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【翻訳】最初にベットをする事の優位性【セオリー】GTOWブログ.59


ポーカーの数学には、まだあまり知られていない秘密がある。それは、ファーストベッターは同額のレイズするプレイヤーよりブラフの確率が高いということである。この記事では、この現象の背後にある計算を探り、これがGTO戦略にどのように関わってくるかを検証していく。

この原理を説明するために、例から始めよう。ブラインド対ブラインド、シングルレイズドポット:

ポットは6 bb
SBが3bbベット(ポット額の50%ベット)
BBは9bbにレイズ(50%サイズのレイズ)


両プレイヤーのブラフ確率を計算してみよう。この計算はα、または1-MDFとしても知られている。まだ概念の理解が出来ていない場合はこの記事を読んで欲しい。


Breakeven Bluff = Risk / (Risk + Reward)


ここで

  • リスクは純粋なブラフでリスクを負う額。または、ブラフが失敗した場合に失う金額。

  • リワードは、相手がフォールドした場合に得られる金額で、あなたがあきらめた場合と比較した場合の金額である。


SBが最初のベットで利益を得るには、3 / (3 + 6) = 33%のフォールド・エクイティが必要となる。

BBがベットをブラフレイズして利益を得るには、9 / (3 + 6 + 9) = 50%のフォールドエクイティが必要である。


両プレイヤーともポットの同じ割合を賭けている。したがって、ベットもレイズも同じポットオッズとなった。にもかかわらず、ブラフが利益を生むためには、最初のベットの方がより少ないフォールドエクイティを必要とする!逆の計算であるMDFを考えることもできる。ミニマムディフェンスフリークエンシーとは、相手がブラフで利益を得るのを防ぐために、プレイヤーがどれくらいの頻度でディフェンスしなければならないかを表したものである。レイズに直面したSBは、せいぜい自分のレンジの半分を守ればよい。最初のベットに直面したBBは、自分のレンジの3分の2を守る必要がある。

しかし、ポットオッズの条件は変わらない。どちらの場合も、どちらのプレイヤーも25%以上のポットシェアを主張できるハンドでプレイを続けるべきである。まとめると、レイズに直面した場合、同じサイズの最初のベットに直面した場合と比べて、それほど広いレンジを守る必要はなく、同時に、利益を得るために必要なエクイティは変わらない。




効果を視覚化する


以下の表は、最初のベットと比較して、レイズ時にどれだけの追加のフォールドエクイティが必要かを示している。例えば、50%のベットには33.3%のフォールドエクイティが必要である。しかし、30%のベットに対する50%のレイズは45.83%のフォールドエクイティが必要であり、結果として16%のフォールドエクイティが余ることになる!別の言い方をすれば、30%ベットに対するハーフポットレイズは、あなたのブラフがブレイクイーブンになるまでに、相手に16%多くフォールドしてもらう必要があるということである。


この効果が最も強いのはレイズサイズがミニマムの時であり、通常ブラフで最も高い値段がつく場所であることがわかる。これはしばしばブロックベット理論に関連するが、それについては後で詳しく説明する。

この効果の背景には、実はかなり直感的な理由がある。最初のポットは、ブラフやコールの動機となる賞金である。一連のレイズが起こるにつれて、最初のポットのサイズは私たちの計算の「報酬」部分に対して相対的に縮小していく。より直感的に理解するために、プリフロップで100bbの5betオールインに直面しているとしよう。最初の1.5bbの未オープンの状態のポットは、このオールインのリスクとリワードの比率にはほとんど関係ない。ここでも同じ考え方が当てはまる。一連のベットとレイズが飛び交うにつれて、ベットを促していた最初のポットはあまり意味を持たなくなる。

ブラフをすると数学的に少し有利になるからといって、すべての場面でリードベットしていいというわけではないことに注意すべきである!レンジ全体でチェックをすべき場面は沢山ある。


実践での例


先ほどの例に戻ろう。SBが3bbをオープン、BBがコール。フロップはJ♥ 6♦ 3♣. BBがハーフポットをCbet、BBがハーフポットをレイズ、SBがコール。ターンはK♠。BBは75%バレル、SBはコール。リバーはQ♣。



クラブのクイーンはSBにとって良いカードだ。弱いワンペアの多くをツーペアに変えてしまう。そのため、SBはドンク戦略を展開する。アグレッサーに対しリードベットをするのだ。


SBはフロップのレイズとターンのビッグベットをコールしたので、この時点で彼らのレンジは多くのメイドハンドとわずかなドローハンドに凝縮されている。しかし、BBは多くのブラフハンドと共にこの不運なリバーにたどり着いた。これは彼らの戦略ミスではなく、ホールデムの性質なのだ。有利なランアウトもあれば、不利なランアウトもある。
エクイティ分布を見ると、ナッツアドバンテージを持っているプレイヤーはいないが、SBはレンジにトラッシュが殆ど無いという理由でエクイティアドバンテージを持っていることがわかる。


したがって、SBはポットの35%のドンクベットでリードし、ツーペア+バリューのレンジと、マージナルなトップペアをリプリゼントする。次の図はドンクベットをするハンドの構造を示している:


このベットにはいくつかの理由がある。一つは、中程度のエクイティアドバンテージをプッシュするため。もう1つは、もしレンジチェックをしていれば、BBはより多くチェックバックして彼らをエクスプロイトすることができるからである。しかし、ゲームの数学に埋もれたもっと深い理由は、SBのリードがチェックレイズに比べてブラフするのに有利なオッズを与えることである。

このドンクベットに対して、BBは48%ポットのオールインを選択肢に持ち、約33%の確率でこれを利用する。しかし、彼らのレイズはドンクより大きいにもかかわらず、要求されるブラフの量は少ない。



まとめ


50%のレイズに対する50%のベットの数学的結果を比較すると、ポットオッズとは異なり、MDFとアルファはポット%に比例しないことがわかる。このことから、4つの重要な教訓が得られる:

  • 最初のベッターは、同じサイズのレイズよりもブラフでより良い価格を得る。

  • 同サイズの最初のベットよりも、レイズに対してディフェンスする回数を減らすべきである。

  • レイズに直面した場合、ディフェンダーは(同サイズのベットに比べて)広くディフェンスする義務がないため、若干有利になるが、コールするために必要なポットオッズは変わらない。

  • これは、特にリバーでのブロックベットの定石につながることが多い。


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