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韓国近現代美術を代表する画家・張旭鎭~「最も真剣な告白」at 国立現代美術館②~

 前回に引き続き、2023年9月14日~2024年2月12日まで国立現代美術館の徳寿宮館で開催されていた「最も真剣な告白:張旭鎭 回顧展(가장 진지한 고백: 장욱진 회고전)」についての記事です。

※張旭鎭(장욱진/チャン・ウクジン)は韓国の近現代美術を代表する画家です。

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最初の告白「自身の抵抗の中で生きながら」
(첫 번째 고백 - 내 자신의 저항 속에 살며)

 最初のセクションでは、張旭鎭の学生時代から中高年期にかけての作品が展示されていました。

 高校時代に描いた古典的な《お手玉遊び(공기놀이)》から、張旭鎭ならではのシンプルな画風に至った道のりを理解するポイントは、童心の遊び心なのだろうと感じた一方、タイトルにもある彼の最初の告白は「自身の抵抗の中で生きながら」でした。

誰もがそうであるように、人とは、いつ、何処に居たとしても、抵抗の中で生きているようだ。……誰かを問わず、職を持つ者は皆、自らの職責を借りることで、自身の命に対する純粋性を守ろうと必死にあがき、その純粋性に対する他人からの侵害を食い止めようとするのが常である。……私の場合も間違いなく、抵抗の連続だ。行為(制作過程)は愉快なことばかりではなく、素材を扱うときの技巧に関しては面白いと感じても、その結果(表現)については、悲惨なものが多い。そんなわけで、私の仕事は抵抗の連続だと言わざるを得ない。……日常、私は、自身の抵抗の中で生き、この抵抗こそが、自分という存在なのだと考えている。

張旭鎭、東亜日報「抵抗」(1969年6月7日)
(筆者による拙訳)
《甕(독)》1949年
ザ・シンプル。手前にいる鳥が可愛い、深みのある作品です。
《自動車がある風景(자동차가 있는 풍경)》1953年
どこか(小学校)で見たことあるような絵だと思うのは、私だけ?
《魚(물고기)》1959年
この質感、けっこう好きです。
《傘(우산)》1961年
雨が降ってると思いきや、太陽が出てる。雲から太陽が透けて見えることもあるよね。あ、それとも、これは日傘かな? ん”ー、でもタイトルの「우산」の「우」は「雨」って書くしなあ。
まあ、そんなことより、タイトルは色んな意味で「幼稚園生」としたい。
《女人の座像(여인 좌상)》1963年
今回の展示の中では、画家が描いた絵画っぽい(失礼)。
こういう壁画ありそうだなとも思う。
《台所と部屋(부엌과 방)》1973年
これまた、どっかの洞窟にありそうな絵。
《自画像(자화상)》1951年
朝鮮戦争が勃発し臨時首都となった釜山で避難生活を送っていた張旭鎭が、従軍画家として服務中に忠清南道燕岐郡へ一時帰郷した際に描いた作品。
張旭鎭の代表作ですが、サイズは14.8×10.8cmと非常に小さいです。

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第2の告白「発想と方法:一つの中にすべてがある」
(두 번째 고백 - 발상과 방법: 하나 속에 전체가 있다)

 ただ見たいように見ることと、知識を持った上で観察して見ることの違いを学ぶのが、本セクションです。シンプルがゆえ、すぐに通り過ぎることも可能ですが、一度その意味について考え出すと、出口のない迷路にはまり込んだような錯覚すら覚えます。

人々は、私の絵を見ては、説明してほしいとやって来る。絵描きなら誰もがそうであるように、私は常に何かを考えている。その思考が、作品の発想となることは言わずもがなだ。考えの善し悪しで、作品の出来が決まったりもする。ただ、私の考えと言っても、何も特別なことではない。外の世界からやって来る様々なフォルム(Forme)を再構成する作業だ。言い換えると、外部からのとりとめのない形態を、内在する力で統一させる作業である。……一人の画家の個人的な発想と手法だけが、絵画の基準となる。しかし、今まであった秩序の破壊は、単に破壊として結末を迎えてはならない。個性的であると同時に、それはまた普遍的でなければならないのだ。常に自分の言葉を持ち、その言葉は、同時代の人々の共通言語であることも忘れてはならない。このような点が、今日の芸術家を悩ませないわけがない。

張旭鎭、『文化芸術』「発想と方法」(1955年6月)
(筆者による拙訳)
左:《カササギ(까치)》1958年
右:《鳥と木(새와 나무)》1961年
《自画像(저화상)》1986年
おそらく画家自身であろう家の中の人物が、どうみても熊にしか見えない。あっ! 自分自身を冬眠する熊に例えているってことか! でも、解説曰く「幼き頃からの友人であるカササギが、深山幽谷で安らう年老いた画家に便りを伝えに来た」様子を描いているんだとか。熊、関係ないんかーい。いや、それでもここは「人里離れた深い山奥で冬眠する熊のように静かに暮らす画家に、古くからの友人であるカササギが便りを伝えに来た」として理解しよう。うん。
《村と子ども(마을과 아이)》1976年
クイズ!どっちが上でしょう?
クイズその2! この人物がいるのはどこでしょう? 空、それとも別の空間?
絵画としては、横にしても良いっていう説あり。まさに、自由。
《人々(사람들)》1979年
宙に浮かぶおっちゃんズ。サングラスかと思ったら、ただのデカい目だった。
《木(나무)》1987年
個人的にけっこう好き。シンプルだけど、温かくて、懐かしい。

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■■参考文献■■

韓国国立現代美術館『가장 진지한 고백: 장욱진 (1917-1990) 회고전 (The Most Honest Confession: Chan Ucchin Retrospective)』. 2023.


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