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波、というものがある。

 誰の人生にも波があって奈落に落ちるようなこともあれば、人生の頂点にいる、と感じるようなときもある。 奈落に落ちた時は将来が見えず、どうしようもなく落ち込む。      体調を崩して2回ほど休職したことがあるが、今までの努力がすべて泡になったような気がして、部屋の天井を絶望的な気持ちでただ眺めていた。しかし振り返ってみると、あの病気があったから今の自分がある、と思えるようになる。それまでの自分と180度違った自分に生まれ変わったような気がする。それまでの自分の至らなさを自覚し、今、立っている場所こそが相応しいと思えた時、病気は人生にとって必要な過程だったと知る。
 二度ほど奈落に落ちてみると、あの経験を経ていない自分、というものが想像できない。 そして人生は波のようなものだ、と感じるのだ。 サーフィンに例えるなら、どの瞬間も精一杯、五感をフル活用して波に乗る。 奈落に落ちようが、上昇に転じようが、その瞬間、瞬間を微分のように割ってみるとやることは同じなのだ。 ただ、精一杯、「今、ここ」にダイブし、波に乗るだけ 。

 しかし、最近、部下に教えられたことがある。それは上昇する波に乗るかどうか、はその人次第、ということ。
 A君は昇進試験の狭き門を誰よりも早く通過した。彼を見て思ったのだ。 誰のそばにも、波は存在している ということを。同じように昇進試験を受けようとしていたものは 4人。みんなスタートラインは同じ条件である。
 横目で見ていると、3つのタイプが存在していることがわかった。 ①波に乗る気かそもそもない ②波に乗りたいがその存在に気づいていない ③波が来ていることに気付き、必死で乗ろうとする者
 全員に対しては同じように手を差し伸べた。様々なチャンスも与えた。彼自身の運も左右する。いろいろな条件が重なって 3つのバタンに分かれていくのだ。
 そしてA君だけが、波の存在に気付き、波に乗ろうと必死でダイブしたのである。

 誰の前にも波は等しくやってきている。 そもそも波に乗る気があるのか、波に気づけるのか、波に気づいたら必死でダイブするのか・・・・ そこで、人生は大きく別れていくらしい。

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