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【音楽】グッド・バイ・マイ・ラブ/アン・ルイス

【音楽】グッド・バイ・マイ・ラブ/アン・ルイス

(1050文字)
アン・ルイスといえば、ボクらの世代だと、好き嫌いに関わらず「六本木心中」のヒットをよく覚えているはず。
ボクは当時から好きでも嫌いでもなかったけど、まだアイドルとして売り出されていた頃の「グッド・バイ・マイ・ラブ」という曲だけはいまだに好きだ。

発売は1974年だから、ボクは当時4歳。
もちろんリアルタイムで聴いていた訳でもなく、何で知ったかも覚えていない。
だけど何故か、この

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【詩】 あたらしい夜

【詩】 あたらしい夜

言葉に囲まれて生きている。
どこを切り取っても言葉が在る。
言葉はいつも、誰かに何かを伝えようとする。
できるだけいい言葉がよくて、焦りながら探している、ずっと。
本を読んでも写真を眺めても、音楽を聴いても自然を感じても、ありふれた言葉しか出せない。
捻り出すようにしてやっと書けている。

ときどき、宇宙の底に立っている気分になる。
人気のない路上で、ぜんぜん特別じゃない夜空を、ただ見上げていると

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怖がるために怯えるために
生まれてきたわけじゃないと
伝える為に
ここで
何千年もあなたを待っていました

掌編小説 | 銀ノ月 |#君に届かない

掌編小説 | 銀ノ月 |#君に届かない

 せっかくの月夜にあなたは来てしまった。女はそう思った。

 ひとり静かに湯に浸かり、ガラス窓越しに月を見ていた。それはそれは怪しい月だ。銀色の月。
 そこに男の気配がある。女に近づいている。
 バスルームのドアを開け、男が顔をのぞかせた。ついで男はゆっくりと歩き始める。すると女は僅かに落ち着きをなくした。しかし、実際はそれを少しも感じさせることなく、歩み寄る男を不敵な笑みで迎えたのだ。

「今夜

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クズは払込用紙をコンビニに持っていくことすらできない

クズは払込用紙をコンビニに持っていくことすらできない

 クズ。それはしばしば倫理観の欠けた人間に向けて投げかけられる罵倒である。かくいう私も「クズだね」と罵ったこともある。もちろん、どんな時でも私は「クズ」を言う側であり、言われる側ではないことは言を俟たない。
 そう思っていたのだが、つい最近全然クズらしいことをしていないのにもかかわらず、友人に「クズが」と言われた。
 まだ、(納得はしないけれど)クズは許せる。しかし、「が」は本気でそう思っていそう

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エッセイ| 下書きというよりは隠してる。

エッセイ| 下書きというよりは隠してる。

 隠している記事がある。

 私は基本的に下書きはいつもゼロ。その都度書く。もちろん、続きものの小説を区切って出す時にはためておくけれど、それ以外はいつもその時の想いが新鮮なうちに、と思っている。
 逆に、日記などはある程度時間が経過して鮮度が落ちたと自分で判断したものは下書きに戻す。

 そんなことを繰り返している私のnoteで、初期の頃に投稿して、すぐに引っ込めた記事がある。新鮮なうちに下書き

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タイトルがつけられない

閉店1時間前に現れた親子。
小柄な母と大きな息子。
なぜそんなに?と思うほど、みょうにへりくだった口調の母親が気になった。
『あのぉぉぉ、すみません、こちら何時までですかぁ?』
閉店時間を告げると、
『あぁぁぁ、よかったぁ、まだ1時間ありますね〜、ありがとうございます、ありがとうございますぅ』
『まだ時間あるって!間に合ったね!よかったね〜!』息子に言った。

まじまじと親子を見る。

20歳前後

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すっかり忘れてしまっていた、水と油だった母と私、とお雛様。

すっかり忘れてしまっていた、水と油だった母と私、とお雛様。

昨日みなさんが、
記事や、記事の内容に関係なくても
見出し画などを「お雛様」にしていて
突然思い出したんです。

わたしが幼い頃、
実家には7段のものすごく豪華な雛人形があった

ことではなく、

わたし、すごくちっちゃなお雛様持ってる!

ということを。

その昔、もともとうまくいかない
関係だった母と決定的な仲違いをし縁を切り、
当時わたしは離婚した直後でしたが、
実家を出ました。

その後1

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全部だきしめて

全部だきしめて

忘れもしない、あれは僕が高2の二学期のまさに10月のある日のことだった。

当時、重度の対人恐怖症で、「ああ…」か「あわわ…」しか言えなかった僕をいつものように数人の同級生がからかっていたときに、そのうちのひとりから、

「なんでおまえみたいなグズが生きてるの?おまえなんか死んでしまえばいいのに」

と言われたのは。

彼らからはこれまでにもずいぶんと色々なひどいことを言われてきたはずなのに、この

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議論で愛💝を語るな!

議論で愛💝を語るな!

 この度、「議論で愛を語るな!」(わたしの現代新書)という本を上梓した。

 課題が山積する現代ほど、多様な議論が必要とされる時代はない。
 しかしながら、「人に優しい」「癒される」「共感できる!」ことばかり追求して、物事の本質に迫る徹底的な議論というものが欠如している。
 
 議論は喧嘩ではない。殴り合いでもない。人を論破して打ちのめすためにあるのでもない。
 議論とは、絶対的な真理に近づいて行

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偶然同じ電車に乗り合わせた人たち

偶然同じ電車に乗り合わせた人たち

アカウント削除しちゃおうかなぁ
なんかもういいや。

あと1ヶ月ちょっとで毎日更新一年達成になるのにそんなふうに思ったのは初めてだ。

書くことがすこし怖くなっていた。

ここは私の庭なので
とことん自由に書いているが

好き勝手自由気ままに書いた文章やつぶやきが
誰かの思いとリンクして
共感という形でその人の心に花を咲かせることもあれば、その逆だってある。

嬉しいことも嫌なことも
その時の思い

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鍵を外したマガジンについて。

鍵を外したマガジンについて。

今朝は寒くて風がとても強くて、
家の周りの大きな木たちが
絵本に出てくる森の中の木の怪物たちみたいに
ざあざあと枝や葉を揺らし大きく蠢いて、
まるでひとつの大きな生き物のようだった。

わたしは普段携帯のアプリから
noteを見たり記事を書いたりします。

登録した時、鍵付きの
「あとから読み返したい記事」という
マガジンが元々存在していて、
特に気にせず時々そこに記事を追加し
使用していたのだけ

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【3行日記240507】雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。

【3行日記240507】雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。

わたしは傘が嫌いだ。小雨程度で傘を差すことは
ほとんどないくらい。特に深い意味はないけれど、
少し雨に濡れながら歩くのはなぜだか好き。

それでは今日はこの辺で。

最後まで読んでくださってありがとう。

また気が向いたら、来てくださいね。

【エッセィ】蛙鳴雀躁 No.24

【エッセィ】蛙鳴雀躁 No.24

「コーベ・イン・ブルー」のハーフの女性、エミコはモデルがあります。
 容姿にかぎったてのことですので、お間違えのないようにお願いいたします。
 彼女のことは、「1995.1.17」のときのクォーターの美少女でも容姿を真似て描きました。
 ほとんど友達のいなかった私にとって、彼女は忘れようとしても忘れがたい少女でした。

 中学校の入学式の日、雨が降りました。
 団塊世代の私たちは、ひとクラス50人

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