見出し画像

#116 疲労物質ではない乳酸の重要性

テレビの番組で、スポーツ対決を
行っているものを
よく見かけてたりします。

その中で出演者の方々が、
疲労が溜まっている選手たちを見て
「乳酸が溜まってきてますね」
コメントをされているのを
耳にします。

乳酸という言葉を聞くと、
疲労を連想する方が多いかと思います。

ただ、最近ではエネルギーを作り出したり、筋肉の動きを助けたり、
これら以外にも健康に役立つ作用が
わかってきております。

筋肉が疲れるのは、乳酸が体内に蓄積されるからだと考えられていました。

強い運動をして筋肉が疲労したときに
乳酸値を測ってみますと、
安静時よりも高くなります。

そのため、乳酸が疲労の原因だと
考えられておりました。

乳酸とは、解糖系と呼ばれる代謝経路で糖質が分解されたときに発生する物質であり、
食品など体外にも存在しているものです。

乳酸は、身体の中では筋肉でエネルギーを
作るとき、糖(グリコーゲン)
が分解されることにより生成されます。

ジョギングなどの有酸素運動よりも、
短距離走などの無酸素運動のときに
乳酸はより多く生成されます。

最近では、疲労の原因と
考えられていることは、
乳酸の生成過程で発生する
水素イオンにより、
筋肉のpHバランスが酸性に傾くこと
ではないかと言われています。

また、疲れには乳酸ではなく、活性酸素が
関係していることもわかってきています。

では、乳酸にはどんな役割があったり
するのでしょうか?

乳酸は肝臓においてグリコーゲン
という糖に合成されて
エネルギーとして再利用されるなど、
エネルギー源という一面がございます。

加えて、筋収縮に必要なカリウムが
失われないようにする機能を持ち、
筋肉の疲労を防いだり
新しい血管の生成・ケガなどの回復・
体内でエネルギーを作るミトコンドリアの
新生・遺伝子発現の調整など、
健康に役立っていることが
わかるようになってきました。

また近年の研究で、筋肉だけでなく、
脳の神経細胞や心臓の筋肉にも、
乳酸がエネルギー源となっていることが
わかってきています。

このように、乳酸は
単なる疲労物質ではなく、
スポーツ選手などにとっては
むしろ必要な物質であるのでは
ないかと言えるのではないかと思います。

ただ、乳酸など多くの事柄に関しましては、
研究の進歩によってまだまだ
役割や作用などの変化、違いが
出てくるかと思います。

昔、常識と言われていたことが
非常識になったり、
非常識と言われていたことが
常識になったりもします。

はたまた、常識という捉え方考え方自体も
変わってくるかもしれません。

これからも皆さんにとって役立つ情報を
お届けできればなと思っております。