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研修書評:今後のドローンの在り方とは



はじめに

お疲れ様です。大学3回生のゆーすけです。以前まで「地方間における教育機会格差」についての研究を行っていましたが、秋学期から「今後のドローンの在り方とは」とテーマ変更し、活動を行っていきます。
テーマを変更した理由として大きく2つあります。
1つ目は「テーマの対象者が不明確」だということがありました。研究していく中で「都市部からの大学移転」と「奨学金制度」が課題であると捉えていましたが、対象者の実数が不透明であることなどから今後も研究していくことが困難だと判断しました。
2つ目は夏休みの間「民間ドローン資格」を取得した際にドローンの汎用性に興味をもったからです。そこでドローンは今後どのように活用されていくのかまたされていくべきか研究したいと考え、テーマを変更することに致しました。

最終的には独自のドローンに関する航空交通管理政策を提示することを研究のゴールとし、活動していきます。よろしくお願い致します。


2024_05_23

選択した文献
経済産業省(2023) 『日本発のドローンの運航管理システムに関する国際規格が発行されました』閲覧日2024年5月22日
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230427001/20230427001.html

日本気象協会(2021)『日本発の提案、”ドローン用の地理空間情報に関する国際規格”が発行 ~ドローン運航管理システムに係る国際規格として、世界で初めての発行~』閲覧日2024年5月22日 https://www.jwa.or.jp/news/2021/09/14739/

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) 日本電気株式会社 株式会社 NTT データ 株式会社日立製作所(2023)『ドローンの社会実装に向けてドローン運航管理システムの機能構造を国際規格化 -安全かつ効率的なドローンの運航実現に向けて』-閲覧日2024年5月22日
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2023/04/0427d.pdf

選択理由
前回のゼミで研究発表をした際に日本での知識の深堀と同時に無人航空機(ドローン)に関わる視点から分析していく必要があることが分かった。そこで今回の書評では複数の文献を用いて「ドローン運航管理システム(UTM;UAS Traffic Management、以下「UTM」)」の分析を行った。

要約
日本気象協会(2021)によると、国際標準化機構(ISO)から発行された国際規格であり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」の助成事業が契機となっている。これはゼンリンと日本気象協会が2018年から共同で取り組んだ事業であり、両者から三菱総合研究所が委託を受けて発行に向けた国際調整が行われた。またこの規格内容は地理空間情報の構成と項目などのデータモデルを定義したものであり、ドローンが安全で効率的な飛行をするために整備された。日本国内でも2022年12月5日の改正航空法の施行にともない、「無人航空機の有人地帯での目視外飛行(レベル4)」が解禁されるなど、環境整備や研究開発が活発化している。国際規格が発行される前ではUTMに関わる用語や機能構造は国ごとにさまざまな定義が存在しており、グローバルで共通理解のもとでの議論が難しいといった課題が挙げられていた。そこでNEC社は飛行計画管理機能、情報提供機能に関する規格作成を行い、NTTデータは登録管理機能、空域情報管理機能に関する規格作成、日立社は位置情報管理機能、報告作成機能に関する規格作成をそれぞれ行った。今後は世界各国のドローンに関わるステークホルダーが本国際規格に基づいたUTMの開発を進めま
す。
 
総評
今回複数の文献を用いて書評を行ったことで、どのように「UTM」が規格されたのか、また今後の予定について理解することが出来た。


2024_05_16

選択した論文
『自動運転の倫理に関する ISO39003 の分析と 自動運転レベル4への応用可能性』
樋笠尭士、IATSS Review(国際交通安全学会誌)、48号(No.2)、132-140頁、2023-10-31
公益財団法人 国際交通安全学会

選択理由
今回では無人航空機にてレベル5(完全目視外飛行が可能)を導入することを考案する際に前回同様自動運転の視点から分析をしていく。そのうえで自動運転レベル5(完全無人運転)の倫理に関する ISO39003の策定経緯を紐解きつつ、自動運転のシステムに必要な倫理的配慮事項について考察している本論文を選択した。また前々回に書評した論文と同様に、ドイツと日本の倫理規則を比較検討しているところを中心的に考察し、無人航空機との関連性について研究していきたい。

要約
イギリス主導(プロジェクトリーダー:Mr. Dave Conwayが主導)で、2019年にISO専門委員会TC241(議長国:スウェーデン)内で39003の提案がなされた。39003とは「完全自動運転レベル5」に適用した道路交通安全に関する倫理的ルールなどをまとめられたものである。加えて道路交通事故による死者や重傷者を撲滅することを目的とした国際規格であり、ISO9001(品質について)や14001 (環境について)と同様に、PDCAサイクルに従い適切な道路交通安全マネジメント体制を確立、実施、維持、改善するために組織に必要とされる要求事項を明文化されたものである。またその中では①人を移動させて自己実現を叶えること、②(環境ないし他の 道路利用者へのネガティブな)インパクトの減少、 ③公共空間の充実などが説明の中に組み込まれている。
ドイツでは、2017年に旧デジタルインフラストラクチャー省が「自動運転及びコネクテッド・カーに関する倫理規則(BMVI, Ethik-Kommission Automatisiertes und Vernetztes Fahren, Bericht 2017)」を制定した。先ほどのISO39003とドイツの倫理規則において共通している点は、自動運転のシステム設計について、多様的な視点から倫理的な配慮を要求しているということである。日本では(公的な)倫理指針を保有していない。そのため今後自動運転でのレベル5を導入に当たり倫理規則を策定していく必要がある。

