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わたしの弱さ

わたしの弱さ。
それは、自分を好きになれないところ。

演劇をする自分、仕事をする自分
他者と関わる自分。
そこにはそれなりの喜びをもっている。

でも、単体としての自分が
好きになれない。
それは子供の頃からずっと変わらなかった。

人に言えば嫌味としかとられないと知っている。
でもいつだって悪目立ちする人間の苦しみというものもあるのだ。

ピックアップされたり
期待されたり、畏れられたり
崇められたり、敵視されてたり
普通には生きてこられなかった。

自分のもっているエネルギーと
自分の気質とが
見合っていないのだろう。

憎しみさえ覚えた。
人を選び、そこに責任を負わせていく
社会のシステムに。
その仕方ないだけのUFOキャッチャーに
いつもつかまる哀れなぬいぐるみ。
それが自分だ。
ずっとそう感じていた。

それでも、嬉しさはあるんでしょう?
そう人に問われる。いつも。
ないのだ。
本当にない。
悲しいほどにない。
だからこんなに、苦しかったずっと。

自己を売り出していこう。
自己を認めてもらおう。
自己を好きになってもらおう。
そうは思えなかった。
だって、のんびりでぼんやりで
喋っても面白くなくて
へらへら笑っているだけの
そんな人間である。

ナルシズムがあるから、俳優になるんでしょう?
それもよく言われた。
否、違う。
わたしの場合、ナルシズムが極度に枯渇している。
故に、自分ではない自分ならば
愛せるという自己矛盾を抱えたのだと思う。

わたしはやっとこれから
その自己矛盾のもつれた糸をほどいていくところなのだ。
ほんとうに呆れる。
ぼんやりにもほどがある。

でも、今はそんな自分を厳しく叱咤する
もうひとりの自分はもういない。
まったくもう、と思いながら
少しは愛情というものを感じるようになった。

40歳にしてはじめて
わたしは自分自身に
微笑みかけることが出来るようになった。

何もできない、わたしよ。
今度はあなたが前に出て
演技をする番だよ。

下手でもいい。特別じゃなくていい。
誰がなんと言おうともう気にするな。

あなたが話せばきっと
平凡な善い芝居になるのかもしれないから。

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