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有名大学の看板学部、総まとめ!!

「看板学部」という考え方がある。その大学の歴史的経緯と踏まえて最も花形といえる大学はどこかという話だ。今回は看板学部について論じてみようと思う。

 この手の議論で常に取り沙汰されるのは偏差値だ。ただ、看板学部と偏差値の高い学部は全くの別物である。特に国立大学の場合は偏差値は大学名と学部名で自動的に決まってしまう。看板学部とはそういった偏差値上の話ではなく、真に社会で活躍する人材を送り込めている学部のことだ。と言っても抽象的かもしれない。看板学部の特徴は一言で言えば偏差値の割に就職が良かったり、多数の有名人を輩出していることである。

 しばしば医学部の偏差値が一番高いから医学部が看板学部!という主張があるのだが、これは看板学部の意味を全く理解していないと思う。医学部は偏差値が高いのが当たり前で、日本中の医学部志望者が殺到してくるので看板学部でなくても偏差値は高騰してしまう。筆者が言うのも変な話だが、偏差値に毒されすぎだ。

 それでは見ていこう。看板学部の議論は全く客観性を欠いているし、人によって議論は分かれると思う。なので、基本はネタと思って軽く受け流してほしい。

東京大学:法学部

 ほぼ意見が分かれることは無いだろうが、東京大学の看板学部は法学部である。東大法学部は官僚養成学校と言われており、日本の国家と社会を支えるエリートを多数輩出してきた。官僚の出身学部でダントツで多いのは東大法学部であり、世襲やコネが幅を効かせているにも関わらず、国会議員の輩出数でも東大法学部がダントツ一位である。最近は見かけなくなってしまったが、以前は宮澤喜一など多数の総理大臣を輩出してきた。

 他にも東大法学部の強さを挙げればキリがない。法曹界で最も強いのも東大法学部であり、最高裁判事は東大法学部が一番多い。法曹界は官界ほど東大法学部閥が強くはないのだが、それでも東大法学部が最強であることは間違いない。大企業の社長の輩出数も東大法学部は東大経済学部に次いで2位である。変わり種では、日本を代表する映画監督の山田洋次氏は東大法学部出身だ。他にも林修のようにちらほら文化人が出てくるのも特徴だ。最近は新川帆立・結城真一郎・辻堂ゆめ・阿津川辰海など、東大法学部出身のミステリー作家が同時多発的に多数出現しており、ブームなのだろうか。筆者もいつかカリスマブロガーとしてこの流れに加わりたいものである。

 というわけで、東大で最も著名人を輩出しているのは法学部である。大学受験の偏差値では医学部の方が遥かに上かもしれないが、この点では圧勝である。最も最近は法学部の凋落傾向が激しく、東大の花形学部は良く分からない。法学部は不人気だが、医学部が看板になるわけでもなく、とりあえず理一(工学部とは言わない)に進学している優秀層が多いようだ。コンサル等のブームも考えると経済学部辺りがホットなのかもしれない。理一がブームなのに文系就職が人気というねじれた現象が起きているようだ。

京都大学:理学部

 これもほぼ議論の余地がないだろう。京大理学部は伝統ある学部で、多数の優れた学者を輩出してきた。ノーベル賞受賞者が一番多いのは京大理学部である。東大理学部よりも強い印象も受ける。湯川秀樹をはじめ京大理学部出身の学者を挙げればきりがないが、政治学者の小室直樹が京大理学部出身というのは筆者としては意外だった。

 筆者が東大以外で行ってみたい大学があるとするならば、京大理学部である。東大VS医学部論争を散々書いているが、医学部を選択する世界線は多分ない。

一橋大学:商学部

 これもほぼ決まりだろう。一橋は三商大の一角であり、ビジネス系に特化した単科大学だ。商学部は東大京大に存在しないので、一橋が最高峰になる。実際、会計系の学問の専門家は一橋大学の教授が多い。文系ビジネスマンにとって親和性の高い大学は東大京大ではなく、一橋だと思う。

