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予想外に私もY'sに辿り着いてしまった話

Y'sの服に思っていたこと


Y'sの服は私の中では芸能人やクリエーターさん、ファッション命の高感度な方が着るものというイメージがあった。値段も高いし、私には一生縁がない服というか、全く眼中にない服だった。

初めて意識したのはあきやさんの1作目のご著書『一年3セットの服で生きる 「制服化」という最高の方法』を読み、どんなワンピースを100日着ていらしたのか調べた時。あきやさんがY'sのワンピースを制服としてガンガン洗いつつ着ていらっしゃることを知り、え、洗えるの?日常生活に落とし込んで着られる服なの?とびっくりした。

読了から1年半後、そのワンピースを既に600回以上着ていらっしゃるエピソードを知り、単純計算で1回あたり150円のコストになることに驚いた。そして、私も他の服の購入を抑えれば、制服として買える値段だと思えた。

そこからY'sの公式サイトを見始めたが、どうもピンと来ない。まず、黒い服が多いのでサイトの写真でディテイルが見えにくい。次に、モデルの身長が170cm以上ありそうでサイズ・丈感が全くわからない。更に着画がない服も多い。そして最後にカッコいい服ばかりなのが気になった。

私は元々カッコいい系の服が得意だが、最近そのイメージから少し離れたかった。子供が巣立ち、仕事も減らして生活が変わり、自分時間を楽しむために、甘さを取り入れたい気分。Y'sを着てカッコいいに全振りしたら、着ていて気持ちが疲れてしまうのではないかという懸念があった。

自問自答ファッション教室に参加

2024年4月初めにJJF教室を受講できた。参加者3人ともモード系だがそれぞれにこだわりと個性があり、一言で「モード」にくくれない違いが印象的だった。

あきやさんに質問したところ、私は「フェミニンモード」。参加時点で自分にあったこだわりは「アクセサリーとバッグを映えさせてくれる服」だった。例えて言うなら、ジュエリー店で使われている黒のジュエリートレイのような服。かといって喪服のような服ではなく、どこかにデザイン性があって女性らしい服が着たかった。

同席者の方がY'sを着ていらっしゃった。日常でY'sを着ている方を生で見るのは初めてで、「実際に着るとこんな感じなんだ」と身近なものに感じられた。服が前面に出て独り歩きしてしまうことはなく、その方に調和していた。私が受けた印象は「生きること、生活していくことを支える力強い服」(ご自身が思っていることと違っていたらごめんなさい)。カッコよかった。

あきやさんが私にお勧めしてくださったブランドリストの中に「ヨウジヤマモト」も入っていて、ここでまたY'sが気になる存在に。しかし、欲しいのはカッコいい系ではないと逡巡していた。教室で決まった私のコンセプトは「上品で自由でデザイン力があって天才的な 愛をつなげる公爵夫人」だったからだ。

断服と妄想クローゼットで見えてきたこと


既に自己評価靴と自己紹介バッグは持っているので、JJF教室ではあきやさんから制服完成まであと少しの評価をいただけた。完成にはPDCAのAが足りていないこと、すなわち多すぎる服を断服することが必要だと分かった。古い服が捨てられないのと、人目が気になり毎日違うコーデを着るために安い服を何着も買った結果だ。

ゴールデンウィークまでの断服を誓ったので春夏ものを中心にやり遂げた。服、アクセサリー、バッグ、靴を合わせて71点断服。自分でも呆れるほど持っていた。まだまだ多いが春夏物で着ていないものはなくなり、持っている服は全て把握できた。

その中でコーデを考え、カプセルワードローブを作るために脱いだり着たりを繰り返す。JJF教室で全身鏡を買うことが課題の1つだったので購入。今までも幅25cmくらいの全身鏡は持っていたが、あきやさんのアドバイスもあり幅55cmで可動式のものを買ったら、格段にコーデを検討しやすくなった。トップスをインにするかアウトにするか、前だけインか。そんなバランスまで見やすい。

ちなみに私は割れるのが怖いのと重いと移動させにくことから、スタンド付きフィルムミラー(Brisafeという鏡)を楽天で買った(購入前にアマゾンの口コミを読み込んだ)。細かい性格ではないのもあり、鏡と遜色ないと感じている。とにかく軽いので移動が楽。

今年は服を買わずに眺めて検討する期間にするつもりだったが、コーデを検討するうち、30度超えの真夏日に着られるのがハレの日1コーデ、ケの日1コーデしかないことに気付いた。1コーデずつでも大丈夫かもしれないが、忙しくて洗濯できない日があるし、自分自身がまだ人目が気になり1コーデだけにする勇気がない。どちらにも着ていける服があと1コーデ欲しい。

