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【翻訳】MTTでリンプポットをプレーする方法:SBの戦略【MTT】GTOWブログ.66


MTTのスモールブラインドとビッグブラインドの対決は、ノーリミットプレイヤーに居心地の悪い状況を強いる。この不慣れな領域では、直感はハンドを評価したり、どのプレイヤーがなぜアクションを起こすべきかを考えたりするのに不十分な指針となる。

この記事では、リンプポットにおけるスモールブラインドのフロップ戦略、つまり、どのフロップでベットするのが最善か、どのハンドでベットするのが最善か、そして様々なスタックの深さで、どのようなベットサイズを使うべきかを探っていく。




SBはどの程度の大きさのベットを使うのか


ベットサイズの問題は最も答えやすいので、そこから始めることにする。すべてのスタックの深さにおいて、SBの均衡戦略はほとんどチェックとスモールベットのどちらかしか選ばない。このスモールベットはよりリニアなベッティング戦略を取りやすくし、両プレイヤーが広いレンジと弱いレンジを持っている場合に重要となる。SBのレンジに含まれるほぼすべてのハンドは、BBの最も弱いホールドに対するエクイティを否定しつつ、広いコーリングレンジに対するエクイティを維持することで利益を得ることができる。



SBはほとんどのフロップで控えめなエクイティとナッツの優位性を持つことで、自分のポジションの不利を補っている。リンプされたポットの両プレイヤーはプリフロップでポットを大きくすることを拒否したが、SBのリンプはBBのチェックより強いはずである。なぜなら、SBはリンプリレイズを期待して、罠として強いハンドをリンプすることがある。しかしチェックでプリフロップのアクションを終えるBBは、よほどスタックが浅い場合を除き、強いハンドをチェックするインセンティブはない。

上のグラフが示すように、SBのベット頻度はエクイティアドバンテージと相関している。BBのチェックレンジに対してSBのリンプレンジが強ければ強いほど、SBはフロップでベットする頻度が高くなる。

スタックの深さが最も浅い場合、SBのエクイティアドバンテージは、SPRが低いためにBBがほとんどの強いハンドをリンプに対してレイズをしてをディフェンスすることに起因する。このため、SBが罠としてリンプすることはより魅力的になり、BBが強いハンドをチェックする可能性は低くなり、SBは25bbや40bbの有効スタック量で享受するよりもいくらか大きなエクイティアドバンテージを得ることになる。

スタックが深い場合でさえ、SBは再び罠としてリンプするインセンティブを多く持つ。フロップ後にOOPからシングルレイズドポットをプレイするよりも、リンプリレイズをした方が彼らの強いハンドにとってより魅力的だからである。また、BBもリンプポットで高いSPRにより多くのバリューを失うリスクがあるため、最高のハンドをレイズする大きなインセンティブを持っている。 つまり、SBはスタックが深いほどリンプレンジが広くなるとはいえ、スタックが浅い時に比べてそのレンジが弱くなるわけではない。深いスタックの追加のリンプは、浅いスタックサイズでフォールドする弱いハンドだけでなく、浅いスタックサイズでレイズする強いハンドも含んでいるからだ。


どのようなフロップでSBはベットすべきか


目標は特定のサブセットのフロップの頻度を暗記することではなく、フロップのテクスチャーからベット頻度を予測する能力を磨くことだ。リンプポットにおけるSBのフロップベット頻度を促す3つの要因がある:


  1. エクイティアドバンテージの大きさ。SBはリンプポットでより強いプリフロップレンジからスタートする。フロップがBBに比べてSBをより助けるほど、SBはより頻繁にベットする。

  2. ナッツアドバンテージの大きさ。SBは大きなカードや大きなポケットペアをリンプする動機がBBがそれらをチェックする動機よりも大きい。SBは一つの大きなワンペアがうまく機能するフロップでより頻繁にベットする。