 一橋は経済学部や法学部の方が偏差値が高いらしいが、商学部という分野の最高峰であることや、大学の由来なども考えると商学部が看板で良いだろう。

大阪大学:医学部

 阪大は微妙なところであるが、医学部を看板にした。阪大医学部は非常に評価が高く、日本の医学部でもトップクラスである。京大よりも関連病院が強い事も知られる。というか、東大よりも強いのではないかと思う。緒方洪庵の適塾に由来する、歴史ある学部である。

 迷ったのは工学部だ。阪大の工学部はかなり優秀である。ただ、工学部は他の旧帝も強いことや、医学部がとにかく圧倒的であることから医学部を看板にした。

九州大学:工学部

 九大は多分工学部だろう。地方旧帝大はだいたい理工系が強く、メーカー等に大量に人材を送り込んでいる。文系就活における早慶に近い。九大の場合は工学部に対抗できる学部は医学部だろう。九大医学部はかつては東大京大に次ぐ威厳があったとも言われる。九大医学部は九州では天皇のような扱いだ。

名古屋大学:理学部?

 同上。知り合いがあまりいない。すまん。

東北大学:工学部

 東北大学の看板学部は理学部か工学部かは迷うところだが、工学部だろう。どちらも優秀である。最近は理系ブームもあって東北大は首都圏から多くの学生が押し寄せているようだ。理工系として頑張りたい人にはおすすめの大学である。日本のメーカーやインフラは地方旧帝大が支えているのだ。

北海道大学:農学部・獣医学部

 北大は農業地帯の北海道に位置する旧帝大であり、前身は札幌農学校だ。よって看板学部は農学部である。ここは議論の余地がないだろう。特に獣医学部の偏差値は日本屈指のレベルだ。何しろ北大医学部とそこまで大差がない。日本の獣医の業界は北大と東大の二大勢力らしい。

慶応大学:経済学部

 三田の理財と言われるように、慶応大学は経済学部が看板である。慶応は民間就活の王であり、日本のビジネスマンは慶応だらけだ。多くの大手企業は慶応閥である。半沢直樹も慶応経済という設定だったような。

 上場企業の社長の輩出数も慶応経済が一番多い。(率では東大の方が高い)小泉純一郎を始め、総理大臣も輩出している。大物政治家は慶応経済の出身者が多いのだ。慶応は日本のエスタブリッシュメントの師弟が多く、ブルジョワエリートの頂点なのである。

 看板学部にはなり得ないが、最近伸びているのは法学部である。全国的な法学部低迷の中で慶応だけは法学部が上昇基調だ。以前の司法試験では東大法・中央法・早稲法が強く、慶応は一歩引いた立場だったのだが、新司法試験になってからは東大法と慶応法が二大勢力になっている。一つは内部生が中高一貫校のノリで予備試験に挑戦してくることにある。

早稲田大学:政治経済学部

 早稲田といえば政経だろう。私大バブル時代は政経は本当に難易度が高かった。東京大学文科四類とも言われていたくらいだ。私大文系の雄である。

 早稲田政経はビジネスエリートの中でも慶応経済に次いで目撃する人々である。ただ、コネが少ないのと慶応ほどガツガツしていないので、やや差を開けられている印象だ。それでもトップクラスであることは間違いない。日本の政財界で頭角を表している人物は絶対数で言えば東大法・慶応経済・早稲田政経の三強ではないか。

 早稲田の学部でもう一つ強いのが文学部だ。早稲田の文学部は日本で最も芥川賞作家を輩出しているのではないかと思われる。日本の文化人は早稲田の出身が多い。三田の理財とは異なる特徴である。そう考えると、実は早稲田の看板学部はこちらの方が的確なのかもしれない。

