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緊迫感あるサスペンス、一気読み必至【香港警察東京分室】

タイトルを見ただけで、「一悶着ありそう」と
想像してしまいました。

国が違うなら言うまでもないですが、
同じ国の警察官の間でも、
生きてきた人生が全く違います。

香港については、金融のイメージが強いです。
民主化デモ以降は変わりましたが。

昔はイギリス領だったのを聞いたことがあります。
中学生の時に見ていた「あいのり」という番組で、
香港出身の女性が、旅先の国に入国できなかったという出来事がありました。

日本のパスポートならスムーズに入国できたようです。
それもあって複雑な歴史をイメージしてしまいます。


・香港事情を垣間見る

香港から派遣された5人の警察官。
役職は日本と香港。それぞれ同等の人を揃えていました。
日本と呼び名は違うものの、相当する役職があるものかと驚きました。

香港警察側の登場人物は、漢字表記がされていましたが、作中ではほとんど英語名で出てきてました。
2種類名前を持っているということでいいんでしょうか。

・バックグラウンドの異なる人たち

同じ国の警察内ですら、一枚岩になっていませんでした。
日本側のメンバーでも、公安出身の人、暴力団と福岡県警どちらに就職するか迷った人、キャリア採用された人など様々です。

香港側も同じです。
テロ対策のプロ、組織犯罪捜査のプロもいれば、
要人警護担当の人もいました。

彼らやるべきことは「元大学教授の女性の身柄を確保すること」でした。
その女性は民主化運動の中心的な存在で、
殺人の疑いをかけられています。

立場によって心情が全く違います。
この女性に対して、裏切り者扱いする人もいれば、
尊敬の念から葛藤する人もいました。

これだけ生い立ちも考えも違う人の集まりで、
どうやって組織をまとめるのか、
リーダーは大変そうと思いました。

・水越管理官の手腕

日本と香港警察のメンバーを団結させたのは、日本側のリーダーである水越管理官です。

役職は警視で、150cmくらいの小柄な女性。
彼女の描写を見て、「一般的な管理職のイメージとは程遠い」と感じました。
口調から天然ボケな印象を持ちました。

しかし、この発言には驚きました。

これがゲームなら魔法の名前は『思考停止』とか『責任放棄』とか『集団自決』といったネーミングになるでしょうね。

香港警察東京分室 p262

さらっと上層部に対する皮肉を言いました。

トボケているようで、鋭いことを言う印象です。
他のメンバーが「それ言っちゃう?」とドキッとしています。

彼女の強みは「力を力で返さない」です。
柳のようにふわっとよけているように見えました。

ただし、警視にまで出世するだけあって、頭は切れます。
『鬼滅の刃』に出てくる胡蝶しのぶを思い浮かべました。

・感想

水越管理官が、探している女性について、
「ずれ」があると表現していました。

まず、女性の世間の評価と、殺人の疑いがかけられている現状に「ずれ」感じました。
捜査の過程で、殺人だけでなく、密輸の疑いも出てきます。

元々恩恵派で、暴力的な手段に否定的だったのに、
民衆を煽ってデモを起こしたことにも触れました。

実際のところはわかりませんが、口実を作るためにデモを起こさせたという話に戦慄を感じました。

対立してる人たちの勢力を削ぐために、
スパイを送って、分断させる手段を思い出しました。

実際に、この女性の生き別れの息子に頼み込まれたのがきっかけで、デモを煽りました。
彼女についていけない人たちは離れていき、
妄信的な人たちは犯罪に加担しました。

「協力したい」という善意から、犯罪に手を染める人たちを見て、恐怖を感じました。

何となくですが、続編がありそうな終わり方でした。
この組織も今後も続くし、最後にある捜査員が昔からの知り合いから情報を伝えられました。

続編、気になる…。

以上、ちえでした。
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