ゴールデンウイークに思う事【妻と交わした約束】
★家族と離れたあの日
ゴールデンウイークになると、家を離れた8年前のあの日の記憶、4月末の出来事が想起されます。
私は家を出た後、母が住んでいた部屋、今はそこに一人で居る訳ですが、背中にリュックを背負い、手にはボストンバッグ1つでやって来たのでした。
だから、余り楽しい思い出では無いのですが、この行動を起こしていなければ、今の私には成れていない事実から、必要不可欠なプロセスであった事を示唆しています。
だから現在の私にとっては、厳しくも懐かしい、大切な機会だっったのでしょう。
★忘れていた記憶
この時期に結婚記念日を迎える事は、もちろん家を出る前にも分かっていました。
しかし母の住む部屋に着いてから、不意に思い出したのは、結婚してすぐの頃、妻と交わした約束。
この年の記念日は23回目でしたが、私は20年以上前の約束をこの時まで、思い出す事は無く過ごして来たのでした。
そんな酷い夫だから、そういう状況に追い込まれた訳ですが、改めたいとの思いを契機として妻の言葉が甦ったのでした。
★気付けぬ奇跡
5月に行われた結婚式では、妻のリクエストで彼女の好きな花を、勤め先に近い馴染みの花屋に頼みました。
その花は当時も今も入手が難しく、その際も確約出来ないと言われていました。
きっと妻の祈りが通じたのでしょう、結婚式当日は願い通りの形が実現します。
しかし、そんな小さな奇跡さえも、妻と離れて暮らすまで、頭の片隅に埋もれたままでした。
★自分勝手な振る舞い
「結婚記念日には毎年、スズランの花を贈ってね」、これが妻からおねだりされたオファー。
安請け合いした私は、1年目の記念日の際に約束をすっかり忘れ、寝室用におしゃれなランプシェードを用意しました。
「約束を覚えてないの?」と訴える妻を見て、私も微かな記憶を手繰り寄せ何とか思い出しましたが、謝りはしませんでした。
傲慢だった私は、「文句の前に一言お礼だろう」と、腹を立てていたからでした。
★15年振りの訪問
8年前の5月、私は結婚式の際に頼んだ花屋を訪れると、まだお店は営業を続けられていました。
ご主人は妻の事をよく覚えていて、私の願いを叶える為に動いてくれたのです。
しかし当時と同じく、買い付けが出来るか難しいと言われたので、その理由を尋ねました。
結婚式の際にも説明された筈でしたが、忘れている私に対して再び、優しく教えてくれました。
★入手困難な理由
スズランはとても弱い花だそうで、日持ちがしない上に、値段が安いのが難点との事。
それはこの時期、第2日曜日に母の日が控えていて、花屋は高値のカーネーションを大量に扱うので、安くて弱いスズランは流通し辛いのだそうです。
更に今もそうですが、家に近付く事を禁じられている私は、家に届ける訳に行かず、記念日当日に配達を頼もうとすると引き受けてくれる店が少ない。
それでもこの時の私は、妻と同様に祈りを捧げた事が奏功し、再び起きた奇跡のお陰で、妻が願うその深さを知るのでした。
★花言葉に込められた願い
こうしてスズランの花を捜索するゴールデンウイークを毎年迎えるのですが、奇跡は最初の2年だけでした。
私はその中で、妻は何故スズランを贈って欲しいと頼んだのかと、初めて想像してみたのです。
花言葉を調べると、『幸せの再来・純粋』等が有り、新婚時代の妻が望んだ夢に、私はやっと触れるのでした。
一緒に住んでいた頃に気付けないのは情けない限りですが、離れて暮らしたからこそ手に入れた真実に感謝したいと、今年も過ごしたゴールデンウイーク。
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