  3. ポジションのディスアドバンテージの大きさ。ポジションが悪いことは常に不利だが、ダイナミックなボードではさらに悪い。BBが強いハンドをターンで作るのが容易になるほど、SBがフロップベットで彼らのエクイティを否定するのが難しくなり、その結果、SBがベットする頻度は少なくなる。


以下は有効スタックが60bbのフロップレポートである。SBはビッグカードがフロップしたときにベットすることが多いことに注意しよう(222フロップを除く。) このようなフロップはエクイティとナッツアドバンテージを拡大する傾向があり、またトップペアを逆転する事が難しく、より静的である。SBはまた、より静的で、SBが作りやすい強いワンペアがより強固なエクイティを持つ、コネクトされていないフロップでベットすることを好む。


同じ傾向は有効スタックが25bbの時にも見られる


AJ6rは特にSBに有利なコネクトしていないハイカードボードの良い例である。60bbのスタックでは57%近いエクイティがあり、ベストハンドやグッドハンドも多い。


その結果、彼らはレンジの約77%でベットを行い、ほとんどスモールベットしか使わない。


どのようなハンドでSBはベットすべきか


ここまで大きなレンジアドバンテージがあると、ベットして間違いようがない。AJ6rのフロップでは、文字通り全てのハンドがベットの候補になるが、中には他よりもベットするのに優れたハンドがある。

SBのチェックは最悪のハンドからではなく、25~50%のエクイティを持つ控えめなハンドから行われる。このような広いレンジでは、KハイやQハイでさえ価値のないハンドではない。それどころか、特にバックドアストレートドローに加え、バックドアフラッシュドローを持っている場合、小額のフロップベットをチェックコールするのに十分な強さを持っていることがほとんどである。

このようなペアではないハンドを適切に評価することは、リンプされたブラインド対ブラインドの対決で最も難しい部分だ。多くのプレイヤーはペアがない場合にはブラフを打つかフォールドする必要があると早合点してしまうが、両プレイヤーがこれほど広いレンジでスタートすると、ペアではないハンドのランクがかなり重要になる。

より低くカードの、より密度の高いフロップでは、さらに複雑になり、SBはベッティングをより選択的に行わなければならない。以下には60bbで762ttの戦略が示されている。


このフロップでははるかに多くのハンドが25-50%のエクイティバケットに入る。それがこのフロップをよりダイナミックにする理由だ。SBには純粋にベットするハンドは無いが、頻繁にベットするハンドはすでに強い(ミドルペア以上)か、何かしらの強いハンド(フラッシュドロー、ストレートドロー、バックドアドロー)へとドローしているかのどちらかだ。A♥ 3♥ や K♣5♣ などの強いハンドは純粋なチェックで、小さなベットにもフォールドするつもりでいる。

これらのハンドの問題はエクイティが欠けていることではない。A♥ 3♥は45%近いエクイティをフロップし、BBの33%のポットベットに対して約40%のエクイティを保持する。問題はエクイティリアライゼーションである。BBは多くのランアウトでブラフやバリューベットを効果的に行うことができるため、エースハイはショーダウンに持ち込むのが難しいハンドとなる。

A♥ 3♥が改善されたとしても、改善されるのはギリギリの手であり、プレイするのはまだ難しい。オープンエンドのストレートドローが完成するカードが完成する時にサードペアをヒットさせる事は喜ぶべきことではない。エースがターンするのは良いが、3つのエースのうちの1つはボードにダイヤモンドを3つも置くことになる。バックドアでストレートができたとしても、それはボード上の4カードストレートの低いストレートになり、フラッシュを心配する必要もあるかもしれない。

これは別の一般的な誤解に触れる。多くのプレイヤーは、おそらくリードしているがフリーカードやブラフに弱いA♥ 3♥ のようなハンドでフロップをベットすべきだと信じている。実際には、『おそらくリードしていること』がベットしない理由だ。SBはもっと弱いハンドでブラフする方がよい。フォールドエクイティからより多くの利益を得るが、コールされたときに改善の可能性も大きいようなハンド達だ。A♥3♥などのハンドはフロップベットに直面したらフォールドするが、チェックすることは諦めることと同じではない。BBは均衡時に半分以上の頻度をチェックバックし、その場合これらのハンドは価値を保持する。


