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長期連休は憎い

ゴールデンウィークや、お盆、お正月はずっと嫌いだった。

単なる、妬み、嫉み、かもしれない。

世間が旅行だ。行楽だ。と騒いでいるニュースを見ると、心がすさんだ。

自分には関係のない出来事だからだ。
誕生日も、クリスマスもない家庭だったし、
お正月は、長距離運転手だった父が家に長くいて、酒乱で母に絡んだり、私にもとぱっちりがくる息の詰まる連休だった。
父がいないのは、パチンコに行っている間で、帰ってくればまた、母とお金のことで揉める。

大人になっても、就職先は医療関係でシフト制だった。
その仕事も一年ほどで辞めた。
すぐに妊娠、出産、子育て。ワンオペも365日24時間休みはない。
お金もないから、連休に混んでいる行楽地に遠出してガソリンや外食費を使い、疲れに行くのも嫌悪だった。
夫は浪費家で、家族より友達を優先するタイプだったので、連休はよく1人で夜遊びに出ていった。

長期休暇を満喫したことなど、
今までの人生を振り返っても経験がない。

今、生活環境は大きく変化しているが、
孤独が加わった。

だからなおさら憎いのかもしれない。
出かける予定もないし、家族はそれぞれだし、誰かが来るでもないし、友人も少ないし、人混みはめまいするし。

「連休なんてはやく終わってしまえ」
と感じていた矢先、

ボランティアで支援担当している方が熱を出し、外出できないと連絡が入った。うちにあった薬を急遽届けて様子を見に行った。

別の女性からは、
消耗品がなくなりそうなのですぐ買って来てほしい、とLINEがくる。
急いで向かう。

さらに高齢男性からは、
医者も役所も休みすぎ、物も高い、
と私に苦情が来た。

連休を憎んでいたらバチが当たったのか、
いつもの何気ない平日より、
このゴールデンウィークの方が、
彼らに振り回されて頼りにされている。
笑えてきた。
ありがとうゴールデンウィーク。
長期休暇もなにも関係ない人たちと関わらせてもらい、
孤独と憎しみに潰れることなく
連休を締めくくることができそうだ。

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