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【翻訳】BBからのオーバーコール【MTT】GTOWブログ.73

ポーカーにおいてオーバーコールとは、他のプレイヤーがコールした後にベットやレイズをコールすることを指す。

他のプレイヤーがコールした後、オープンレイズを広くコールすべきか、タイトにコールすべきか?
ポットオッズに関するよくある誤解の一つは、他のプレイヤーが先にコールしている場合、弱いハンドでプリフロップのレイズをコールした方が、ポットの中のチップが多いので得だというものだ。確かにコールした方がオッズが高いのは事実だが、マルチウェイポットは勝つのが難しいので、より高いオッズが必要になる。一人のプレイヤーに勝つために4:1のオッズを得ることは、3人のプレイヤーに勝つために8:1のオッズを得ることよりもずっと魅力的である。

これはBBにも言えることで、BBは多くのプレイヤーがコールするほど不釣り合いにオッズが良くなる。アンティなしのゲームでは、2bbのオープンに直面したBTNは3.5:2のオッズを即座に得ることになり、コールから利益を出すためには約36%のエクイティを実現する必要がある(背後のプレイヤーによるさらなるアクションのリスクは無視する)。コーラーがすでに一人ポットに入っている場合、5.5:2のオッズとなり、約27%のエクイティが必要となる。

同じレイズに直面したBBは3.5:1のオッズを得、22%のエクイティを実現する必要がある。コーラーが既にポットに入っている場合、5.5:1のオッズとなり、15%のエクイティが必要となる。BTNがコールするのに必要なエクイティは約25%少なく、BBは約33%少ない。これは、より多くのプレイヤーがポットに入れば入るほど、彼らがポストしたライブブラインドの価値が高まるからである。

しかし、この効果でさえ、マルチウェイポットでのコールをヘッズアップポットより良くするほど大きくはない。BBにとってオーバーコールが他のポジションのプレイヤーより少しだけ不利にならないだけである。これはスタックの深さに関わらず、またポットを争う他のプレイヤーのポジションに関わらず当てはまる。




オーバーコールの分析


次のグラフはUTGのレイズに対するBBの反応を示している。コールなし、BTNからのコールあり、BTNとSBからのコールがある場合の3パターンの比較である。どのスタック深度でも、BBは自分の前でコールするプレイヤーが増えるほどフォールドが増え、コールが減ることに注目しよう。




最初のレイズの大きさが一定でないため、スタックの大きさによる比較は正確ではない。 BBはスタックが浅いほどコールの頻度がやや高くなる。なぜなら、OOPであることの不利が少なくなるからである。しかし、スタックサイズが小さくなるにつれてBBのコール頻度が上がる主な理由は、UTGがショートスタックのときに使うレイズサイズが小さいからである。

また、他のプレイヤーがレイズをコールした場合、BBが3betやオールインをする頻度が高くなることにも注目しよう。対戦相手が増えることで、BBがすぐにポットを取る可能性は低くなるが、それでも1人の対戦相手(通常はレンジ内の強いハンドが少ないコーラー)を押し出し、ヘッズアップで競ったときに勝ちやすいポットにデッドマネーを閉じ込めることで、フォールドエクイティから利益を得ることができる。

最初のレイズがレイトポジションから行われた場合も同じパターンである: BBはコールを減らし、フォールドを増やし、目の前でコールするプレイヤーが増えるとレイズを増やす。



どの種のハンドをフォールドするのか


30bbでのUTGレイズに対するBBの反応と、UTGレイズ+BTNコールに対するBBの反応を並べて比較してみた。


BBのコールレンジから外れてフォールドが優勢になるハンドは、A8o、Q7o、や弱いKxoなどのオフスーツでコネクトしないハンドばかりである。ストレートやフラッシュを作る可能性に欠けるこれらのハンドは、マルチウェイポットでは特に不利である。Qや7をペアにさえすれば、BBがヘッズアップポットで勝つチャンスがあるのに対し、これらの控えめなペアは、マルチウェイポットで有利になる可能性は低く、有利になったとしてもショーダウンに持ち込むのは難しい。これらのハンドはマルチウェイポットではエクイティが低く、エクイティが実現しにくいので、BBは目の前のオッズが非常に良いのにもかかわらず、これらのハンドをフォールドする。