総評
無人航空機については国際条約がないことから自動運転のように条約からの比較や導入への仕組みが取られていないことが大きな違いであると考えられる。今後は資格に対しての知識などをつけていきたい。


2024_05_02

選んだ論文
国土交通省『ドライバーと自動運転システムの役割分担の考え方』https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/02/3.pdf 

選択理由
先週同様、無人航空機の視点からだけでなく多角的に制度分析をしていく為、自動運転に関する研究書評を行った。そのうえで現在日本が批准しているジュネーブ条約条約について国土交通省によってまとめられた資料を選択した。この書評を通して改めて無人航空機に必要な制度は何か、また研究目標の見直しも考えていきたい。

要約
日本では1949年にジュネーブで作成された道路交通に関する条約に現在も加盟している。 また本条約では運転者は車両の操縦を行わなければならないとされている 。自動運転を今後導入していくにあたり、本条約では運転車の制御下にあることが必要条件となっており、完全自動運転を実現することは難しくなっている。その中でも第8条、第10条が要点だと考えられる。第8条では『一単位として運行されている車両又は連結車両には、それぞれ運転者がいなければならない』とされており、『運転者は常に車両を適正に操縦し、』とも記載されている。また第10条では『車両の運転者は、常に車両の速度を制御していなければならず、』と記載されている。国内でもジュネーブ条約に対応した現在も施行されている道路交通法の第70条で『車両等の運転者は当該車両等のハンドルブレーキその他の装置を確実に操作し、』と定められている。
欧州諸国等では1968年にウィーンで作成された道路交通に関する条約に加盟している。この条約でも同様運転者の制御下にあることが必要条件となっている。そこで国連欧州経済委員会/自動車基準調和世界フォーラム (UN/ECE WP29) (UN/ECE WP29)において、自動運転を導入するため予防安全システムの基本原則の検討がなされている。また欧州SMART64プロジェクト(欧州委員会資金による研究プロジェクト)は自動運転がウィーン道路交通条約に従っているかの評価基準や制御の解釈における議論が行われている。中でも条約が定義している「ドライバーが制御されている状態」の明確な解釈が必要とされている。
上記のように自動運転システムに対して条約内の明確な解釈がなされておらず、解決していくにはサービス定義などの詳細な分析が必要とされている。

総評
国土交通省によってまとめられた文献の書評を行ったが、ここから完全自動運転を導入していくには国際条約の見直しが必要であることが分かる。また無人航空機では明確な国際条約が存在しないことから制度設計を研究目標にするのではなく、「レベル5」を導入していくには何が必要なのか研究していきたい。


2024_04_25

選択した論文
『自動運転に関する道路交通法の改正とその問題点』
山下裕樹、2024年、関西大学法学研究所研究叢書93-112頁

選択理由
前回の研究書評の際に有人航空機の視点から無人航空機の応用について述べられた論文を選択した。だが講義内でゼミ生から他分野(似た業界)の書評を行っても良いのではないかとアドバイスをもらい、今回は自動運転についての論文を選択した。その中でも本論文では日本の道路交通法とドイツでの法律を比較し、どのような法整備が必要となるのかまとめられた論文を選択した。

要約
日本では「交通事故の削減」、「交通渋滞の緩和」、「物流交通の効率化」、「高齢者等の移動支援」を通じ、2030年までに「世界一安全で円滑な道路交通社会を構築すること」を目標に自動運転システムを搭載した車両(=自動運転車)の普及に力が注がれている。また2025年を目途にレベル4(限定的に完全自動運転が許可される)の社会実装・市場化が目指されている。しかしそのような目標を達成するためには技術革新だけでは不十分であり、その公道走行を念頭に置いた道路交通に関する法整備も必要となる。そこで山下(2024)はレベル4の自動運転車の公道走行を可能にしたドイツの道路交通法と比較して検討を進めた。
現在自動運転車の公道走行は道路交通に関する条約という国際法上の規定にも合致する限りで許されている。そこでドイツでは道路交通に関するウィーン条約を批准しており、この条約に反しない限り公道走行が許されることとなっている。またドイツの法律で自動運転はシステムの機能状態を監視し、場合によってその機能を停止させる役割を担う技術的監視という「自然人」を導入することによりウィーン条約に抵触することなく、レベル4の自動運転車の公道走行を可能としている。また代替運転操作に対して承認する必要があることから、レベル4の自動運転車の運行に関する規則に則り、技術的監視には、運転免許証を取得していることが必要となっている。
 日本の道路交通に関してはジュネーブ条約と2022年改正道路交通法の関係が問題と考えられる。これは、改正により運転者の居ない車両の走行を認めることで車両を「制御」する運転者の存在を必要とするジュネーブ条約に抵触してしまうためである。
 日本とドイツの道路交通法では批准した国際条約の違いから国内の法律改正の容易さに違いがあることが分かる。