作った妄想クローゼットの写真を見た。
・モード系
・ワンピースかセットアップ
・黒かカーキかアイボリー
・布たっぷりのロング丈
・ランタンスリーブ、ドレープ、ギャザー、フレアなどのデザイン性
・ジュエリーが映えそうな服
JJF教室受講前とほぼ同じ。

何点か試着に行ったところ、どれも無難に似合っていた。「似合う」「好き」。TPOにも合っているし、今までの私なら購入していたと思う。しかしJJG(自問自答ガールズ)には「なりたい」も重要事項。自分の中で「公爵夫人」と納得できる服ってなんだろう。

期待をせずにY'sへ


前述の通り、サイトを見ても実際に着ている方にお会いしてもY'sを着たいという気持ちは全くなかった。しかし、あきやさんのお勧めブランドに入っているし「びっくり試着」として見てみようかな、くらいの気持ちだった。案の定、初回はさーっと見て試着もせず終わってしまった。でも、他の服を試着した後で感度が上がっている今なら何かがわかるかもしれないと思い、久しぶりに再訪することを決めた。JJGのどなたかが、ハンガーにかかったままと着た時の差を挙げて「Y'sは着てみないとわからない」と記されていたのも試着を後押ししてくれた。

そうと決めたら、びびりな私はY'sへ入店しても違和感が無く、かつ、店員さんに自分の目指す方向性を知ってもらえるようコンセプトに沿ったコーデを手持ちから選んだ。

そして入店。声をかけてくださった店員さんに「Y'sは初めてなんです」と自己申告。「本当ですか?」の店員さんの返答に、自分の着てきたコーデが間違っていなかったことに自信を持つとともに、『Y'sを着てもいいですよ』のお墨付きをいただいたような気がした。あきやさんも同期の方もおっしゃっていた通り、Y'sの店員さんは怖くなくて優しい。

まずはサイトで一番コンセプトに近そうだったラッフルパンツを手に取った。真夏に着たいので洗える素材。同素材で合わせられるトップスがないか聞いたが、あいにく在庫なし。店員さんが私に似合いそうなものとしてレーヨンジャージーのトップスを選んでくださった。

画像はY's公式から(以下同じ)
丈が短く見えるがそれなりに長い

うーん、トップスが公爵夫人から遠いしアクセも映えないと試着前から悩む。その時、ラッフルパンツの少し先の黒いワンピースに目が吸い寄せられた。私は『これだ』と思うものに目が吸い寄せられるタイプ。あきやさんのように音楽が響き渡ったり、他の方のように電撃が走ったりもしない。静かな気付き。サイトで見たときは「なんだろね、これは」と気にも留めなかったワンピース。それが売り場で静かに私にアピールしてきた。

平均身長の私で最長部分が踵に届く。今も画像を見ると「なんだろね、これは」と感じる。サイトにはモデル着画がないし、スタッフさんのコーデ写真と私が着た印象は全く違う。

以上の2パターンを試着した。
柄トップスとパンツはカッコよくて「よく似合う」。私が想像していた通りのY'sだ。店員さんの見立ては正しかった。2年前の私なら迷わず買っていただろう。しかし、今の私の「なりたい」が欠けている。

ワンピースを着たところ、驚くようなことは無いものの、すごく自然だった。自分の黒のフリンジブルゾン、白バッグ、厚底グルカサンダルと一体化していた。

「今日、着てきたみたい」


話は少し逸れるが、この冬から春にかけてよく着ていたのがELENDEEKのワンピースだった。これも目が吸い寄せられた服。試着した際に店員さんから「今日、着てきたみたいですね」と言われた。なんて印象的な言葉だろう。「今日のコーデには微妙だけど、家にある◯◯と合わせたら似合うかも」ではなく、その日のありのままの自分と靴、バッグ、アクセに似合う服。

この「今日、着てきたみたい」がY'sのワンピースに対して自分が思ったことだった。衝撃はない。でも、長く付き合っていけそうな予感があった。

あきやさんが「靴、バッグ、アクセを揃えてから服を買いに行きましょう」というのもこれが理由なのだろう。

クローゼットの把握が再び役立つ


1年中着られる素材とは聞いたが半袖だ。同じブランドで揃えるほうが統一感が出るので、合わせられそうなカーディガンを一応お勧めいただいた。

フード付きのニットカーディガン

これがまた写真では全く伝わらないが、着てみるとドレープ感があって美しい。惚れ惚れしたが、粗い目のニットなので引っ掛けてしまう懸念があること、公爵夫人にフードは必要ないことから制服には向かないと判断した。

