<MBTI>16タイプ性格診断で語る次の総理大臣候補者
日本の総理大臣はコロコロ変わるので、就任一年も経っていないうちから「次期総理は誰か」という話題が絶えない。ポスト岸田に関しても前々から取り上げられてきた。今回はポスト岸田の候補の人物に関して16タイプ性格診断の観点から考察してみたいと思う。
河野太郎・・・ENTP
ポスト岸田の中でも最も世論からの人気がある人物は河野太郎だろう。彼は目立つパフォーマンスが得意だし、SNS等でも人目を惹く投稿を行っていた。公職につく政治家はJ型のように振る舞うケースが多いのだが、河野太郎は冗談を飛ばすなど、あまりJ型の振る舞いを行わなかった。これは結構珍しい。政治の世界では少しでも弱点を晒すと攻撃に遭うので、政治家は僅かな逸脱も恐れる傾向にあるからだ。
人間には集団の内部で評価される者と集団の外部で評価される者がいる。両者は被っていることも多いし、どちらの評価も低いことも多い。重要なのは内部評価と外部評価が異なる法則で回っていることだ。
河野太郎のような振る舞いの人物は外部評価の人物である。NTP型は大体そうだと思う。ユニークで突破力がある一方で慣例や場の空気をあまり尊重しないからだ。アメリカ大統領や都道府県知事のように直接投票で選ばれる役職の場合は国民から人気があれば良いので外部評価の高いタイプの人物が有利だ。ところが日本の首相の場合は自民党の中で出世することが総理の条件なので、内部評価の方が重要となってくる。河野太郎はあまり内部評価は得意でなさそうだし、森元首相などの長老からウケが良くない。首相になるには派閥の長の麻生太郎の協力が不可欠だろう。
茂木敏充・・・INTJ
河野太郎とは正反対の人物が茂木敏充である。彼は自民党ナンバーワンの天才と言われ、とてつもなく頭がいいことで知られている。安倍晋三曰く「同期で一番男前なのが岸田、一番頭がいいのが茂木、一番性格がいいのが安倍」なのだそうだ。
河野太郎は政治家一族に生まれ、下から慶応に通っていたが、茂木敏充は上昇志向の塊のような経歴だ。栃木県の田舎の高校から東大経済学部を卒業。最初は読売新聞に入るが、次に丸紅に転職し、続いて留学を経てマッキンゼーに入社する。その後会社を辞めて日本新党から出馬し、いつの間にか自民党に移籍し、幹事長にまで上り詰めた。日本最強のジョブホッパーだと思う。あの時代に転職でキャリアアップしている辺り、相当有能なのだろう。こうした組織や慣例に囚われない経歴はINTJの要素を感じさせる。
茂木敏充はとにかく有能な参謀のような存在だが、弱点としてとにかく世間で人気がないことが挙げられる。次期総理候補ナンバーワンと言われながら、国民からの待望論は最下位クラスだった。首相にあと一歩のところで詰まっているのだ。かなり冷酷な粗暴な人物像も伝えられており、河野太郎とは別の意味で官僚泣かせである。まさに政界のスターリンだ。
茂木敏充は内部評価の人物なのだが、その評価も能力面に偏っており、人格面ではあまり慕われていない人物のようだ。国民からは老害扱いだが、内部では人格者として扱われる森元首相とも異質である。党内の最有力者ではあるが、茂木氏が総裁では選挙に勝てないと思われて、次期総理にはなれないかもしれない。
石破茂・・・INTP
石破茂は2000年代の政治家というイメージが強く、すでに終わった人と思われていたのだが、長きに渡る安倍政権時代の冷遇を経て、ここに来て一気に急浮上している人物だ。河野太郎と同様に外部評価の高い人物である。石破茂の党内基盤は弱いが、自民党支持層ではそこそこ高く、自民党支持者以外からは最も高い。
石破茂は独特のユーモラスな語り口でお茶の間の人気を得ていた。軍事をはじめ色々なことに詳しく、マニアックな印象を与える人物だ。UFOの話やシンゴジラの話に関しても雄弁だった。父も政治家ではあるが、中央政界の人物ではないので、自民党の派閥政治に絡んでいない。鳥取県から慶応高校に入学し、そのまま慶応大学に進学。三井銀行を経て政界でのキャリアを積んでいる。
石破茂もNTP型の例に漏れず、組織や集団というものへの従属性に乏しく、複雑な派閥政治は苦手のようだ。思ったことをすぐメディアで口に出してしまう傾向が強く、党内で批判を浴びることがある。