一般的なエクスプロイト


特定のタイプのハンドが多くの人間によってソルバーよりも頻繁にベットされることを特定したが、これらのベットが必ずしも間違いとは限らない。ブラインド対ブラインドのプレイが非常に難しいため、相手が大きなミスを犯す可能性もあり、これらのベットが利益をもたらすエクスプロイトになる可能性がある。

例えば、全てのスタックの深さで、BBの均衡戦略にはSBのリンプに対するポラライズドレイズレンジが含まれており、72oやT4oのようなハンドで非常に積極的にレイズする。しかし、多くの人間のプレイヤーはBBからよりリニアなレンジでレイズし、最悪のハンドをチェックし、「良い」ハンドだけでポットを大きくすることを好む。これにより、過度に弱いチェックレンジが生じ、リンプポットにおいてSBのエクイティアドバンテージが大きくなり、均衡に対してSBの多くのフロップベットの価値が増加する。

また、多くの人間のプレイヤーはBBでフロップベットに直面したときに自分の弱いまたはペアではないハンドを過小評価する傾向があり、それがフォールドしすぎ、レイズが不十分になる原因となる。これもまた、SBの多くのベットの価値を高め、均衡ではめったにまたは決してベットされないハンドが利益をもたらすベットに変わることになる。


レイトストリートの原則


ターンとリバーには様々なシナリオが多すぎて一般化するのは難しいが、これらのリンプポットが見た目ほど見慣れないものではないことを認識することは役に立つ。フロップ戦略の原則は、OOPからのCbetに関するものと似ており、ターンとリバーのプレイの原則も同様だ。

これらのうち特に重要な原則が2つある:

  1. フロップがチェックスルーした場合、フロップで有利なプレイヤーは通常そのアドバンテージを維持する。つまり、762ttのような不利なフロップでは、SBは利益をもたらすようなブラフは出来ない。彼らの最悪のハンドは、たとえ早いストリートでアクションがなかったとしても、ターンとリバーのブラフにはインディファレントである。逆に、AJ6rのような有利なボードでは、BBがベットしていなければ、SBは最悪のハンドでブラフをかけるべきである。つまり、フロップやターンでブラフをかけなかったトラッシュハンドは、リバーでは有益なブラフとなる。BBに"良い "ハンドをフォールドさせる必要はなく、ゴミハンドをフォールドさせるだけでよい。

  2. SBがフロップで高い頻度でベットするのであれば、ターンではベット頻度を下げ、よりポラーなレンジを持つべきである。エクイティのアドバンテージを「現金化」できるのは一度だけである。フロップのベットは多くのフォールドを貰えるだろうが、BBがコールするときはBBの方が強いレンジを持っている。ターンがその動きを変えない限り、SBはそれ以降、より選択的にならなければならない。


結論

幸いなことに、これらは相手にとっても上手くプレイするのが難しい局面となる。自分のプレイが完璧でなくても、相手のプレイを上回ることができ、実際、相手のミスが自分のミスのいくつかに利益をもたらすことさえある。

ブラインド対ブラインドの対決を乗り越えるには、ポーカー戦略の基本を理解し適用することが求められる。プレイヤー間でどのようにエクイティが分配されているか、各プレイヤーのレンジ全体でどのように分配されているか、具体的なハンドがポットを大きくすることやエクイティを否定することからどれだけ恩恵を受けるかなどを理解する必要がある。インポジションのレイザーとBBコーラーとのシングルレイズドポットから導き出されるハンドの強さやベット頻度についての直感に頼ることは、ソルバーの出力における全ての混合戦略を暗記することと同じくらい非現実的だ。


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