総評
自動運転は無人航空機と同様レベル制度を用いられているが改正の為に国際条約の視点が重要になっていることが理解できた。このことから今まで国内での整備方法について研究を進めていたが国際条約等の海外の視点を持つべきことが分かった。


2024_04_18

選択した論文
『日本国内の無人航空機事故(2015-2021)の要因分析とCRMスキルによる予防策の検討〜ヒューマンエラーによる事故の防止に向けて〜』
大原大、2023年、Technical Journal of Advanced Mobility、4巻、4号、39-61頁

選択理由
今回は無人航空機の制度を考案するにあたり「無人航空機事故」についての要因分析やそれに対する予防策が必要と思い、本稿を選択した。また今年度では研究書評を続けるだけでなく制度立案やインタビュー調査を行う予定を立てているため、より関連のある論文を選択することを心がけた。

要約
この論文では事故事案の主要因の種類ごとに安全運航のためのノンテクニカルスキル「CRM(クルー・リソース・ マネジメント)」を使用し、どのような要素を適用することによって再発防止に向けた対策が行われた。CRMとは1977 年のテネリフェ事故など世界で発生した数々の過酷事故の検証と反省を基にして人的要因によるリスクを低減させるための航空安全スキルである。このスキルは有人機運航に携わる者に年1回の訓練が国際的に義務付けられており、航空機事故は過去 40 年間に世界的に大幅に減少することとなった。大原(2023)はこのスキルを用いるため、本論文では日本国内の2015­2021年度の間に発生し、国土交通省に報告された無人航空機による事故の特徴と要因の分類を行った。この調査から7年間に発生した448 件の事故のうち事故要因が不明のものを除くと人的要因を含むものが 78%あることが分かった。その上複合要因の事故では「飛行計画の不備」を含むものが 82%となっていた。またこの結果からCRMスキルの項目に当てはめて予防策が考えられている。スキルの項目は「状況認識」、「チームの形成」、「意思決定」、「業務負荷(ワークロード)マネジメント」、「コミュニケーション」に分けられている。結果から、「状況の把握と認識の共有(Monitor and Recognize)」、「計画と時間管理(Planning and Time management)」、「状況の予測と問題点の分析(Anticipation and Analysis)」、「警戒 (Vigilance)」、「ブリーフィング(Brie­ng)」などのスキルが事故防止に役に立つと考えられる事故事例が多かったと推測されている。国土交通省が定めている「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(2022年)ではCRMの標準的な学習・訓練方法について現在記されていない。そこで大原(2023)は現在「何が起きているのか」を検証し、事故を未然に防ぐ 対策のあり方を継続的に検討していく必要があると考えている。

総評
現在の交通事故の分析だけでなく、有人航空で用いられているCRMスキルから制度分析をしている点が興味深く感じた。今後は制度を作成するにあたり多角的に分析していきたい。


2024_04_11

選んだ文献
「ドローンの型式認証における安全設計活動に 貢献する MBSE 活用提案」
次世代移動体技術誌 5 (4), 27-40, 2024、一般社団法人 日本UAS産業振興協議会
三好崇生、木村哲也、五十嵐広希、鈴木真二、荒木克文、大坪弘、前村皓一

選んだ理由
 2023年度では主に無人航空機(ドローン)の法整備を研究するにあたり「機体面」と「リスクマネジメント」の視点から研究してきた。そこで本稿では機体面について新しい知見を得る為、ドローン型式認証及びその新しい考えかたの提案を行っている論文の書評を行う。またこの書評を通してリスクマネジメントの視点にもどのように活用できるのかを模索していきたい。

要約
 無人航空機(ドローン)を使用するに当たり、本国では型式認証と呼ばれる仕組みが取られている。これは2022年5月から新しく作られた「レベル 4(第三者上空での目視外)」飛行を制度することが主な理由である。またこの型式認証では、安全性、品質、均一性等を示すために要求基準を多くの場合は適合性証明手法(MoC: Means of Compliance)を組み合わせた認証試験資料等の提出が義務付けられている。[1]しかしここでの安全性は概念的な意味とされており、Mocなどでも選択肢の一つが示されているのに過ぎない。加えて基準案、MoC 案ともに文章による提供がおこなれているため、その理解に時間を要してしまい問題がある。さらにそれらは随時更新される可能性があり、その変更の影響を理解するのも容易ではなく、型式認証の申請者にも審査者にも手続きを複雑化させる課題点が生まれるとも指摘されている。これらからModel-Based Systems Engineering (MBSE)を活用することで内容をモデル化し、簡潔化するべきとしいう新しい提案が行われている。また標準的なドローンの MBSE によるモデルを想定することで機体モデルと機体設計プロセスのモデルとの階層構造化を試み、認証要求と機体設計の相互作用効果が確認できることを提案している。本稿では提案を行う中でLayer1 航空局ガイドライン要求と Layer2 ドローン実体設計を連携する MBSE による SysML モデルを構築した。これらでは安全基準等で要求される項目の関連性が構造化できたことや、機体構造を含めた構造化が可能になったことで安全基準等の制約をもとに 機体設計を行う際に活用できる利点などが生まれたと述べられている。