石破茂は国民からの期待が高く、最近の調査では河野太郎を上回って1位となっている。問題は党内の支持だ。日本の総理は直接選挙ではないので、いくら国民の人気があっても自民党の中で出世しなければ総理にはなれない。実のところ、日本社会の出世は組織の内部評価が重要なことが多く、INTPやENTPといったタイプには非常に不利なゲームとなっている。
なお、政界は官僚や会社員のような組織社会とは異なり、派閥の連合体という側面が強い。このような間合いはNTJ型が得意とするはずだ。実際に小沢一郎や金丸信のような人物は政治ゲームで絶大な影響力を振るっていた。ただし、INTJやENTJは世間から好かれにくく、総理まであと一歩で届かない傾向がある。先述の茂木敏充もこの罠に引っかかる可能性があるだろう。結果として、重鎮として大手を振る首相経験者は麻生太郎や森喜朗のようなSP型の人物となっている。
余談の余談となってしまうが、S型の人物は年齢を重ねると「老害」的な雰囲気になりやすい。N型が良くも悪しくもキャラが変わらないのとは対称的だ。ナベツネは完全なN型だが、あの人は「老害」ではなく、「害」なのである。
西村康稔・・・ENTJ
昭和の時代は東大法学部⇒官僚という経歴の人物がしばしば総理になっていたのだが、ここ最近そのような人物は激減している。官僚出身の政治家はどうにもパッとしない人物が多く、総理はもちろん、有力政治家にもあまり見られない。最近だと細田博之くらいだろか。その細田氏にしても死の前後に叩かれるという不名誉な晩節となった。
その中で、再び総理になる可能性が高いと思われたのが西村康稔である。神戸大附属幼小中・灘高・東大法学部・通産官僚というピカピカの経歴だ。コロナ危機の最中は経済再生担当相として顕著な活躍を見せた。
そんな西村氏だが、学生時代からとんでもない上昇志向の塊だったようである。元明石市長の泉房穂によれば、学生時代にすでに「将来は総理になる」としてオラついた態度を取っていたらしい。その後も順調に出世を重ね、美女と酒池肉林を楽しんでいたとかなんとか。美女はかなり好きらしく、自身のサイトに「美人図鑑」と称して外国人の写真を載せており、批判を浴びたこともある。一連のエピソードは非常にENTJっぽい。
まだ若いこともあって今後が期待されていた西村氏だが、安倍派の献金問題で首相レースからは脱落したように思える。元官僚はパッとしないというジンクスはまたも繰り返された。官僚上がりの人物はエリート社会の価値観に染まってしまい、世間から好かれないのかもしれない。実際に西村氏の外部評価はかなり低い。自民党女性局長の松川るいも多分ダメだろう。茂木敏充にせよ上川陽子にせよ、官僚っぽい雰囲気はあっても実際は民間企業の出身者である。
岸田文雄にせよ、安倍晋三にせよ、世襲政治家は民間企業に就職することが多く、林芳正のような東大法学部出身の人物ですらそうだった。世襲政治家で官僚になったのは大蔵省出身の宮沢洋一くらいだが、やはりパッとしない。大物政治家の間では後継者は官僚よりも民間企業の方が経験を詰みやすいと考えているようだ。宮沢洋一が大蔵官僚なのは彼の叔父に当たる宮澤喜一が政界一の学歴厨だったからかもしれない。なにしろ「法学部以外も東大っていうんですか」という人物である。
上川陽子・・・ESTJ
最近ポスト岸田として急浮上したのが上川陽子である。女性初の総理大臣になる可能性が最も高いのは上川氏だろう。東大文三から後期教養の国際関係論に進むという「いかにも」な経歴だ。卒業後は三菱総研を経てアメリカの政策担当者をやっていたらしい。夫は大学時代の同級生で、日銀マンだったとか。ちゃんと2人の娘にも恵まれている。絵に描いたようなキラキラ東大女子である。出身高校は静岡雙葉らしいが、元乃木坂の若月佑美のところか。
上川陽子は派閥政治にそこまで絡んでいないし、独自の主張もそこまで強くない。自民党の中では無難な人物と考えられている。実際は結構社交的な人物らしいが、国民的イメージは黙々と職務をこなす仕事人という感じだと思う。「鉄の女」なんていう異名もある。
上川陽子の外部評価は高い。なぜなら彼女は麻原彰晃を処刑した人物だからだ。小泉純一郎の拉致被害者奪還のように、明確な功績を上げた人物は概して国民的評価が高い傾向にある。党利党略だけでは到達できない支持を受けるのだ。外国の話になるが、チャーチルは選挙に負けたにも関わらず、第二次世界大戦に勝利したという功績により、未だに英国最大の英雄として讃えられている。プーチン大統領が有象無象を押しのけて突出したリーダーとなったきっかけも、(自作自演疑惑があるが)第二次チェチェン戦争に勝利したからだ。
