見出し画像

後悔と優しい涙と優しい気持ち

今朝、次男が一番初めに飼ったペットのハムスターが
亡くなっていた

いつも朝になると夢中になって入り口の留め具の部分を
カリカリしているのに・・・あれ?
今日は出てこないな・・・
巣箱をコンコンとノックしても応答がない
そっと巣箱を持ち上げると
気持ちよさそうに横になり眠ったまま・・・亡くなっていた

次男に声をかけると
慌てて駆け寄ってきた

その亡骸を見て
一瞬固まってしまった
「苦しまないでいけたみたいだね」と声をかけると
小さく頷いて
ようやく亡骸に手を伸ばした

はじめは優しくなでて
冷たくなったのを感じただろう
そしてそっと抱き上げた
軽くなったのを感じただろう

次男はむせび泣いた
たくさん涙を流して泣いた
次男は「後悔」していた
もっともっとお世話をしてあげればよかった
もっともっと遊んであげればよかった

確かに掃除などはやらなくなり
母親の私がやっていた
水がなくなっても気がつかなかった

気が向いたときに遊び
気が向いたときにご飯やおやつをあげる

そんな自分の関わり方を振り返り
「後悔」していた


このハムスターは約2年半生きた
自分でペットを飼って育てたいと
お小遣いを握りしめてペットショップへ
一目惚れしたパールホワイトのジャンガリアンハムスター
「大事にする」と意気込んだ
「一番の友達だよ」と声をかけた

でもすぐにその気持ちは薄れ
ゲームに夢中になっていた

私が飼っていたハムスターとお見合いをさせた
2匹は気が合うようで
いつも一緒に行動していた
子どもはできなかったけれど仲良しで
年を取っていた次男のハムスターには生きる励みになっているようだった

だが私のハムスターが不慮の事故で亡くなった

その後ゲージの中を探して歩くような姿が見られたが
しばらくするとそれもなくなり
1匹でも元気に暮らしていた

1か月ほどたったころだろうか
急に痩せ
背中が湾曲し始めた
見た目はりっぱな「おじいちゃん」
それでも軽快に動き回り
たくさん食べて元気だった

ある時から
落ち着きがなくなり無暗やたらに噛みつくようになった
目が見えていないというわけでもなく
口元にあるものを手あたり次第噛みつく
「ボケちゃったみたいだね」と

次男もたくさん噛みつかれた
「いてて・・・嚙むなよぉ」と言いながら
笑って「こらっ」と叱る姿をよく見かけるようになった

今期の冬
仕事中に電話が入った
「ハムスターが震えている。死んじゃうかも。」と
痩せて余力のない高齢ハムスターには
寒さがこたえたようだ
ペットヒーターが余分にはなかったため
ゲージの下から巣箱の底に面するようにカイロを置くように伝えた

次男は自分の新しいタオルハンカチにカイロを張り付け
それをゲージの下に敷いていた
そしてずっと付き添って声をかけていた
そのおかげで
次の日にはしっかりした足取りで起きてきて
ご飯を食べていた
「あ~よかった」と一安心してから学校へ出かけて行った

確かに掃除などは人任せだったが
決していい加減に飼っていたわけではない
きちんと愛情を注ぎ
友のように、我が子のように優しく接していた
そんな姿を思い出し
泣いている次男に
「ちゃんと気持ちは伝わっていたよ」
「もしも、もっとこうしてあげたかったって思うなら
その分を他の2匹(キンクマとマウス)にしてあげようね」と伝えた

次男は何度も頷き
手のひらのハムスターに
「がんばったね」「がんばったね」と声をかけ
また泣いた

そして私がその場を離れてからも
ずっとハムスターに話しかけ
最後には大好きだったおやつをそばに置いてあげた
そして玄関に飾ってあった植木鉢から花を摘み
ハムスターのわきに供えた


生き物を育てることでやさしい気持ちを育む

ペットが生きているうちは
その行動が伴わず「大事にしているの?」と
何度か注意することもあり
優しさなんて育つかしら?と疑問に思った時もあった
でも確実に育っていた
もともとの優しさなのかもしれない
ハムスターを飼ったことで育った優しさかもしれない
それはわからないが
きちんと優しい気持ちは育っていた

次男に最後に伝えたのは
「生き物はいつか死ぬんだよね。だから誰にでも優しくしたいね。
後で後悔しないように。自分のことも同じくらい大切にしようね。」と

次男はしっかり私の目を見て
「うん」と頷き
ハムスターをもう一度なでた

また一つ成長した次男がいた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?