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ニュースつぶやき:「芥川賞、約5%がAIによる文章」

 芥川賞受賞作「東京都同情塔」の約5%はチャットGPTを使って生成した文章である話。

 これは受賞者の方ご本人がインタビューで語っていたことですわ。もちろん、それを隠して受賞したわけではなく、審査員の方々もそれをわかっていて推したのであろうことは申し上げるまでもないと思います。

 このお話のポイントは、本文のどこにAIの生成した文章を使ったのかが明らかにされていないことですわ。すなわち、わたくしたちがこの本を読んでいても、その文章が本人の手によるものなのか、AIが生成したものなのかがわからない──わかるとは限らないということを示しています。
 これを突き詰めてゆくと、将来的に文芸は人工知能が担うことになるのでしょうか。あまたの文豪の作風を学習したAIは、オリジナルに匹敵する名著を量産することができるのでしょうか。

 現段階では、わたくしは「わからない」と思います。

 もし仮に、わたくしの文体を大量に読み込ませ、わたくしの好みや傾向を学習させたAIにnoteの投稿を任せたら、どうなるでしょう。ニュースつぶやきくらいなら、それっぽくできるかもしれません。しかし、各種レビューや、お花を観ながら感想や雑談を述べるシリーズはどうでしょうか。
 これらを再現するには、単に文体だけでなく、感性や気分の動き、揺らぎといったものをもトレースしなければならないでしょう。そしてそれらを決定するものは、人間としての生活、生態そのもの。人間はささいなことで気分を変化させ、それは言語という、意思の伝達手段に如実に現れます。昨夜食べためざしの小骨がのどにひっかかっていたり、月のものの周期によってそこはかとなくイライラしていたり、宝くじが高額当選してそわそわしていたりなど、感情の動きの原因とまでは言えないけれど確実に裏にあるもの──言わば心の下絵となるものまでをも再現できなければ、完全にその人そのものの文体にはなりえないのでは、と思いますの。
 しかし、完全にできないか……というと、完全に近いものは将来的にできるのでは、と考えてもいます。ではそうなったときに、人間と人工知能を隔てるものは何なのか。亡くなったペットの行動パターンを99.9%再現できる精巧なペットロボットが誕生したら。思考パターンを99.9%再現できるリアルな立体映像投影装置で、亡くなった肉親の声や考えが聞けるとしたら。彼我を隔てるものとは。

 まるっきりSFの世界だと思っていたものが、わたくしたちの想像を超える速さで近づいてきております。
「それ」に直面したときに反射的に取る行動は、受容か、反発か。とまどいか、喜びか。

 ふだん受賞作品は手に取らないわたくしですけども、AIがどこを担当しているのか、チャレンジ的に読んでみましょうか。




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