総評
 今回は現在の機体認証の仕組みにある課題点に対し新しい提案が行われた文献を書評したが、ここから日本の文献だけでなく海外の文献からも知見を得なければならないことが分かった。


[1] このような安全認証の方式は「Performance-based Regulation」と呼ばれ、米国連邦航空局(FAA)が小型航空機の審査方式(Part23)として2017年に有事航空機に対して採用されたものであり、


2024_01_18

選択した論文
中村裕子、坂本修、 佐藤一郎、中島徳顕、髙田淳一、石井啓吾、田中秀治、久根﨑将人、「無人航空機運航リスクアセスメント手法 SORA の 国内実証実験への適用 〜ケーススタディ:新上五島町での無人ヘリコプター物流〜」

選択理由
 前回は医療業界で用いられている「インシデントレポート」という手法をドローンの事故の体系化に活用した論文を書評し「リスクマネジメント」の方法を模索した。そこで今回は、実際にドローン業界で行われている(検証されている)リスクアセスメントの方法を学び、どのような視点が不足しているのか考えていきたいと思い、今回の論文を選択した。

要約
 無人航空機についての活用を「安全で安心」に「低コスト及び短期間で社会に実装」するため、従来の有人航空機の機体認証という時間とコストのかかる枠組みの延長での無人航空機耐空性基準の開発だけでなく、リスクを制限した運航、またはその運航の総合リスクに応じた安全運航体制をオペレーターに求め比較的短期間低コストでの付与が期待される運航許可の仕組みの構築が諸外国で行われている。また操縦者と許可を与える規制当局間で、無人航空機の運航が、社会が許容できるレベルにリスクが抑制されていると適切に確認し合うコミュニケーションツールが作成されている。それは欧米日等の航空局が参加する JARUS(無人航空機システムの規則に関する航空当局間会議、Joint Authorities for Rulemaking of Unmanned Systems)は、SORA(特定運航リスクアセスメント、 Specific Operation Risk Assessment)である。このガイドラインは総合的なシステム安全リスクの評価モデルをベースとし、念頭にある無人航空機の運航の地上および空中の第三者へのリスクレベルの評価を定性的に行えるマトリクス等を提供するものである。これはまた、あらゆるクラスとサイズの無人航空機の運航、及びあらゆるタイプの運航(実験、研究開発、試作を含む)に伴うリスクを判定することを意図したものであり、空中衝突の末のさらなる第三者への影響や人員の輸送、武器などの搭載物に伴う脅威や違法な電磁干渉からの保護、プライバシーやファイナンスの側面は適用範囲外となっている。加えてSORA には10 段階の作業ステップにまとめられており、特定されたリスクに対する軽減策より、“どれだけ安全性が高まるか”を表す 3 段階の整合性(integrity)レベルと,その“安全性の向上はどれくらい確かなのか”を表す 3 段階の保証(assurance)レベルから構成されるところが特徴である。
 そこで筆者たちはSORAの理解を深めるため現在国内各地で進められている物流用途での無人航空機の飛行実証実験の 1 例に対し、 SORA のステップを適用し研究を進めた。実験は、2020年11 月に長崎県において、無人ヘリコプターを利用した補助者なし目視外飛行を伴う物流実証実験を計画および実施された。ヒューマンエラーに対応する体制や機体システム設計の開発の必要性を、また、補助者なし目視外飛行を行う際の空中衝突リスク軽減に関しては、そのリスクを正しく測るため、その空域を利用する有人航空機情報検知や衝突回避の手段の拡充が、定期的な運航を安全に行うには重要だという結論が出された。

総評
 今回の書評からSORAは許容範囲にその運航のリスクを収めることが目的であることが理解できた。だが、本格的な社会実装に向けて未だ国内で正しくSORAの手法を活用されるための制度づくりが必要であると感じた。



2024_01_11

選択理由
 今回選択した論文は小型無人機に対し医療業界で使用されているインシデントレポートの手法を用いてリスクアセスメントを実施するために必要な事故原因の分類とインシデントレベルの設定を行った内容となっている。またインシデントレポート様式の作成を行われている。この論文での研究は私が研究しているリスクマネジメントの知識の深堀に大いに役に立つと考え選択した。また医療業界からの視点を取り入れていることから今後の研究では他業界の分析も行っていきたい。