コールオッズの向上の恩恵を受けるハンドもいくつかある。74o,63o,52o,42oはすべてUTGレイザーに対するヘッズアップではフォールドするが、BTNがコールした場合はコールする。Q7oやK4oがフォールドであるのに対して74oがコールであることは、マルチウェイポットにおいて、ギリギリのハンドをコンスタントに作ることよりも、モンスターハンドを作るわずかなチャンスを持つことがいかに価値があるかを示している。

BTNに加えてSBもUTGのレイズもコールすると、これらのハンドのうち最もつながりの薄い74oや85oが再びフォールドし始めるが、最も劇的な変化はBBがフォールドするオフスートハンドの多さである。


エースのペアを作るハンドでさえ、まともなキッカーがなければ、もはや大した価値はない。A9oだけを除いて、このシナリオでBBがオーバーコールするハンドはすべて、ツーカードストレートかフラッシュを作る可能性があるものである。これらのオフスーツのハンドは、レイトポジションでアクションに対してもあまり良いパフォーマンスを示さない。COのレイズとBTNとSBのコールに直面したBBのオーバーコールレンジも、Axからのコールが多いことを除けば同様である:


BTNとSBは、COレイズするプレイヤーに対して強いAxを3ベットするインセンティブが強いので、例えばA7oでBBがドミネイトされる危険は少ない。これらのプレイヤーのレンジにはスーテッドコネクターが多く、最低のストレートを作るハンドである42o、32o、さらにはA3oやA2oさえもフォールドする。アーリーポジションのレイザーにはありえないことだが、スーテッドハンドのフォールドも少しはある。

より多くのプレイヤーがポットに入っている以上、ポットを争うにはより強いハンドが必要である。低いストレートやフラッシュでも十分な火力があるとは限らない。BBがオーバーコールをする事を決めるのは、ポットオッズというよりも、複数の相手に対してポットを争うために必要な手段を伴うハンドを持つときである。この効果はスタックが深いほど顕著である。100bbのスタックになると、BBのポジションの不利は増幅され、K9o、Q9o、Axoのような大きなオフスーツハンドと同様に、コネクトしないスーテッドハンドのパフォーマンスはより悪くなる:



どの種のハンドをレイズするのか


深いスタックのあるヘッズアップポットでは、BBは特にアーリーポジションのオープンに対して3betすることはあまりない。OOPから大きなポットを構築することは好ましくないし、AQsやAKoのような強いハンドでは、ポットオッズからしてもコールは魅力的な提案である。BBが単独でレイズしている相手に3betする場合は、ややポラーなレンジで行う、 BBが単独でレイズしている相手に3betする場合は、ややポラーなレンジで行う、そこそこ良いハンドは4ベットのリスクを冒すよりも、コールすることを好む。オールインもまた得策ではない。小さなポットに勝つにはリスクが大きすぎるからだ。

以下は50bbスタックのUTGレイズに対するBBの反応である。


BTNがコールした場合、BBの戦略はよりリニアな3betレンジに移行する。スモールのスーテッドコネクターやスーテッドエースを3betすることはなく、より一貫して最も強いハンドを3ベットする。

SBのコーラーをポットに混ぜることで、この効果はさらに顕著になる。実際、ポットにこれだけの資金があり、BTNとSBのレンジにはキャップされているため、50bbをオールインすることは現実的な選択肢となった。(以下のこのスポットは完全に収束していないことに注意)。


BBのベストハンドがオールインをするわけではない。ビッグペアやビッグスーテッドエースは小さい3betをしてより多くのアクションを誘うことを好む。むしろ、ミディアムペアやビッグオフスーテッドエースのように、フォールドエクイティを重視し、小さめのスリーベットがコールされたときにプレーする事が難しいハンドの方が多い。