政治家は少なくとも表向きはN型の要素が強い業界であるため、N型なのが「当たり前」だ。ENTJは世間一般ではかなり目立つが、政治家の中に入ると量産型のように見えてしまう。主張も穏健だ。ましてや、S型の人物は極めて地味な印象となる。上川陽子にしても、キャリアを積み重ねたいという欲求こそあれど、やりたい政策は特になさそうな印象を受ける。
上川氏は70歳の現在に至るまでほとんど目立たなかったが、ここに来て急に注目が集まっている。おそらく現時点で日本最強のキャリアウーマンだろう。
高市早苗・・・ENFP
上川陽子と並んで女性首相最有力と言われている人物が高市早苗である。神戸大学・松下政経塾出身の叩き上げで、世襲でも元官僚でもない。この点は強みでもあり、弱みでもある。安倍晋三の寵愛を受けていた(変な意味ではなく)が、2022年の安倍晋三暗殺事件で基盤を失い、凋落したかのように思えた。ここに来て安倍派の失墜で再浮上しているようだ。
NF型の人物は独特の雰囲気がある。決して強面ではなく、単なるいいヤツでも終わらない、どこか印象に残る雰囲気だ。NF型の人物が本当の意味で政治家に向いているかは疑問符が付くが、国民に対して訴えかける上で強みになることも多いだろう。高市早苗もそんな政治家の1人だ。
高市氏の自由奔放な列伝は上げればキリがない。「高校にバイクで通学し、校舎の壁をよじ登った」「国家総合職試験を受けることを思いつき、彼氏とキスをしながら試験会場に行った」「みんなで酔ってモーターボートを操縦した」「地中海で、海の見えるホテルの部屋で、飲みィのやりィのやりまくった」「30歳を過ぎて25歳の若いピチピチした男の子をたぶらかすなんて、犯罪じゃないかという気がしていた。でも、私は20代のときよりもいまのほうがいいカラダをしているかなって思う」だそうだ。この人は行くところ来るところで次々と彼氏を作るらしい。東京ラブストーリーそのものである。
恋愛一筋なのかと思いきや、バンドにハマったり、バイクを乗り回したり、空手にダイビングなど、次から次へとすごい。テレビのキャスターをやっていたこともある。夫の山本拓とは2017年に離婚するが、2021年に再婚している。
しかし、こうした奔放なエピソードの数々もどこか憎めないのがENFPなのである。
小泉進次郎・・・ENFJ
高市氏と同じNF型の有力政治家で、飛び抜けたカリスマ性を持つ人物が存在する。それは小泉進次郎だ。まだ20代の頃から小泉進次郎は政界のプリンスとして注目を集めており、まだ40代にも関わらず次期総理への待望論が強い。これは単に小泉前首相の息子だからというだけではないだろう。
小泉進次郎はあまり学業的に優秀ではなかったようだ。環境大臣時代もしばしばネット上で「頭が悪い」としてネタにされている。「小泉進次郎構文」は知っている人が多いだろう。
ただし、安倍晋三がそうだったように、学業的な優秀さと総理としての能力はまた別だろう。小泉進次郎の発言はとにかく話題になるし、国民の印象に残ることが多い。当初はバカにされていた発言の数々も、後から振り返るとそれなりに示唆深いと見直す動きもあった。「人生100年時代」という言葉を持ち込んだのも小泉進次郎だった。それに、彼の好感度は非常に高いようだ。地元の有権者からは絶大な支持があり、揺らぐ気配がない。クリーンなイメージは必ず将来的に強みになるだろう。
結局ポスト岸田は誰なんだ?
ポスト岸田はここに挙げた誰かになることは確実だろう。しかし、誰になるのかは予測不能だ。西村康稔は恐らく脱落しており、小泉進次郎はまだ若すぎるが、他は首相になる可能性が残っている。
主流派をまとめる麻生太郎が茂木敏充を推し、非主流派の菅義偉が石破茂を推すという見解もある。党内の下馬評では茂木敏充が最有力ではあるが、今後の総選挙との兼ね合いもあり、不透明だ。世論の人気があるのは河野太郎と石破茂だが、党内の基盤が弱く、茂木敏充に勝てるかは分からない。いずれにせよ、岸田内閣の支持率は下がっており、次期総理のレースが始まっていることは確実だと思われる。
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