要約
 無人航空機の世界市場規模は 2021年で約175 億ドルと推測されており、2027年度には 280 億ドルに達すると見込まれている。この動きは国内でも同様であり、国土交通省に対して行われた許可承認申請件数は 2019 年で48364 件、2020 年で 60068 件、2021 年で 75049 件と増加しており、様々な場面で無人航空機の活用が進んでいると考えられる。しかし無人航空機による事故件数は2020年度の71 件から2021 年度では139 件と許可申請数と共に倍増している。また、国土交通省の規則では誤って物件や人に接近した事例や操縦ミスにより墜落(ドローンのみの破損)した事例について報告義務はないとなっておりドローンによる事故の科学的な調査と効率的な対策が難しくなっている。そこで医療現場で用いられるレポート様式(以下 IR:Incident Report)で報告する制度を用いて事故を分類化する研究が行われた。
 調査対象は無人航空機に関する事故等の一覧をデータベース化し、ドローンによる事故のみを抽出したものとしている。また事故について自由記載が多く、原因を見誤り、対策の有効性が大きく低下する可能性があることからドローンによる事故について分類を行い、運用時のリスクを明らかにしたうえで事故報告書に選択式として組み込み、「飛行目的」と「事故原因」に分類された。またIR手法を参考にし、①発生日時、②飛行目的、③インシデントレベル、④事故原因、⑤事故概要を基本情報としてまとめられた。
 結果から「撮影」、「訓練」、「機体点検」、「農業」、「設備点検・ メンテナンス」、「測量」、「自然観測」、「建築」、「事故・災害対応」、「研究」、「報道取材」、「物件投下」、「不明」の 14 カテゴリに分類された。また事故原因を「機械的」、「人為的」、「外因的」、「不明」の4カテゴリに分類することが出来た。加えて機械的な事故が150 件(56.1%)、人為的な事故が71 件(27.6%)、外因的な事故が40 件(14.9%)の順であった。

総評
 事故防止のための対策を立案する上で事故レベル判断するために有用な方法として今回の論文ではIR手法を用いられたことで体系化されたように考えられる。このことからドローン事業だけに絞らず多くの知見に触れながら研究の深堀をしていく必要があるだろう。

参考資料
『小型無人航空機(ドローン)のインシデントレポート様式作成の試み』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjam/4/7/4_95/_pdf/-char/ja 


2023_12_07

海外における消費者安全に関する法的規制等の調査 最終報告書 (概要版)2023年2月
三菱UFJリサーチ&コンサルティング

選択理由
今回は三菱UFJによってまとめられた消費者安全に関する法的規制等の調査について要約していきたい。前回は自動運転車の登場による国内の製造物責任法の問題点の変化について研究書評を行ったが、海外では製造物責任法やAIに対する施策はどのように行われているのか疑問に思い、この文献を選択した。

要約
 デジタル時代における消費者向け製品の性質とリスクを反映した法整備が海外で進められていることから、「消費者向け製品の法的規制の動向(EU)」、「消費者向け製品に関する規格基準の動向(EU)」、「消費者向け製品の安全上のリスク(EU)」、「日本の製造物責任法に相当する法令に係る裁判例のうち、 デジタルプラットフォーム事業者の責任に言及したもの(米国)」の4つのテーマから調査が行われた。その中でも今回は「消費者向け製品の法的規制の動向(EU)」、についてまとめていく。
 2021年6月に欧州委員会は、EUの製品安全に関する法令である一般製品安全指令(2002年施行)の改正規則案を発表した。改正内容は主に、「指令から改正への変更し、EU加盟国にすべて適用」、「経済運営者(製造業者、輸入業 者及び販売業者)がEU域内に存在する場合に限り製品の販売が可能」、「オンライン上の危険製品の削除」、「リコール手続きの改善」が挙げられる。また製造物責任法に対し「デジタル製品、ソフトウェアを製造物として明示」、「責任主体の明確化」、「証拠の開示命令制度」、「被害者の立証責任」などの新指令案が考えられている。加えてAIに対しても規則案が考えられており、「許容できないリスク」、「高リスク」、 「限定されたリスク」、「最小限リスク又はリスク無し」の4つのレベルでリスクを定義し、それぞれに制限を課すようになっている。今後は2024年の後半には一定の基準を満たしたAIシステム提供者、利用者に規制が適用される予定となっている。加えてAI責任指令案が考えられており、AIによって生じた損害の被害者が製品一般によって生じた損害の被害者と同等の保護を得られるようにすることを目的とされている。

総評
 今回の研究書評からEUでは日本と違い「デジタル製品、ソフトウェアを製造物として明示」するという言う点が一番大きな違いであると考えられる。またEUとして規則を作ることで貿易での問題の緩和にもつながるだろう。しかし日本国内だけでこのような規則を作ることは難しく、一案として今後の研究に取り入れていきたい。


