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<MBTI>N型が会社員に向いていない究極の理由

 筆者は以前書いたサラリーマン適性の記事で、基本的にN型はあまりサラリーマンに向いていないということを論じた。それ以外の記事でも基本的にN型には辛らつなことを書いたと思う。N型の生き方は難しく、私自身も最適解は分かっていない。

 それにしても、N型が会社員に向いていない究極の理由は何なのかという点は私にとっては興味深かった。一般企業で働くというのは日本人にとって最もオーソドックな生き方だからだ。市場原理を信じるならば、一般企業こそが一番最適化された職場のはずだし、選択の幅も一番多いはずだからだ。

 以前の投稿で世間の職業を大きく公務員・専門職・自営業・会社員に分類したが、N型との相性がいいのは専門職・自営業であり、相性が良くないのは会社員とおそらくは公務員だ。ここでいう会社員は業界を問わない。金融だろうが、メーカーだろうが、いろいろあると思うが、具体的な業界の問題ではなく、会社員という生き方はN型にとってそこまで相性が良くない可能性が高い。業務内容に興味があったとしても、やはり会社員という生き方は満足度が高くないのだ。

 N型が会社員に向いていない究極の理由、それはおそらく「働き方・生き方の自由度が著しく低い」という点だ。具体的な業務や業界は会社によっても異なるので、一概にいうことはできない。ただ、会社組織の性質や雇用法制、さらには転職市場の性質により、会社員というスタイル自体がN型には向いていないのだ。逆に資格業や自営業は業種がN型に向いているかは分からないが、働き方・生き方という点ではN型にとって満足度は高そうである。

 S型とN型の根本的な違いとして、S型は環境に順応するのに対し、N型は環境を形成するというものがある。この違いは非常に大きい。S型はスクールカーストのような均質性が高く、日ごろ環境を同じくしている人間の集団で優位性を発揮することが多い。一方のN型は自分から人間の輪を広げていくところがある。例えばN型は社会人になってもほかの会社の人間と友達になったりする。N型の交友関係は環境にそこまで依存せず、共通の興味がベースになっていることが多い。

 会社員は基本的に働き方・生き方を組織に決められてしまう。勤務地や部署の選択の自由はない。業務に関してはモノによるだろうが、裁量権はそこまでないことが多い。横並び意識が強いため、個性を出すことは許されにくいし、常に周囲の目線を気にして生きていく必要がある。これは会社によるだろうが、業務システムも完成されていることが多いため、上司の意見を仰いで前例踏襲を続けるということも多い。この性質は大組織になるほど強くなる。

 新卒一括採用のような慣行もN型にとってはストレスを感じやすい。あまりにも柔軟性がないように思えるからだ。人生の早い時期で可能性が閉ざされてしまう感覚に陥ってしまう。20代の間はいろいろな仕事に挑戦したみたいという考え方もあるが、残念ながら日本の大企業の考え方では認められていない。同様に出世の在り方や昇給ペースなどもだいたい決まった通りである。週三回だけ働いて残りを別の活動に充てたいなんて働き方も無理だ。生涯現役を目指して何歳まで頑張れるか挑戦してみたいという人も定年で強制退職させられるので不可能である。

 会社員が目指せる唯一の夢は社内で出世することだが、これまたN型にはそこまで向いていないと思う。というのも、会社内の出世は均質性が高い環境の内部評価で決まるため、スクールカーストに近い性質を持つからだ。副業も禁止であることが多い。学者とか医者とか塾講師のような専門職は自分の本を売って儲けている人がいるが、会社員の場合はそんな自由は認められていない。副業を行うとしてもそれは会社の目につかないようにコソコソと行う必要があるし、実社会での名誉は決して得られないだろう。ユーチューブに出たりするのも論外である。

 最近は転職が盛んだ。したがってN型にとっては昔よりよりも少しは生きやすい社会かもしれない。ただし、いまだに会社中心のキャリア観は強い。転職35歳限界説なんてものもある。他にも年齢によっていろいろな限界がある。どうにも会社員という世界は働けば働くほど選択肢が狭まっていくようなのだ。退職後に好きなことができると考える人も多いが、会社員の引退年齢は生涯現役を目指すには早すぎるが、新しいことにチャレンジするには遅すぎるので、結果として趣味に毛が生えたようなことしかできない。

 要するに、N型にとって会社員は「できないことのオンパレード」なのである。自分の発想で挑戦してみたり、実現できるものはほとんど存在しない。もちろん会社を辞めれば挑戦できるだろうが、それには大変なリスクが伴い、失敗した場合は奈落の底だ。会社員に求められているのは会社の命令に従って目の前の業務に取り組むことであり、それ以外の動きは一切許されていない。「こんな仕事をやってみたい」とか「業務経験をもとに本を出版したい」といったことは全て不可である。物事の可能性を重んじるN型にとって会社組織という場所はかなり息苦しいと考えてよいだろう。S型にはこうした悩みは起こりにくい。S型は実利的なので目の前のキャッシュフローを重んじる。この点に関しては会社員は特権といってもいいくらいに恵まれている。それにS型はあまりものごとの可能性に重きを置かないので、可能性が失われることに関しても気に留めないだろう。なお、N型はそれぞれに立派な持論があるので、N型ばかりの会社組織は大抵が不安定だ。激しい意見対立の果てに分裂したり、個人の発言を一切許さない独裁的な組織になったり、何かと難しい。

 こうなると、N型にとっては会社員は定年までのクソゲーになってしまう。これは大組織の歯車という性質上、仕方のないことだ。歯車は周囲と足並みをそろえて同じ行動を取らないといけないし、環境に順応することが求められる。オリジナルのアイデアを出したり、勝手に自分探しをされるのは困るのである。N型の会社員を見ていると、家庭・趣味・副業などに生きがいを求めていることが多いようだ。こうした項目は仕事と違って自分の自由になることが多いからである。

 N型にとって快適な働き方・生き方はどんなスタイルか。一概に言うのは難しいが、「大勢の個人」的な振舞い方が可能な状態だと思う。N型は常に環境を同じくしている職場の同僚よりも、同業者の緩い集まりの方がコミュニケーションを取りやすいと思う。これは主に専門職や自営業のやり方である。自己責任の上ではあるが、業務とは関係ない活動もしやすいだろう。頑張るほど活躍の幅が広がっていく感覚もN型には合っているかもしれない。

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