ポットの中の資金が多いほど、相手は最初のレイズに誰もコールしなかった時よりも弱いハンドでコールするようになるが、BBがより広いバリューレンジを3betする主な理由はこれではない。他のプレイヤーを1人以上押し出すことによるフォールドエクイティがレイズを補うので、BBはコールされた時にそれほど多くのエクイティを必要としない。このスクイーズはBBとコールしたプレイヤーの双方にとって+EVになることが多く、そのEVは他のプレイヤーがエクイティを手放すか、ビハインドからより多くの資金を投入することで得られる。この原理はフィックスリミットのプレイヤー、特にスプリットポットゲームをプレイするプレイヤーにはお馴染みだろう。

UTGからのレイズに他の対戦相手がコールしなかった場合、BBのAQsのEVはコール時2.39bb、レイズ時2.25bbである。BTNがコールした場合、コールのEVは2.25bbに下がり、スリーベットのEVは変わらないので、BBは両方のアクションを混ぜる。BTNとSBがコールした場合、BBのコールのEVは再び下がり、2.15bbとなる。

しかし、3betのEVは3.21bbに急上昇する。このように、UTGレイザーとのヘッズアップでは魅力的でなかった3betが、他の2人のプレイヤーがコールした後は、UTGレイザーのレンジが何も変わっていないにもかかわらず、3betが最も高いEVを持つ純粋戦略になる。これは完全にBTNとSBによる補助によるものであり、彼らはAQsを圧倒するハンドを持っていることはほとんどない。


レイトポジションからのレイズに適応する


ヘッズアップポットにおけるBBのポラーな3ベット戦略は、COレイザーに対してより顕著である。


UTGのレイズの時と同様、BTNがコールすればBBの3betレンジはリニアに広がる。



BBのピュアコールより弱い "ライト "3betのハンドは、ヘッズアップポットでの戦略と比べると少ない。

UTGのレイズ、BTNコールに対する反応とは2つの大きな違いがある:

  1. バリューレンジの拡大。99やATsのような、UTGオープンにレイズするには弱すぎるハンドは、COの広いレンジに対して3betポットを争うときにより良いパフォーマンスを発揮する。

  2. オールインの増加。COとBTNがよりワイドで弱いレンジを持っているため、BBはより多くのスーテッドブロードウェイハンドで50bbのショッブを狙うことができる。これらのハンドのエクイティは堅牢であるため、ワイドレンジへのオールインは良いオプションとなる。相手が非常に強いハンドでしかコールしない場合、あなたのエクイティは低くなるが、ショーダウンなしでより多くのポットを獲得できる。相手がより広いレンジでコールしてきた場合、フォールドエクイティは低くなるが、コールされた時のエクイティは高くなる。


SBもコールすれば、この傾向は続く。さらに多くのオールインが見られるようになり、また、スクイーズするハンドの強さの閾値も低くなっている。



まとめ


マルチウェイポットは勝つのが難しい。複数の相手をフォールドさせることは難しいので、ショーダウンで勝利しなければならないことが多い。しかし、フロップを見た複数のハンドの中で最も強いハンドを相手にショーダウンに臨むのが普通であるため、ショーダウンで勝つ平均的なハンドは強くなる。

また、マルチウェイポットでは、ポジションが無い事はより重要な要素になる。一人の相手に対してアウトオブポジションになるのも悪い事だが、二人に対してアウトオブポジションになるのはもっと悪い。

これらの要素は、BBがレイズと1回以上のコーラーに相対した場合、主にオフスーツハンドのEQRの低下につながる。魅力的なポットオッズにもかかわらず、BBはポットを争うプレイヤーが多いほどフォールドすることが多い。

コンティニューする場合、コーラーはコールするよりも3betする追加のインセンティブがある。これらの3betはブラフではない。むしろ、BBの3betは主に強いハンド(「強い」というのは最初にレイズしたプレイヤーのポジションに対する相対的な意味である)であり、1人以上の相手をフォールドアウトさせ、デッドマネーをヘッズアップポットに閉じ込めることを期待している。


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