2023_11_30

自動運転に関する損害賠償責任 ――運行供用者責任と製造物責任の交錯領域における問題――・舩見 菜々子 

選択理由
今回は製造物責任法についてより知識を深めたいと思い、自動運転の視点から製造物責任法の役割・課題点・改善点について論じられている文献を選択した。この論文では自動運転以前からの製造物責任法の課題点を説明後、自動運転登場後に新たに生まれた課題点を言語化し、従来の課題点との関連性を詳細にまとめられている。

要約
 製造物責任法の大きな問題点として「欠陥」の定義付けである。製造物責任の追及をする際に、法律上では証明責任が原告側にある。そのため求償を行うことは困難とされている。例として衝突事故が起こった場合、原因が運行供用者の人為的なミスなのか機体不備によるものなのか証明することが難しいということが挙げられる。このように本来は製造業者が製造物責任を持つべき「原始的欠陥」を、結果的に運行供用者に責任負担になってしまう「肩代わり」のような現象が起こってしまう。また被害者が運行供用者と製造業者を共同被告として訴えた場合、製造業者によって欠陥はなかったとの積極的な反証を受けてしまい、訴訟が長引くだけでなく欠陥の存在が否定されることで運行供用者への責任も問えなくなる危険性がある。これらの問題は自動運転の登場によりより複雑化したと考えられている。
 自動運転の最も大きな問題は「運行供用者の存在」である。国土交通省が開いた研究会では運行支配の帰属は認められ運行供用者は存在すると見解が述べられていたが、既存のように運行供用者と定義づけできるのか疑問が残る。加えて法律上無体物であるソフトウェアは製造物にあたらないとされており、これはソフトに起因した事故の場合法律が適用されるのかも問題点として挙げられるだろう。そして「欠陥」をどのように定義付けするのかも問題点であるだろう。これは「現在の技術を考慮すれば欠陥となるが、考慮しないため欠陥でない」という「欠陥がないが不完全である」領域が生じる可能性があることが示唆されている。

総括
 今回の研究書評から製造物責任法には「肩代わり」の表現されるような製造者と被害者の関係性があることが理解できた。そしてこの考えはレベル4(目視外飛行)を解禁したドローンが墜落事故の可能性が拡大していく中で消費者(操縦者)にとって大きな不安要素になりえると考えられるだろう。
 今後はまたディスカバリー制度のように他国で取り組まれている制度の分析などをしていきたい。


2023_11_16

「関西圏の物流に関するネットワーク分析 ~ 将来的なドローン輸送の発展を想定した シミュレーションと考察 ~」平 悠佑 ・植杉 大

選択理由
 今回はドローンの今後の発展についてより知見を深めるため、平と植杉が研究した関西圏でのドローン輸送についてまとめられた論文を選択した。前回は地方での輸送に着目し、島間での輸送でのドローンの有効性を理解することが出来た。だが、レベル4の危険性を考察するためにも都市部での有効性について論文から学ぶ必要があると感じていたため、とても参考になる資料であった。

要約
 この論文ではまず新型コロナウイルスの影響を受け物流業が活発化したことに触れられている。そこで平と植杉は未だにトラック物流が主な手段とされていることに疑問を感じ、近年の技術発展を遂げているドローンに着目した研究を行った。また研究では物流ODデータを用いたネットワーク理論による分析方法を用いて行われた。ネットワーク理論とは人間関係や通信インフラといった複雑な系を分析する手法を提供する理論であり、ネットワークの特徴を明確化、影響の受け方を分析できるものである。研究対象地域が関西圏にされているのは京阪神地域を中心に複雑な物流ネットワークが形成されており、東京一極型の関東圏とは違い多極的に形成されている特徴があるということが主な理由である。これは京阪神都市圏交通計画協議会が述べた「高速道路周辺地域に事業所の立地が多く、広域的な物流がみられる」、「建設から30年以上経過した事業所が約3割」、「求められる物流機能に変化」の特徴につながると考えられる。
次に関西陸輸ネットワークとその物流クラスターに関する現状把握がまず行われた。この分析によると大阪市、東部大阪、北大阪は高速道路網など交通面で強みから消費地と生産地のどちらの立場においても中心的な立場であることが分かった。他にもその次に消費地として京都市が挙げられるが生産地での数値は低く、観光地や学問の集約地として役割を果たす独特な地域特性を持っていると考察できる。
これらの分析結果を用い、次に将来的なドローン物流導入が関西圏物流ネットワーク構造へどのような変化をもたらすのかを考察するため、5つのシミュレーションを用いて実行・考察された。その結果、山間地での輸送手段として利用しても圏域全体への影響が低いため、ドローン物流拠点建設の優先順位は低くなると思われ、アクセス面が良い場所ほど建設されるべきだという結果が出た。その中でも関西圏では滋賀県など都会よりも土地代が安くアクセス面に優れているエリアに物流拠点を建設するのが良いのではないかと考察されている。

総評
 今回の書評から前回とは違い、過疎地域ではなくベットタウン的都市部にドローンを実装するべきだという視点があることが理解できた。今後の研究では過疎地域、都市部のどちらに実装するのか前提条件を作成したうえでリスクマネジメントの施策を考えていきたいと思う。



