【🌸祝1500万再生🌸】メズマライザーの「強制解除」に秘められた意味とは【考察】

初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。
朝霧くもりです。

今回は二週間ちょっとで1500万再生を記録したメガヒット曲『メズマライザー』の過去の考察記事で取り上げなかった「強制解除」部分について取り上げたいと思います。

過去の歌詞考察とメズマライザーの概要は以下のリンクからご覧いただけます。

【🌸祝1000万再生🌸】メズマライザーの歌詞を徹底考察してみた！！！

それでは行ってみましょー！！！

考察の前に

大前提： 「強制解除」とは

「強制解除」は2番Aメロとサビの間に入る、音楽的な無音地帯の場所になります。
また、映像ではグリーンバックの前に初音ミクと重音ネトの立ち絵がぽつんと置かれている状態で、ぬるぬる動く他パートと比べて明らかにテイストが違う部分であることが分かると思います。

MVにはありませんが歌詞カードには「強制解除」と書かれていることから、本考察では『何かを意志に関係なく解除するシーン』という意味は最低限持っているものとして考察を進めます。

大前提： 本考察で用いる歌詞全体の解釈

リンクから過去記事に飛んでいただきたいのはやまやまですが、一応こちらでも軽く紹介しておきます。

• 催眠を操る人はボカロ主で、ミク達を通してメッセージを伝えようとしている

• ミクはその意図を理解し、催眠に自らかかっている

• テトはそれを知らず、催眠から何とか抜け出そうと必死に抗っている

これだけ覚えて頂けると、本記事をもっと楽しめると思います。勿論、これを知らなくても理解できる部分も大いにあります。

このように結論付けた理由が気になる方は、是非過去記事をお読みください。

考察前の注意点

XにてMVと楽曲は考察要素を共有していないことが明言されています。
そこで、本記事ではMVと楽曲に分けて考察していきます。

また、本記事の考察は膨大な解釈の中から一つを取り上げたものになります。
他の考察を否定する意図はありません。事前にご理解いただきますと幸いです。

なぜ「強制解除」が必要なのか？（MVの観点から）

グリーンバックが示すものとは

「強制解除」の背景のグリーンバックはどのような意味があるのでしょうか？

そもそもグリーンバックとは、撮影などにおいて後で背景を合成するときに使う緑色のシートのことです。
インターネット上では緑一色の背景を指すことが多いですね。

このグリーンバックを使って一度撮影した後、編集で緑を透明色に指定することで、映っている人物やモノを透過することなく背景だけ変えることが出来ます。

つまり、グリーンバックをMVで使うということは「その映像が撮影されている」、もしくは「背景が合成されている」事を示しています。

もし「撮影された映像」という意味を持たせたいなら、このMV自体が何かの映像記録という事でしょう。
そして「撮影されている」事を強調することで、「撮影者」や「被写体」、「映像を見る人」といったメタ的な登場人物を視聴者にイメージさせたいのだと考えます。

この解釈自体も大いにあり得ますが、ではMV全体でメタ的な要素を伝えられているかと言われれば何とも言えません。

そもそも、メタ視点を出す場合、映像では相当できることが限られます。
普通はメタ的なメッセージを伝える役割は歌詞やセリフが担当しますからね。

つまり、歌詞と映像が合わさって、初めてメタ視点というものが意味を成すというわけです。
しかし、注意点でも挙げたように、この曲はMVと楽曲が別々の意図をもって作られています。

この点から、私はこの解釈よりももう一つの解釈の方が適切かなと思っています。
というより、この解釈も一部含んだうえで、もう一方がメインの解釈なのではないかと考えています。あくまでこっちはオマケ要素ってことですね。

MVの背景は全て偽りである

ではメインの解釈はというと、「背景が合成されている」と暗に示すことで、「背景がまやかしである」と視聴者に伝えたいのではないかと私は考えます。

「背景が合成されている」ということは、曲全体で後ろに流れる紙吹雪や空の様子、グルグル回るトゲトゲの物体、色とりどりの星が後付けであることが示唆されます。
また、それらは催眠状態を引き立てるMV上の要素として存在しています。

