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田舎のみんな兄妹感

ラジオのテーマには「将来暮らすなら、都会がいい?田舎がいい?」というアンケートを募集する回がたまにあります。

この質問はそれぞれの生い立ちや人生観によって異なり、正解もなければ争う案件でもありませんよね。

もともと田舎育ちの私は程よく田舎で暮らしたい派です。この程よくが厄介で、緑もありつつ家庭菜園などもできて、交通の便がよく大きな病院があり娯楽施設もある田舎。的な?

そこでリクエストして採用されたのがこの曲です。

◆「Take Me Home, Country Roads 」John Denver


さて、幼馴染と集まると田舎エピソードには事欠かないのですが、よく話のネタに上がるのが「田舎のみんな兄妹感」です。

私が育った田舎のコミュニティは濃厚で、特に親世代は、ご近所付き合い、親戚付き合い、更には子供の同級生のお母さん付き合いは濃いものでした。

そんな田舎のコミュニティあるあるで、今でも幼馴染と盛り上がるのが、親世代はいつまで経っても子供達は子供達のままなのよね、地域で子育てをしているという「みんな兄妹感」という感覚が抜けないのよね、という話題です。

ほとんどの学年が一クラスしかなく、幼少期から中学まで同じメンバーで育ちました。そんな環境であったとしても、やはりお年頃になれば男女のすったもんだはあるわけなんです。でも、親たちはそんなことは考えにも及ばず、すったもんだがあろうがなかろうが、「みんな兄妹」という感覚なのでした。

友達の中には告白の電話をかけてきた男友達とお母さんが話し込んで、お母さんに何もかもバレてしまった、なんてこともあったり。ラブレターをお母さんに手渡しした、なんて赤面エピソードもあったり。

田舎ならではなのか、私たちの地域ならではなのか、そんなエピソードは日常茶飯事でした。

中でも今では笑い話となっているのが、高校3年生の夏のことです。

受験を控えた私と幼馴染の友人は、志望校のある都会の塾の夏期講習を一週間受ける計画を立てていました。

宿泊先などどうしよう?と親と相談していると、母と友人のお母さんが勝手に、その友人のお兄さんのマンションに泊まる約束をしてしまったのです。

お姉さんではなく、お兄さんである。

一つ年上の大学生の友人のお兄さんは、都会で一人暮らしをしていました。

友人のこのお兄さん、小学低学年くらいまでは友人宅でたまに遊んでいましたが、大きくなってからはすれ違っても話した事もなく、少しクールで怖い人だな、と思っていました。即ち、狭い田舎の中でもほとんど接点のない人でした。

しかしそんな子供の気持ちなどお構いなしで、親達はこんな重要案件をさくさくと決めてしまったのでした。

親の中では私達はみんなまだまだ「子供」という感覚だったのか。

今思えば、大学生の青年が、高3の妹と妹の友達を一週間泊めるって…。よく了承したなぁ、と申し訳なく思います。

双方の母達は、「あの子たち、夏期講習行きたいらしいけど宿泊先どうしましょ?」「ああ、A(お兄ちゃん)のところに泊まれば?」くらいのノリで決めたのだと思います。

こうして、私と友人は、友人のお兄さんのマンションに一週間寝泊まりし、そこから夏期講習に通ったのでした。

三人お布団を並べて雑魚寝していました。一応お年頃の娘ですが。何の疑問もなく。同郷のよしみとは恐ろしい。

この「みんな兄妹」という感覚はなんだったのだろう…。それともそんな時代だったのか。

ただ他の幼馴染にこの話をしても、「友達のお兄さんの家をホテル代わりにするって、私たちの地域あるあるよねー」と誰も驚かないのが同じ感覚の持ち主達の不思議なところ。

こんな田舎のコミュニティも今は薄れてきていますが、田舎には田舎の良さ、都会には都会の良さがありますよね。

GW前に幼馴染と再会して、ふとこんなどうでもいい出来事を思い出していました。

みなさん、良いGWを。

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