2023_11_09

佐藤英明 『自動運転車の社会受容』

選択理由
 今回は自動運転の受容についての論文の書評を行った。前回はドローンの実例をまとめ、今後レベル4解禁によりどのような利用方法があるのか模索した。だが今回は研究のもう一つの軸である航空法の研究を深めるため、自動運転についての論文を取り上げた。この論文では自動運転への社会受容についてまとめられたものとなっており、この考え方は自動運転に近い仕組みを取るドローンにおいても大いに役に立つ考え方だと感じ、書評を行った。

要約
 自動運転の実現のため、技術開発や制度の準備だけでなく、社会受容性の視点が大切だと考えられている。また事故が起こった場合のことを考え、「責任の所在」を明確化する必要があるとされている。そこでこの論文では「社会的受容性」、「責任の所在」の大きく二つの観点から自動運転について考えられている。
 一般的に社会的受容とは「ある技術が社会に受け入れられること」を意味している。しかしこの社会受容とは幅広く用いられており、「何をどのような意味で受容し、誰が誰からの受容を得ようとするのか」を明確にする必要があると佐藤は考察している。そして自動運転に関してはメーカーと消費者の関係だけでなく移動サービスをおこなう事業者とユーザーとの関係についても問題と考えている。そこで佐藤は社会的受容を「主体」が新技術等によってもたらされる社会や技術の体制やシステムの変化などの「対象」に対して示す肯定的な反応であり、「主体」から承認を得られることが合理的に期待できることだと定義づけしている。また神崎は社会的受容を「社会に新しい技術が受け入れられるかどうかの事実や受容の程度、見込みとしているのに対し、問題なく社会が受け入れることが可能かどうかを「受容可能性」と定義づけしている。
 また責任の所在について「利用者がシステムに『判断権限を委譲する』という判断に責任を負う」、「立法により製造者ないし利用者の義務や責任分配を作成」、「社会全体で負担」、「システムに人格性を付与し、自由答責な責任主体とみなす」の4つからアプローチを行っている。

総評
 研究書評をからドローンにおいてもどの視点からアプローチするのか明確化し、それに沿った方法を作成する必要があると感じた。


2023_11_02

選択理由
 前回アメリカの「ディスカバリー制度」について学び製造者責任を明らかにする方法を模索したが、今回は日本で行われたドローンの輸送事例について研究した。これは実際に日本では今までどのような輸送方法を実験してきたのか、またどのような輸送方法を取り入れていきたいと考えているのか明らかにしたいと考えたからである。

内容
ドローンについて日本が考えるようになった契機は2015 年 4 月、内閣総理大臣官邸敷地内にドローンが侵入して屋上に落下した事件とされている。この事件以降、法律上明確に定義されていなかったドローンの飛行に係る安全確保に関する議論が加速し、2015年9月11日には「航空法の一部を改正する法律」 が公布(2015 年12月10日施行)された。また、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」 を中心としてドローンの安全な利活用のための技術開発と環境整備の両面で検討が進められ、2016年4 月28 日には「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」として「空の産業革命」に向けた行程表が描かれた。これは物流、災害対応、農林水産業、インフラ維持管理、測量、警備業などの個別分野における取組をより詳細化するためのものであった。その後、レベル4解禁に向け法整備を整え、物流分野で幅広く活用できるような仕組みを作られていくことになった。
では次に論文内にまとめられたレベル3飛行によって実施されたドローン物流の事例をまとめていく。一つ目は福島県南相馬市及び双葉郡浪江町では、郵便局間の荷物配送をドローンで実施するための実証実験が(株)自律制御システム研究所・日本郵便 (株)らによって 2018年11月 5 日~ 6日に行われたものである。これは片道9 km(飛行時間15分)でレベル 3 飛行を実施し、日本郵便の業務用書類やパンフレットを模した荷物が配送された。次に埼玉県秩父市では、送電設備上空を空の道として利用した「ドローンハイウェイ」の活用に向け、レベル 3飛行による実証実験が楽天(株)・(株)ゼンリン・東京電力ベンチャーズ(株)らによって 2019年 1月15日~ 25日に行われた。これは片道3 km(飛行時間10分)でレベル3飛行が実施され、バーベキュー用品等を配送した。また。大分県佐伯市では、地元スーパーから公民館までの区間で日用品等を配送するサービスを想定した実証実験がciRobotics(株)、モバイルクリエイト(株)、(株)NTT ドコモらによって 2019 年2月7日~28日(毎週 1 回の定期運航)で行われた。これらに加え保管分野においてもドローンは活用されている。日本通運(株)では、2018年から自社グループで管理する欧州の倉庫でドローンを使った在庫管理を開始している。これは庫内での在庫確認作業を省力化することに貢献し、確認ミス削減や人手不足対策として期待されている。その他にも離島をフィールドとした物流実現への取り組も行われている。

