縁取り次第で、印象が変わる話

「マイター結合」「ラウンド結合」「ベベル結合」という言葉に、聞き覚えはあるでしょうか。

これらは、Adobe系のソフトウェアで用いられている文字の縁取りの方式です。僕自身がAdobe系しか使ったことがないので、他のソフトだとどうなのか分かりませんが、とりあえずAdobe系ではそう呼ばれています。

以下にこれらをそれぞれ適用して、並べてみました。

縁取りの形に注目。

内部処理的にどうなっているのかなど、細かいことは割愛するとして、とりあえず、ざっくり言うと
・マイター結合 → 角がとがってるやつ
・ラウンド結合 → 角が丸いやつ
・ベベル結合 → ゴツゴツしてるやつ
といった感じです。語彙力皆無の説明ですが、ここでは雰囲気だけ分かればOKなのです…!

うまく説明できない言い訳はさておき、一番上の「マイター結合」は、Adobeの動画編集ソフトであるPremiere Pro(以下、「プレミア」と呼びます)ではデフォルトの設定になっています。

そして、このプレミアはYoutubeの動画編集によく利用されることから、Youtube動画のテロップは、マイター結合になっているものが多い印象です。

一方で、テレビ番組のテロップは、Adobe系でいうところのラウンド結合になっているものが多いです。

というのも、多くの場合、バラエティテロップは縁取りとドロップシャドウを重ねた、複雑な装飾が施されています。それをマイター結合でやろうとすると…

マイター結合

なんだかトゲトゲした印象があるかと思います。実際にマイター結合的な縁取りでやっている番組もあるにはありますし、良いとか悪いとかいうものでも無いのですが、個人的には目に刺さる感じがして痛いかなと思います。

一方で、ラウンド結合。

ラウンド結合

トゲトゲしさはなくなり、まとまった感じになりました。
この辺、完全に主観なので、「マイター結合の方が好きだったけどな…」
と思う派の人も出てきて当然だと思います。先ほども言った通り、どちらが良い悪いではありません。あくまで私の個人的な主観として、「ラウンド結合の方がまとまってるな」と感じるだけです。

ちなみに、マイター結合っぽい縁取りでやっているテレビ番組の例としては、「しゃべくり007」が挙げられます。

ちなみにフォントは「ロダンUB」

あくまで、「っぽい」というだけで、実際にはテロップ専用ソフト(TFX-Artistとか)の独自設定があるんじゃないかなと勝手に思っているので、Adobeソフトで設定するそれとはまた少し違う気もしますが…。
とりあえず、「角が丸い」というよりかは、「とがっている」印象がありますね。

ただ、これはそこまで読みにくいといった感じはせず、割と違和感なく見られます。縁取りを2回くらいで留め、色使いもシンプルに、縁もそこまで太くしないことで、「トゲ!」って感じを抑えられているのでしょうか。

ちなみに、ちょっと脱線しますが、しゃべくり007のテロップのフォント、今メインで使われているのはフォントワークスの「ロダンUB」なのですが、昔の画像を見ると、ニィスフォントの「JTCウィンS10」らしきものが使われています。自分が後者のフォントを持っていないので、比較画像は上げられませんが、同じ番組でも、その中で使われるフォントは変遷するんだなぁと思った次第です。以上、脱線オタク話でした。

……と、ここまで。
「ベベル結合」のことをほとんど無視して「マイター結合」と「ラウンド結合」の話ばかり書いたわけですが、そろそろベベル結合の話もしたいと思います。

ベベル結合って…

ベベル結合

「良い感じ」っていうのがまた、あまりにも主観的なので、上の画像を見て「いや、別に良い感じじゃない?」と思う人もいるでしょう。何度も言いますが、これは完全に私個人の感想です。
「なんかガタガタしてる…」

世の中には「ガタガタ言うな」というセリフもありますが、このテロップだと、視覚上まさにガタガタ言っているように見えるのです。

某有名ゲームのアレ

ガタガタ言っている感じの縁取りで、実際にガタガタ言ってみました。
あれ? こう見ると意外と悪くないのかも…?


テレビ番組の例で言うと、イッテQが かなりベベル結合みを感じるテロップとなっています。

ちなみにフォントは「ニューセザンヌEB」

とはいえ、厳密にはちょっと違うような…?

と、ここで。プレミアプロの場合、「マイター結合」の状態で「マイター値」というやつを変えてあげると、一部だけマイター結合、一部だけベベル結合っぽくすることが出来るのです!

画像の真ん中あたり「マイター値」


そうして設定を変えてみたものが下の画像です。

マイター結合とベベル結合のハイブリッド的な装飾

先ほどのものと、違いがわかるでしょうか?
比較をしてみます。

比較画像

円で囲ったあたりが特に違いが分かりやすいかと思います。
最初は、全てがゴツゴツしていたのが、一部直線的な表現になりましたね。

本家のテロップも、マイター結合とベベル結合が混ざったような縁取りになっているので、こちらの方が近そうです。実際は、これでもまだ違うと言えば違うのですが、そこはソフトの差なのでしょう、きっと。

ちなみに、イッテQの実際のテロップには、文字の内側にシャドーがかかった状態になっているのですが、プレミアでは内側シャドーはかけられないようです。いないとは思いますが、ここまで読んで「あれ? イッテQのテロップって、内側にシャドー入ってたはずだけどな。おい、再現度低いぞ!」と思われた方がいらっしゃれば、そういう訳なので、悪しからず…。

Photoshopを使えば内側にシャドーを入れられはするのですが、こちらは普通に縁取りを付けるとラウンド結合しかできないので、マイター結合やベベル結合を使ったテロップには向いていません。
(※少し手間のかかる手順を踏めば出来ます。)

縁取りの形状(結合方法)だけで、印象が変わる。
奥が深い話でした。

(解説記事っぽい体裁を成していますが、ほぼ自分用のメモみたいなテンションで書いたので、結構分かりにくいかもしれません。)


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