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出会いはドン・キホーテ

その出会いは唐突だった。

まだ夏の暑さが残る9月半ば、
夫くん、娘(当時は中学1年生)と3人で
「ドン・キホーテ」系のあるホームセンターへ行ったときのこと。
(いまは経営が変わっていて、そのお店があるのかも不明)

生活用品いろいろを棚からかき集め、
お会計へと行ってみると、長蛇の列。

並ぶのがイヤな娘は、
「ペットコーナーに行ってるね~」と
夫くんを従えて犬猫コーナーへ。

犬や猫、動物が大好きな娘にとって
それはいつもと同じことだった
・・・はず。

会計を終えた私が「帰るよー」と
声をかけるために犬猫コーナーへと行くと…

娘が、小さくて真っ白な犬を
抱っこしているではないですか!
それを見守る夫くんも、
仔犬がかわいくてたまらない様子。

「はて・・・?」

あぁ、かわいくてつい抱っこしちゃったのね~。
気持ちはわかるけど、
やたらと抱っこするのもかわいそうだよ
と、言いかけたそのとき

「ママ、一生のお願い!! この子をウチに連れて帰って」
と、娘が言うではないですか!

イヤイヤ、一生のお願いはもう何千回もされてるし、
何よりうちにはまだ1歳のワンコがいる。

そう、何を隠そう(隠してはいないが)
うちにはすでに黒のトイプードルがいる。
しかもまだ1歳と、かわいい盛り。
このタイミングで仔犬を迎えるとか、あり得ない。

ヨチヨチ歩きで仔犬が歩いてきた?

当然、夫くんも同じ考えのはず。
という、私の思いは次のひと言でぶった切られる。

夫:「この子がさ、自分からヨチヨチ歩いてきたんだよ」
娘:「そうなの、真っすぐこっちに向かってきたの」

この人たちは何を言っているんだろう?

だって、よく考えてみて(考えなくてもわかるかも)。

ここはペットショップ。
想像してみてください。

仔犬が自ら床をヨチヨチ歩いて来るなんてこと、
あるわけがないでしょう。
道端に捨てられてるんじゃないんだから。

これは絶対に店員にはめられているに違いない。
ひとまず落ち着かせよう。

「そうなんだぁ、自分から寄ってきたんだ。
でも、コンちゃん(黒トイプードルの名前)がいるでしょ。
急に知らない子を連れて帰ったらびっくりするよ」
と、なだめる作戦を開始。

娘:「でも、他にも人がいるのに、真っすぐきたんだよ」
  「毎日お散歩もするし、お世話も全部します」(なぜか急に敬語)
  「勉強だってちゃんとします」(そんな軽々しく言われても…)
  「本当に、もうこれで一生のお願いは最後!」(絶対に嘘だ…)

実はこの頃、先住犬であるコンちゃんは、
夫くんを第1の飼い主とあがめていて
娘にはわりとそっけない態度でした。
といっても、決してなついていないわけではありません。

犬を飼っている人なら分かると思いますが、
家族のなかにも犬なりに優劣があるものです。
こればかりは仕方ありません。

ただ、娘は自分のことを「いちばん大好きな人」
と思ってほしい年頃。
しかも、これまで独占してきた夫くんの愛情が
コンちゃんに向かっていることも気に入らない。

そんなときに、目の前にかわいらしい仔犬が現れ、
一瞬で心を奪われたのでしょう。

全力阻止も、店員の策に嵌まる

しかし、そんな理由で動物を飼うことはためらわれます。
これは全力で阻止せねば!

と、思った矢先。
娘が抱っこしていた仔犬を受け取った店員さんが、
私の方に顔を向け、
その子を床に下ろすではないですか!

ヨチヨチと歩いてくる仔犬。
「わー、かわいい! かわいすぎる!」
これは、受け取らないわけにはいきません(これも店員の策か…)。

でもね、考えてみて下さい。
こんなペットショップ、どうかしています。

仔犬を抱っこしながら思い浮かんだのは
「今日、この子を連れて帰らなかったら
どうなるんだろう?」
という言葉。

まだ生後2カ月。
足腰もまともに出来ていない状態で、ツルツルの床を歩かせ、
これぞと思ったターゲット(客)の元へと向かわせる。
消毒すらしていない手で触らせ、抱っこをさせる。

こんなところにいたら
いつケガをしてもおかしくないでしょう。
病気にだってかかりやすくなるかもしれません。

そんなことが頭をグルグルと回ります。

夫:「コンちゃんも、兄弟ができてきっと喜ぶよ。
道具もあるし、今日連れて帰っても大丈夫じゃない」
と、すでに連れ帰る気満々の夫くん。

夫くん、本当か、それは本当なのか…。
こんなふうに生きものを衝動買いするなんてアリなのか…。
でも、この店に置いていくのもそれはそれで心配。

「お電話」は一度もかかってこない

心の中で葛藤しながら、結局、
真っ白な仔犬を家に連れて帰ることに。

マルチーズとトイプードルのミックスなので
マルプーと呼ばれるんだそう。

購入を決めてお会計をし、書類なんぞを書いていると、
「様子を確認したいので、まずは明日、
 お電話を入れさせていただきますね。
 万が一、何か不安があったらいつでも相談してください」
と、店の担当者。

こうゆうところは、さすがにチェーン店らしく
「まぁ、ちゃんとしているのね」とか思いながら
その日は帰宅。

翌日——
待っても待っても
電話はかかってきませんでした。
もちろんその後も、一度も電話はありません。

「やっぱり連れて帰ってよかった」

小さくてかわいかったこの子は、
マシュマロのようなのでマシュコと名づけられ、
先住犬を圧倒する王様ぶりを発揮。

急に2頭になったワンコと
はじめての多頭飼いにとまどう日々がはじまったのです。

↑お店からいただいた「運命の日のマシュコ」の写真

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