総評
 レベル4解禁についてのリスク管理や国内生産からの視点から研究を進めてばかりいたが、今回の論文で紹介されていたように倉庫内の作業や離島でのドローン物流などレベル3以内でのドローンの利用方法が多岐に渡ることが理解できた。今後は離島での活用方法などドローンの活用についてより多くの事例を調べていきたい。

参考文献
株式会社日通総合研究所 吉藤智一 『ドローン物流の最新事例と社会実装の展望』2020年 特集論説 物流における革新


2023/10/25

選択理由
 今回はドローン事故の際の製造者責任について考察する際に、アメリカの「ディスカバリー制度」を日本に導入することにどのような影響があるのか研究していく。日本で使用されているドローンは7割以上が中国産となっており、もし機体の不備が起きてしまった場合の対応策が施策されていない。そこでアメリカの制度である「ディスカバリー制度」は製造者責任を明確化する手助けになると考えた。

内容
 ディスカバリー制度とは訴訟当事者が事実審理を行う前に訴訟に関連する情報・証拠の開示を受ける制度である。また相手が持っている証拠を開示するよう要求できる手続きを意味する。加えてこの制度は1938年に連邦民事訴訟規則(FRCP:Federal Rules of Civil Procedures)において制定されたものである。
この制度の必要性を説明するためにアメリカの裁判の仕組みについて説明していく。アメリカでは、プリーディング(訴答)、ディスカバリー、トライアル、判決という4つの流れで民事訴訟の仕組みとなっている。その中でもブリーディングとは英米法の民事訴訟において、事実審理に先立ち争点を明確化するために当事者の間で主張の書類上で交換する手続のことを意味する。またトライアルとは対立する当事者が法廷に出頭し、裁判官の面前でそれぞれの主張を述べる訴訟・裁判の手続きをするということだ。つまりディスカバリー制度は「真実発見」と「紛争解決」という2つの目的があるとされる裁判の場で「紛争解決」をより重視し、和解を促進するためにある手続きだと認識することが出来る。日本の裁判の場においてはこのディスカバリー制度がなく、ドローンの製造者責任問題に発展した際に和解が難しいのではないかと考えられる。

参考文献
US LEGAL AID FOR LEADERS アメリカ法律力 第7回『アメリカのディスカバリー制度:基礎編』
ディスカバリー制度:基礎編 | US LEGAL AID (jpnuslegalaidatwork.com)



2023_10/11

今回は無人航空機[1](以下ドローンと呼称)航空法についてまとめ、現在の課題点を挙げていきたいと思います。またドローンに対する航空法は多くの規則がまとめられていますが、その中から大きく2つ抜粋してまとめていきます。

 1つ目は「ドローンの重量」についてです。無人航空機は原則、国の登録を受けたものでなければ航空の用に供することが出来ないものとなっています。また登録の有効期間は3年とされています。無人航空機の登録の申請はオンライン又は書類提出により行われ、更新手続きをしなければ登録の効力は失うものとなります。ここで登録のできない無人航空機の中に製造者が安全性に懸念があるとして回収(リコール)しているような機体や、事故が多発している機体、あらかじめ国土交通大臣が登録できないと指定したものとされていますが、実際に事故が起こった場合製造者責任が問いにくいという状況が今の課題点であると考えられます。戸崎(2023)によると、『航空機の場合は航空機メーカーと航空会社との間で機体の整備やその異常についての情報が綿密に交換され、 その結果として機体の安全性の維持・向上に向けた体制が整えられているが、メーカーにどれほどの信頼性、 安全に対する意識の高さがあるかどうかが今後問われることになる』と述べています。実際日本で使用されるドローンの9割は中国製であり、製造者との関係性が今後の課題になると考察することが出来ます。

 2つ目は規制対象となる飛行の空域[2]です。現在航空法では空港や空港周辺、緊急用務空域[3]、人口集中地区(DID地区)、地表及び水面から150m以上の高さが規制対象の高さとされています。しかし、今後ドライバーの人材不足により商業用(輸送)ドローンを活用していく際に改正が急務であると考えられます。

 以上より今回は航空法についてまとめていきましたが、現在の航空法では事故時の対応や今後の活用に制限をしている恐れがあることが理解できました。次回では解決策について講じていきます。


参考文献

国土交通省 「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html 
一般社団法人DPCA 無人航空機国家ライセンスセンター 『無人航空機講習 回転翼航空機 マルチローター 学科教本』


[1] 無人航空機の定義:無人航空機とは航空の用に供することができるものであり、構造上人が乗ることが出来ないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることが出来る機体を指す(重量は100g以上)。100g未満のドローンは小型無人機に分類され、航空法には分類されない。また無人航空機は小型無人機等飛行禁止法と航空法の2つの法律により規則が定められている。

[2] 自治体や知事から許可を受けた場合は飛行可能

[3] 緊急用務空域:災害時に捜索、救助等の活動の為緊急用務を行う航空機に飛行が想定される場合に新たに指定される禁止空域。

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