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First Light

今日の午後お会いするのは、地元で複数の事業を展開されている女性経営者だ。ご本人曰く、「やりたいことに全部使っちゃうんで、お金ぜんぜん残んないの」。

こういう人だと、どういう場面を撮って、どう編集するか難しい。
昨日も書いたが、「私ってすごいでしょ」の自慢しいタイプなら、そのご意向に沿って作ればいいだけで、考え込む必要まではない。
女社長さんの場合、ご自分のためというより、知り合いの経営者に協力するための動画になる。

たとえば以前から、見ず知らずの人同士が集まり、近隣を散歩しましょうという、ただそれだけのイベントをお二人で企画している。
互いに名乗り合う必要もなく(気が向けば名刺やLINE交換もご自由にというスタイル)、寂れた清水の街中をぶらぶら歩くのだ。
(異業者交流会のような)ビジネスチャンスの機会を期待するわけでもなく、たわいもないおしゃべりをしながら小1時間ただ歩き、会場に戻りおやつを食べて解散になる。

(失礼ながら)そんなわけのわからない企画なのに、下は小学生から上は80歳過ぎの老夫婦まで、10数名が集まる。東京や浜松から来た人もいた。

知らない者同士が街を散策するだけのイベントに、参加費(たしか1,000円)を払ってまで集まるものだろうか。
何かの宗教かとも思ったが、実際に立ち会ってみればそういう雰囲気はまるでない。
つまり、こういう企画を知って参加したいと思う人が、一定数いるということだ。じっさい、二度目三度目という方もいた。
こちらの動画制作も頼まれていて、次の機会にはひとまず録画するつもりでいる。
しかし、どんな形で仕上げたらいいのか、まだイメージが湧かないままだ。

「袖振り合うも他生たしょうの縁」
道で見知らぬ人と袖が触れ合う程度のことでも、それは前世からの因縁によるのだといわれる。
機会を提供することでそうした縁を拡げていきたいというのが、どうやらイベントの主旨らしい。
経営者お二人、ともに多角経営をされているが、新しい出会いによって人生もあきないも豊かになるという信念から、始められたようだ。
その信条を一度こちらの中で消化し、どう表現するかよくよく考えなければならない。

本日は上記とは別に、様々な人との出会いが女性経営者の半生に与えた影響を、どういう形で表現するかの打ち合わせになる。
決して、成功者の物語になってはいけない。出会いによって充実した人生を送ってきた一個人を、数分の映像の中で表現しなければならない。

そんなの、僕ごとき能力で出来るとはとても思えない。
ただ、彼女の出会いの一つに僕自身も参加しているのだから、遊びの感覚で共に考え作っていけるなら、ありがたいことだと思う。
一度作って公開したら終わりじゃなく、何度も試行錯誤しこうさくごをくりかえしながら、完成度を上げていく。
単なる商取引でなく、依頼者と作り手による、一種の共同作業的な感覚と言ったらいいだろうか。
「自分史」でも「エンディングノート」でもなく、過去を振り返ることが同時に、これからの人生に新たな展望を開いていくきっかけになるような映像を提供したい。

よって今日は、手探り状態からの打ち合わせとなる。
こんなワケのわからない案件、今の自由な立場だからこそ受けることもできる。その自由度を、存分に生かしてみることにしよう。

イラスト hanami🛸|ω・)و

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