「催眠状態を引き立てている背景がまやかしである」ということは、催眠自体が虚構の存在であり、実在しないものを見ている事を示しているのではないでしょうか。

この解釈であれば、歌詞関係なくMVだけで完結した上で、さらに「MVのキラキラした背景は紛い物だ。それを催眠だと気づき、現実を見ろ！」というメッセージが成り立ちます。

そして、こちらの根拠となる要素が一つ存在します。

それはこの場面が「強制解除」であるということです。解除されているのは「合成した背景」であると考えれば、MV的な視点での「強制解除」の意味が成立します。

さらに言えば、「合成した背景を強制解除している」と考えられる理由がもう一つあります。

それは、ずっと存在していたキャラの枠が消えているという事です。
冒頭から最後まで、「強制解除」以外の部分ではキャラの枠がずっと存在していました。

そもそも、なんで枠があるんだろうとみなさんは疑問に思いませんでしたか？
枠があるせいで、何も動かない背景がどの場面でも生まれてしまっています。

映像的な面白さを考えるならば、枠は無い方が良いはずです。

ではなぜ枠は存在するのか。
ズバリ「強制解除が偽りの背景を示している」と視聴者に伝える為である...…というのが私の考察になります。

★ひとことメモ★
枠は常に縦型なので、もしかしたらスマホ撮影を示しているのかもしれません。
その場合は前者の解釈がメインになりそうですね。

スマホ撮影から何を伝えたいかははっきりとは分かりませんが、今どきのticktockやyoutubeなどに溢れている偽りばかりのshort動画を風刺しているのでしょうか？

立ち絵の表情の意味

「強制停止」の場面ではミクは通常通りですが、テトは顔色が悪くなっています。そして、ミクは普通の手を伸ばした格好ですが、テトは口に手を当てています。

この違いが指す意味は何でしょうか？

「強制解除」が「背景を解除している」という考察を踏まえると、私は「表情も解除している」のではないかと考えました。

つまり、ミクは催眠に対して悪いイメージがないため解除されても平気な顔をしている。一方、テトは催眠に抗っている立場のため、表情だけ解けて怖い顔になっている。
そう考えると辻褄が合います。

そもそも「強制解除」の前と後で何が変わったかを見るだけでも、何が解除されたのかがはっきり分かるはずです。

MVを確認すると、それはキャラクターの表情になります。

1番は完璧な表情を作っていたテトも「強制解除」後は顔色を悪くしています。ミクの表情も最後は突きぬけて狂ってしまっていますね。

これは、MV上だけで明確に強制解除前と後で違うと言える要素です。

そして、この解釈の良いところは催眠状態が解除されているという訳ではないということです。

どういうことかと言うと、もし催眠状態が完全に解けているなら、ミクとテトはもはや踊る必要はありません。テトだけでもその場から逃げ出せば良いはずです。

表情は戻ったが踊りは続けているということ自体が、「強制解除」はMV上にて全ての催眠を解除したわけでは無いことを示しています。

では何を解除したか？
ここまでの考察から「背景と表情を解除した」と私は結論付けます。

★ひとことメモ①★
口を隠す人の心理の一つとして「自己防衛」があります。
テトがこの立ち絵で口を押えているのは、催眠から必死に自分を守っているからかもしれませんね。

★ひとことメモ②★
ここまでの考察を見て、あることに気付いた人もいると思います。
それは同じ「強制解除」なのに、「背景の解除」と「表情の解除」で効果時間が合わないという事です。

「背景の解除」は強制解除時の一瞬だけで、それ以降は何事もなく枠や背景が戻っています。しかし、「表情の解除」はそれ以降ラストまでずっと続く永続効果です。
同じ「強制解除」なら、同じ時間じゃないとおかしくないか？そう考えるのは自然な事でしょう。