ここで自分のワードローブを思い出す。Y'sのワンピースに今日着てきた黒のフリンジブルゾンは似合っている。もう少し寒くなったら中にユニクロ+Jの黒シルクタートルカットソーを着れば良い。グレージュのライダースジャケットも似合うと思うし、黒のロングウールコートも着られる。厚底レースアップシューズも黒のショートブーツもOKだ。黒のチェーンバッグも合わせられる。

カチカチカチッと全てのパズルのピースがはまっていき、最後の空白にこのワンピースがはまった気がした。大丈夫だ。このワンピースを1年中活用している自分が見える。

購入前の自問自答


JJGであれば本来ならここで検討期間に入り、2度3度と試着に来るべきだろう。しかし、今週は24SSが10%offという吸引力と、この後しばらく来店できない事情とで、しばらく考えた。

本当にコンセプトに合っているか?

シャーリングで生まれるドレープとロング丈が優雅。1年中着られる。洗える。シワになりにくい。アクセが映える。

アクセをしなければケの日も違和感がない。ベルトでブラウジングすれば丈を短くできる。

女性らしさがありつつ、私が得意なカッコよさが共存している。「似合う」を活かせるのだからカッコよさを無理に全て捨てる必要はない。

本音を言うと、大好きで大好きで絶対欲しいという気持ちではない。それでOKなのか考えたが、私が愛していて優先度が高いのはジュエリー。ジュエリーを映えさせてくれて、私の体型も美しく見せてくれる服。自分の心の中の公爵夫人にふさわしい服。今の靴、バッグ、アクセサリーに自然に馴染む服。欲しかった「ジュエリートレイ」の役割にぴったりだ。


ただ単にショッピング欲ではないか?


身近にショッピング中毒の人がいるので、その怖さはきちんと分かっているつもり。買いたい気持ちを満たすためだけなら敢えて私がY'sを選ぶ必要はない。

「ブランド服を着ている人」という承認欲求ではないか?


ブランド名でこの服を買うわけではない。同じものが他のブランドでもっと安かったら私はそちらを買う。そして私がこのワンピースを着ても99%の人がY'sだと気づかない。

衝動買い、 ホット-コールド エンパシー ギャップになっていないか?


人は興奮している時は、冷めた時の気持ちを予想するのが難しいという感情ギャップ。いろいろなことに当てはまるが、衝動買いもこれに当たる。「すごく素敵!ずっとこれ大好きで使う!」と一目惚れしてその場で興奮してしまい、飽きた時の自分が想像できずに買ってしまう状態を指す。恋は盲目と同じ。

そもそも今回の私は至って冷静で、興奮していない。コーデパターンも検討済みで、静かに一緒に過ごしていける服だと感じている。

そして私もY'sに辿り着いた


検討の末、ワンピースを購入した。大きな興奮はないが「間違いない、これは私のジュエリートレイだ」という確信がある。売り場で思いついたコーデを一通り家の全身鏡の前で着てみた。想像したとおりだった。

Y'sは深い。甘い方向へ向かった自分が購入するとは思わなかった。正直なところ、このワンピース単体では自分の「なりたい」は成立しない。ここに靴、バッグ、アクセが加わって初めて「私」になる。

JJF教室であきやさんが「洗練かカオスか」の質問を投げかけた時、自分では「洗練」を目指していると思っていたが、Y'sを公爵夫人の解釈で着る私は間違いなく「カオス」だ。

まだこの服1着だけで365日過ごす気持ちはない。ELENDEEKのワンピースとも、それ以前に大好きだったUNITED TOKYOともまだ一緒に過ごしたいからだ。でも、制服化の方法は分かってきた。あきやさんのお勧め通りに2年を服のサイクルと考えれば、2年後には今より服が少なくできると思う。もう微妙な服は買わない。そして着なくなった服を残さない。私らしくあるために「好き」「似合う」「なりたい」を大切にしたい。


今後の課題

あきやさんお勧めの山本耀司さんの本を読み、このワンピースへの愛を深める。


結論

靴・バッグ・アクセが決まり、断服を行い、試着の繰り返しで感度が上がったことで、目的に沿った夏の制服を買えた。

購入してまだ2日だが、アクセサリーのセット・バッグ・靴を変えたり、サングラスをかけたりすることで、異なった雰囲気を演出できるこの服にじわじわと感動を覚えている。

ミッションコンプリート。

#自問自答ガールズ #自問自答ファッション

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