくびが出

          2024/4月振り返り

          学童ってこんなところ

          ククが小学校と学童に通い始めて早1カ月がたとうとしています。 学童については、利用決定通知書が年明けに届いて入学直前の利用説明会で話を聞くまで、配布された書類や公式サイトでは内情がよくわからず、情報収集が難しいと感じました。そこで、地方都市の公立学校に設置されている学童の一例ではありますが、ククの通っているところの概要を書いてみたいと思います(「学童」という名前も自治体や地域によって違うようで、ククが通っているところも実際は別の呼び方をされています)。 慣らし期間 4月

          学童ってこんなところ

          おばさんで悪いこととは

          一時期、ククが私のことを「おばさん」「おばあさん」と言ってしきりにからかってくることがありました。当初は怒ったりまじめに諭したりしていましたが、こちらが大きく反応すると余計におもしろがると思い、受け流ようにしました。が、効果はなし。 そのうち、「おばさん」と呼ばれたときに感じるカチン・イライラ・もやもやは、私自身のなかに「おばさん」に対するネガティブな感覚があるからだと気がつきました。そして、「女性をおばさん/おばあさんと呼ぶことは揶揄になる」「女性を揶揄の対象にしてもいい

          おばさんで悪いこととは

          とらちゃんと与謝野晶子と祖母たちと

          朝ドラ『虎に翼』、毎日楽しみに見ております。ククを見送ったあとBSで7時半から、余裕があればその後地上波でも8時から、さらにお昼に3度目を見る日もあります。 およそ100年前が舞台なのに、「昔は大変だったんだなあ」などと他人事のようにはとても思えない場面が多々あります。戦後に民法も憲法も改正され、参政権をはじめ法律上は当時と大きく変わった面もある一方、主人公のとらちゃんこと寅子たちが抱く憤りや疑問や不満はいまの私たちにも通じます。肌感覚としてわかってしまう。 同じようなこ

          とらちゃんと与謝野晶子と祖母たちと

          スペイン語との再会

          大学で2年間専攻したスペイン語と、思いがけない形でこの春に再会しました。 ククの入学後、しばらく1年生だけで集団下校をする期間があり、保護者としてお供をしました。先生が先頭に立ってくれるので、私はほかのお母さんたちとしんがりを務めました。 ククと同じ通学路のグループにCちゃんという女の子がいました。Cちゃんは道端の水たまりや段差や草花がとても気になる様子で、集団下校の列からひとり遅れがちに。ほかの子どもたちにどんどん置いていかれるので私のほうが焦ってしまい、「前の子につい

          スペイン語との再会

          最近読んだ本:BUTTER

          柚木麻子さんの『BUTTER』を読みました(以下、ネタバレに近い内容があります)。 なんというか……自分の無意識の部分をまさぐられるような作品でした。女であること、男らしさ/女らしさの価値観、人への接し方、働き方、仕事観、家族観、子どもを持つこと、ルッキズム、食事の支度と食材への向き合い方――そういった、ふだんは気にもとめていない、あるいはそのふりをしてやり過ごしている断片について、「それって本当にそうなの?」「じゃあこれはどうなの?」と徹底的に掘り下げられるかのようでした

          最近読んだ本:BUTTER

          徒歩通学の練習だ

          まもなく入学式を迎えるククですが、これまで公道を長く歩いた経験がほとんどありません。地方都市住まいなので移動はほぼ車で、「ドアツードア」の生活でした。 しかし、わが家から小学校までは大人の足で片道25分、ククの足だと40分ほどかかります。そのうえ通学路が少し複雑で、何度か曲がり道があります。入学後しばらくは近所の上級生と集団登校しますが、学校から「入学までにひとりで登下校できるようにしておくこと」とお達しがありました。 ①遠い、②曲がり角が多い、③横断歩道が多い(すべて押

          徒歩通学の練習だ

          卒業しました。

          ククが最後の登園を終え、卒業しました。 保活を始めたころ、保育園の定義が「家庭において十分に子どもを保育できない場合に、家庭に代わって乳幼児を保育する施設」だと知って、ひっかかりを覚えたこと。 入園させるまえ、毎日腕のなかで昼寝をさせていた日々が終わってしまうのがさびしかったこと。 いざ入園したと思ったらコロナ禍が拡大し、園からの要請もあって数週間自宅待機したこと。 入園して間もないころ、担任の先生の目を見て「この先生なら大丈夫だ」と思えたこと。 早生まれなので、4

          卒業しました。

          あなたの本が読みたくて③

          前回からの続きです。 ジェーン・スーさんの『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』の冒頭に、「成功例から成功法を見出したところで、万人が成功できるわけではない」とあります(2ページより)。確かにそうです。Who HQ Booksや「こんな生き方がしたい」シリーズの読了冊数を重ねていった私も、探していたのは「成功のヒント」ではなかったように思います。自分と共通項がある他人が、思うようにいかない時期にどうあがいたかを知って共感したい。その共感が、顔を前に向けるための勇気に変わ

          あなたの本が読みたくて③

          あなたの本が読みたくて②

          前回からの続きです。 Who HQ Booksや「こんな生き方がしたいシリーズ」でさまざまな女性の伝記を読んでいた時期、私はいまの状態から脱したいとあがいていました。しばらく続いていた低迷期の終わりを感じ取り、ようやく水面に顔が出て、自分のギアを入れ直すなにかを模索していました。 そんなときに出会ったのが、ジェーン・スーさんのエッセイ集『ひとまず上出来』でした(そのときの記事はこちら)。スーさんのからりとした文体が、私のなかのぐちゃぐちゃした部分を野焼きのように払ってくれ

          あなたの本が読みたくて②

          あなたの本が読みたくて①

          伝記や歴史小説やエッセイを読むのが好きです。 どうして他人の物語を読みたくなるのか。純粋にその人のことを知りたいから。その人が生きた時代に興味を持ったから。自分とはかけ離れた人生をのぞき見たいから。ロールモデルがほしいから。共感したいから。結果を出す姿を見てスカッとしたいから。違う時代、違う国、違う生い立ちの人生を想像したいから。後押しがほしいから。こんなふうに、ただ「本を読みたい」のとはちょっと違う理由が自分のなかにあるときもあります。 子どもと一緒に図書館に行って児童

          あなたの本が読みたくて①