1週間前に咲き始めていた吸葛の花が咲き満ちてきた。蜜を吸うと甘いことから吸葛と言われるが、冬でも葉が青いことから忍冬とも言われている。又、始め白く後に淡黄色に変わるため、金銀花とも呼ばれている。 遠き日の甘い思い出すいかずら 忍冬や妻逝きて早や一周忌 降る雨によく磨かれて金銀花 日を受けて眩しく光る金銀花 老いてなほ恋しき花よ吸葛
京都での同窓会の後、福田平八郎展を見て万博記念公園の日本庭園を見た。自然を隅々まで観察した平八郎の写実的な作品が、日本庭園を見て詠む写実的な俳句に通じるような気がした。幸い、平八郎の代表的な作品、「漣(さざなみ)」の写真撮影が可能であった。 白鷺のきわだつ白さ心字池 白鷺の己が影見る水面かな 白鷺の飛んで天女の舞ふ如く 白南風に湧くさざ波や心字池
明日が立夏ですが、旅行に出かけるので、今日、立夏を詠むことにしました。7日まで、ブログを休みますが、再開しましたら、よろしくお願いします。 午前五時の窓の明るさ夏に入る 椎の樹のさ緑美しき立夏かな 手に足にみなぎる力夏来たる 新鮮な野菜あれこれ夏立つ日 伸びる枝伸びる草刈る立夏かな
今年の立夏はこどもの日の5月5日であり、妻の一周忌や大型連休に気を取られているうちに、明日が春の終わる日になっていた。今年の春のトピックスは白内障の手術であるが、よく景色が見えるようになったことに驚いている。鯉のぼりを揚げる家も少なくなっているが、とうとう界隈で揚げる家は、一軒になってしまった。 なんとなく暦で気づく春の果 眼の癒えて景色眩しき夏隣 日々書きしメモとブログに春惜しむ
厨子に一泊し鎌倉の報国寺に行ったときに、棕櫚の花と著莪の花が咲いていた。 シュロは日本の温帯地域で古来より親しまれた唯一のヤシ科植物で、花言葉は「勝利」「不変の友情」である。著莪も古くから日本に自生しているが、花言葉は「反抗」「友人が多い」である。葉っぱの鋭い形や、根茎でどんどん増えることからきているようである。 花棕櫚や逗子海岸に近い宿 花棕櫚や朝日を受ける旅の宿 日輪と競ふ明るさ棕櫚
報国寺はミシュランの三ッ星の寺だけに、外国人の観光客も多かった。竹林の入り口に、まっ白い手毬花が咲いていて、道脇に碇草も咲いていた。 ミシュランの寺に咲き満つ手毬花 異人らの群がる寺に大手毬 新体操踊る乙女ら手毬花 禅寺にひつそりと咲く碇草 鎌倉の谷戸に根付いて碇草 碇草いざ帆を広げ世界へと
ミシュラン・グリーンガイドの鎌倉の三ッ星の寺に報国寺と東慶寺(二ツ星は建長寺、円覚寺、明月院、銭洗弁財天宇賀福神社、長谷寺、杉本寺)があるが、 報国寺は、孟宗竹の竹の庭が有名な寺院である。「竹の皮脱ぐ」姿を間近に見て、「竹の子」が「今年竹」に、なっていく姿や、抹茶を飲みながら、「竹落葉」を見て「竹の秋」を感じることができた。 ミシュランの三ッ星の寺竹の秋 竹落ち葉見つつ味はふ抹茶かな 眼の前
先日、お隣さんより、妻が好きだったカラーの花を頂いた。そして、妻が好きだった口紅紫蘭の花も咲き始めた。少し早めであるが、連休で子供や妻の兄弟たちも来やすい明日、一周忌を計画している(明日、明後日、ブログを休みます)。 妻愛でし海芋頂く一周忌 仏炎苞まばゆく光る花カラー 楽しみは巻葉開く日花海芋 待ちに待つ口紅紫蘭咲く朝(あした) 手入れ
昨日から夏日を超す気温が続いている。新緑が綺麗で、楓の花が早や実になるなど、季語的には初夏の季節に入っている。 大空へ今飛び立つや楓の実 プロペラの形が好きよ楓の実 北欧へ旅したき日や楓の実 空色の空に似合ひの若楓 小径へと枝を伸ばして若楓
今年になって、ハルジオンの花が庭にも咲き始めた。秋に咲く紫苑に似ていることから春紫苑と呼ばれているが、生命力の強い雑草であり貧乏草とも呼ばれている。庭に咲いている花が、ほとんど無くなったので、茶室にハルジオンを生けてみた。 狭庭へも足を延ばして春紫菀 春紫菀ほの紅のさす妹の頬 茶花無き日に一輪の春紫菀 春紫菀良き名に伸びる背筋かな ハル
公園にも小さな野ばら(初夏の季語)が植えられているが、駅に行く道にの3mほどある木に、何輪か野ばらが咲いていた。花言葉は、「上品な美しさ」「純朴な愛」「素朴な愛らしさ」である。 野ばら咲く窓に聞こゆるピアノ曲 野ばらとて品良く咲きし旧家かな 上品な香りただよふ花いばら 野ばら咲くすくすくすくと伸びし枝 園児らの遊ぶ公園野ばら咲く
電車の車窓からリラの花が見える家があるが、先日、一気に咲いているのを見つけて、駅を降りてから近くまで行ってきた。リラの花は晩春の季語であるが、北海道でリラの花が咲き誇る5月下旬から6月上旬にかけて一時、寒くなる「リラ冷え」は、「花冷え」と同じように季語としてはお気に入りである。リラの花をライラックと呼ぶと、少し明るい気持ちになる。 曇天の空がお似合ひリラの花 見る吾に香り届けよリラの花
花びらも香りも上品な木香薔薇を垣根としている家は多いが、近くの公園の棚に、半分ずつ、黄色と白色の木香薔薇を植えていた。そして、花水木の花を植えている家も多い。四弁の花びらが、組んだ指をほどくように咲く時が好きである。 上品な香りただよふ木香薔薇 木香薔薇棚を分け合ふ白と黄と 女子高の柵一面に木香薔薇 青空へ色よく色映ゆる花水木 花水木つ
近所に立派な藤棚を作っている家があるが、木の手入れをしているのか、枝先を殆ど伐ってしまい、何房かな藤が咲いている。普段は通らない道に、モッコウバラを見に行ってみたら、路地の奥の方に藤が咲いていた。 枝ぶりの見栄え良き樹に藤の花 幹太き枝に枝垂るる藤の房 ゆつたりと風を孕んで藤の房 むらさきの似合ふ吾妹子藤の花 そよ風にかすかに揺れる藤の
小手毬を植えている家も多いが、よく通る小径に大きな株がある。咲き始めから見ていると、五弁花が集まった房も最初は小さいが、次第大きくなり、房の数が増えていく姿が面白い。子虫もよく蜜を吸いに来ているのが微笑ましい。 小手毬や初めは小さき花の房 小手毬や咲く花の数増える日々 そよ風に小手毬の枝しなりをり 小手毬や撫づれば柔き妹の肌 小手毬のおど
我が家の白山吹は盛りを終えたが、近所の八重の山吹や里山の山吹は盛りを迎えている。山吹の花は、万葉集でもよく歌われているが、太田道灌が蓑を借りようとしたときに山吹の花を差し出され、「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき」の故事を知らずに恥じたという話が有名である。 石塀の上に咲き初め山吹黄 咲き初めは房も小さく八重山吹 八重山吹道灌の故事思い出す