上智大学:外国語学部

 これも決まりだろう。上智大といえば昔から英語のイメージである。私大バブル期は早慶に匹敵する偏差値があった。ただ、最近は上智は凋落傾向であり、立場としてMARCHの方が近くなっている。

中央大学:法学部

 これは今までの議論の中でも最も顕著だろう。中央大学といえばなんといっても法学部で、他の学部とは一線を画す。中東戦争と言われたように、以前は法曹界で東大と並ぶ二大勢力だった。

 中央法は以前ほどのパワーは無くなっている。一つは多摩にキャンパスが移転したことで不便になったことだ。都心にキャンパスを戻しているらしく、やはり失敗だったのだろう。もう一つの理由は法曹界の人気低迷だ。中央法の宿命は偏差値で早慶に勝てないことだ。中央法はMARCH最難関だが、それでも早慶には勝てない。あくまでMARCHという扱いなので、民間就活では早慶や旧帝大に進んだほうが良い。中央法は法曹界に進まない限り、そこまでうまみがないのだ。最近は予備試験の合格率でも慶応に大きく差を開けられており、凋落傾向である。

 法曹界においては東大法が最強で、京大法は裁判官と学者で強く、中央法は旧司法試験時代の実務家が多く、慶応法は予備試験に強く、早稲法はどれもそこそこという感じだ。ここが五大勢力だろう。一橋法はかなりレベルが高いが、なぜか地味である。地方に弁護士が少ないこともあって、地方旧帝大はあまり存在感がない。

神戸大学:経営学部

 神戸大学は一橋大学と並ぶ商科大学であり、看板は経営学部だろう。関西の国立大学は京大・阪大・神戸大という序列なのだが、阪大の文系はあまり強くないので、神戸大文系は結構目立っていたりもする。神戸大経営は結構民間就活に強く、関西系の老舗企業ではよく見る大学だ。

筑波大学:教育学部

 筑波大学は東京教育大学と東京文理科大学が合併してできた大学だ。看板学部はやはり教育だろう。本当は人間学類教育学群という名称だが、大変わかりにくい。筑波大は体育学群も強いし、理系でも定評があるが、看板を一つ選ぶなら教育ではないか。

 東京教育大学の前身は東京高等師範学校であり、日本の教員養成機関としてはトップだった。筑波大附属や筑波大附属駒場も進学校として名高い。これも教育学部の最高峰としての筑波大の立ち位置が原因である。ライバルはお茶の水女子大学や東京学芸大学だ。この三校の附属学校が茗荷谷の同じエリアに隣接しており、国立小学校受験の御三家となっている。

お茶の水女子大学:文教育学部

 お茶の水女子大学は女子大ということもあって、文教育学部が強い。前身は東京女子高等師範学校であり、教育学部の世界では筑波大のライバルである。昔は女性の就職が難しいこともあって、教育ある女性は教師になることが多かった。お茶の水女子大学のOG会は「桜蔭会」というのだが、まさに彼女らが作った私立女子高が超進学校の桜蔭である。今では桜蔭は母体のお茶大附属よりも遥かに上の超進学校となっており、筑駒とこの辺りは似ている。

まとめ

 今回は有名大学の看板学部についてまとめた。他にも有名な大学は沢山あるが、筆者が判断できるほどの情報を持っていない大学に関しては除いた(名古屋大学ごめんなさい)。

 看板学部というと常に医学部を挙げる人がいるのだが、看板学部とは偏差値の高い学部のことではない。特に国立大学にその傾向が強い。国立大学のヒエラルキーは明治時代から殆ど変わっておらず、大学名と学部名で自動的に決まってしまうからだ。看板学部はむしろ偏差値以上の魅力や価値のある学部と言えるだろう。例えば東大の看板である東大法学部は少し前まで独特のブランド力があり、理系に強い生徒でもあえて進学することが多かった学部である。他の学部も同様だろう。慶応の場合も難易度は理工の方が高いかもしれないが、目立っているのは経済学部である。

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