個人的には、グリーンバックから画面が変わるときの演出（色とりどりの★が画面を埋め尽くす描写）によって背景は解除状態から復活したと考えています。
一方、表情は★が増えているときも全く変わっていません。

この差が解除終了と解除したままの差になっているんじゃないかな、と無理やりですが理由付けています。

もしかしたら、どちらかの考察が当たっていて、どちらかが外れているかもしれません。また、全く見当違いなことを言っているだけかもしれません。

この考察を見た上で、自分で考え何かしらの結論を出す。そこまで是非お楽しみいただけたらなと思います。

なぜ「強制解除」が必要なのか？（楽曲の観点から）

音を止めることの意味

歌詞自体の全体考察は済んでいますし（別記事参照）、ここに歌詞自体はありません。そのため、このパートでは特に歌詞考察をする必要がないと考える人もいるでしょう。

しかし、「強制解除」の場面で音を止めること（ブレイク）自体に何か意味が籠っている可能性もあります。
単に高い音楽性を示すための粋な演出かもしれませんが、そうでない場合についてここでは考察します。

鳥居真道さんの『音楽における無音の効果的テクニック、シルク・ソニックなどの名曲から鳥居真道が徹底考察』（2022）によると、ブレイクの音楽的な意味は「緊張感」だそうです。

音が止まると聴衆は張り詰めた空気を感じ、再び音楽が奏でられることで開放感を得る。結果として、その後のパートが盛り上がっているように感じる、という音楽的な効果があります。

つまり、この瞬間に作者がブレイクを入れた意味は「視聴者の緊張感」だと考えられます。

楽曲上の「強制解除」の意図とメッセージ

では、何故視聴者の緊張感をここで上げたいのでしょうか？

それは恐らく、「信じ込んでいる状態からの脱却」を意味していると思います。
現実ではっとミスに気付いた瞬間に、急に冷や汗が流れるあの現象と一緒ですね。それと同じような感覚を、ブレイクによって見せようとしているのではないかという事です。

その上で、「ずっと都合の良い夢ばかり見ようとしてしても、唐突に現実に引き戻される瞬間が来る」という現実を暗示しているのが「強制解除」だと考えます。

このように考えると、「楽な方に流され過ぎてしまうと結局は自分が苦しむことになる」という作者のメッセージとブレイクの意味が合致するんですよね。

まとめると、「ブレイクは、視聴者の緊張感を高める役割がある。その緊張感は催眠から目覚めた時のような感覚と似ている。だから、作者は視聴者に催眠の疑似体験をさせるためにブレイクをわざわざ入れた。」ということです。

考察のまとめ

MV面での意味

「強制解除」は「背景と表情の解除」という意味である。

背景の解除はグリーンバックから、表情の解除はMV前後の変化から推測できる。

この描写を通じて、MVの作者は「MVの演出は全て虚像であり、実在しないものを見ていることを視聴者に伝えたい」のではないかと考えられる。

楽曲面での意味

「強制解除」はもし楽曲的な意味があるなら「緊張感の増大」を狙っている。

その緊張感は催眠覚醒時と同じような感覚であることから、視聴者に催眠の疑似体験をさせることを目的としてブレイクを入れている。

そして、作者が伝えたいメッセージとは「都合の良い夢ばかり見ようとしてしても、唐突に現実に引き戻される瞬間が来る」ことだと考えられる。

〆の挨拶

ここまでお読みいただきありがとうございました！

強制解除自体にはそもそもあまり注目していなかったのですが、改めて考察するとなかなか面白い解釈が出来たなと個人的には満足しています。

最後にもう一度触れておきますが、この考察はあくまで私の一解釈に過ぎません。解釈可能性は無限大なので、是非歌詞の意味をご自身で考えられてみては如何でしょうか。

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それでは次の記事でまたお会いしましょう！
サラダバー！！！