『記憶する体』を読む #1 前口上
『心理学アレルギーに効く?』が終わってしまうと、まさかの喪失感に襲われた。それくらい、東畑開人氏の『居るのはつらいよ』の存在は大きかったということだろう。言い古された物言いだが、胸にぽっかりと穴が開いたみたいで落ち着かない。何としても新たな書物を見つけるのだと空腹を抱えて森に入る狩人? みたいな気持ちで書店に向かった。日頃はkindleで読むことが多いのだが出会いを求めるのなら紙の本のほうが断然情報量が多い。そうして試し読みすること小一時間。これでもない、おもしろいけどちょっと違うという具合に手に取った本は30冊くらいにはなるだろう。あきらめて帰りかけたとき、1冊の本の背表紙が目に飛び込んできた。伊藤亜紗氏の『記憶する体』である。伊藤氏のことはラジオで聴いたり、kindleでサンプルを読んだことがあって気になっていたのだ。
目次を見ると、メモをとる全盲の女性、封印された色、器用が機能を補う、痛くないけど痛い脚、後天的な耳、幻肢と義肢の間、左手の記憶を持たない右手、「通電」の懐かしさ、分有される痛み、吃音のフラッシュバック、私を楽しみ直すと11のエピソードがあり、どれを見てもワクワクしてくる。
さあ読み始めよう!
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